黒髪少女が起きたついでに尋問し、2人でどこかの街へ行くことにした
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俺は今、帝国人の捕虜を1人捕獲ししてしまった・・・・正確には黒髪の少女だけど。
黒髪少女は、俺が1発腹にキメてしまったせいで気絶している。茂みに優しく寝かせ、胸が上下に動いているから生きているだろう。
「まだ、起きそうにはないな」
顔をペチペチ叩き強制的に起こそうと思うも右手を振り上げたところで思いとどまり、そのままゴロンと寝転がった俺は417高地の方から聞こえる戦闘音を耳にしながら休息タイムと決めて、今後の身の振り方を考えていた。
「んぅぅ・・」
数歩離れた正面で気絶していた黒髪少女から声が聞こえ、考え事をしても何も良い案が浮かばない俺は寝落ちしていてようで、彼女の声で反射的に意識が覚醒し慌てて上半身を起こしたところで黒い瞳と視線が重なり現実を伝える。
「お、おはよ・・とりあえず、キミ捕虜だからね」
「・・・・はぃ」
寝起き1発目に暴れて抵抗すると思っていたけど、予想に反して大人しく素直で驚いてしまうも何か話のネタになる物を持っていないため尋問を始める。
「名前は?」
「ミユキ・・」
「家名は、ある?」
「家名?」
「ん〜ミユキの名前の後にある呼び名」
「ミユキ=フユノ」
「あるんだ・・貴族?」
「違います。一般家庭です」
「イッパンカテイ? よくわわかんないけど、貴族でないで良いかな?」
「はい、そうです」
「えっと・・幼いけど、いくつ?」
「16才です」
「大人だったんだ・・ジョブは?」
「聖女です」
「あのときの、甘噛み聖女様!? 使える魔法は回復魔法かな?」
「はい、それしか・・使えま・・せん」
敵国の兵士に捕まったことを実感し始めたのか、質問の途中から大きくクリッとした黒い瞳は涙目となり、堪え切れず大きな粒の涙を流すも鳴き声を出さないよう必死に耐えていた。
「・・泣いても、何もかわらないぞ?」
「うぐっ・・はぃ・・」
「今から持ち物検査するから、ゆっくりそのまま立ってこっちを向いて・・変な動きをしたら命の保証はできないから」
「はい・・」
黒髪少女ミユキを立たせた後に着ていたローブを脱がさせ受け取った俺は、服のポケットの中身を本人の手で出させると、数本のポーション瓶とよくわからない袋と布切れを見せた。
「このポーションは?」
「魔力を回復させるポーションです」
「MP回復ポーションね・・この緑色の小さな包み袋は?」
「アメです・・」
「アメ? あの砂糖が入った甘いだけのやつ?」
「はい」
「そう・・最後にこの布切れは?」
「ハンカチです」
「ハンカチ? 何に使うんだ? こんな小さいと体さえ拭けないぞ?」
「これは、濡れた手を拭くだけのものです」
「濡れた手なんて、ズボンで拭けば済むだろ?」
「・・はい」
「じゃー最後の質問。他に何か隠し持っていない?」
「・・・・・・こ、これで全部です」
「本当に? 収納スキルは? 空間魔法ってやつ」
「ありません・・これで、全部です」
明らかに動揺しているミユキの仕草を長年経験してきた戦いの中で身に付けた洞察力で確信し、俺は見せつけようにため息をついてから黒い瞳を見てゆっくり告げる。
「わかった・・嘘がバレたら、騎士団の捕虜尋問吊し上げ大好きゲス野郎集団へ即座に引き渡す。その後、キミの予想を遥かに超える取り扱いになるが俺は関知しないし、責任も取らないけど良いな?」
「ひぃ・・」
俺の言葉でどんなことをされるか想像してしまったのだろうか、小さく悲鳴をあげた後に王国国内でも上位冒険者か一部の商人しか持っていないと聞いたことがあるマジックポーチを取り出し俺の足元に置いた。
「こ、これで本当に全部です・・・・ごめんなさい」
「わかった。これも、没収する」
「・・・・」
「とりあえず、ここから移動する」
「ど、どこにですか?」
「ゲス野郎集団が待機する場所に・・」
「えっ? そんな、全部出しましたよ? わたし・・」
「・・・・」
実際にそんな集団なんて知らない俺は、黙ったまま森を歩き出すと、泣き出しそうな声で俺に呼びかけながら後ろからついてくる。
「ま、待って・・行きたくないです」
「死にたくなかったら、黙ってついて来い」
「はい・・」
しばらくしたら騎士団本隊の奴らが近傍に、前線指揮所を開設するだろう場所から離れるように黒髪少女ミユキを連れて歩く俺は、迷うことなく森を抜け戦場から離れ街を目指す。
見知らぬ王国領土の土地を歩くせいなのか、ただ逃走の機会を伺っているのか真意は不明だけどミユキは素直に歩き付いてきて来るし、背後から隙だらけに見せている背中から襲い掛かろうとする気配もないため、きっと夜に行動するだろうと思い野営初日の夜は何も言わず狸寝入りするも逃走せずに、ずっと俺の手が届く範囲にいるため我慢できなくなってきた俺が、3日目の夜に聞いてしまった。
「なぁ、俺から逃げて仲間のところに帰らないのか?」
「・・・・」
「逃げるチャンスは何度かあったろ? 夜なんか普通に爆睡していたんだからな?」
えっ? と顔を向けるミユキにマジで眠たかったから寝ていたんだと告げると、ミユキが初めて笑う顔を俺に見せた。
「そうなんだ・・でも、わたし1人じゃ帝国まで歩いて生きて帰れないもん」
「んなわけないだろ? あれ持ちのチー・・チッチチキなんとかってヤツをミユキも持ってんだろ?」
「チーチッチキ・・チートのこと? あれは、聖女のわたしには無いの」
「へぇ・・あの5人全員平等ってわけじゃないんだな」
少し哀しげな表情のミユキに、これ以上突っ込んだ質問はやめて、別の会話に切り替えることにする。
「まぁ、なんだ・・しばらくは、俺と共に行動してもらうからな?」
「はい、わたしは捕虜なので」
眠ろうとした頃に遠くから魔物の遠吠えが聞こえたため、焚き火の火を消すことなく今夜は地上より少しマシな程度の木の上にミユキを上がらせた後に眠っても落ちないよう幹と体をロープで固定し、俺はその幹の反対側に向き合うように座り、持ち上げていた薪を下の焚き火に放り投げながら火の番をして仮眠を取ったのだった・・・・。
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