俺にも感動の再会が待っていました・・けど、男で記憶にございません
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俺がミユキに対してシテきたことを勝手に想像し言葉にならない声を発狂しながら鬼の形相で両手剣を高く振り構え、大振りをするぞと言わんとばかりに飛び掛かってくる勇者クンは隙だらけだった。
それなりのステータス持ちで素早いが、それ以上に黒髪魔法士ちゃんの方が彼のステータスを凌駕しているようで彼女の行動が速い。
「悠太、邪魔!」
その一言を発しただけの魔法士ちゃんは、仲間と言えるはずの勇者クンの背中に突風のような風魔法を放ち彼を無慈悲に予告なく転倒させた。
「あがぁっ・・彩夏、なにしやがる!?」
敵意剥き出しの勇者クンは、まさか背後にいる仲間から魔法を当てられるとは微塵も思っていなかったようで、受け身を取れないまま顔面から突っ込み痛そうに転がった後に無防備に俺に背中を見せ彼女に抗議していた。
そんな彼女達の行動は仕組まれた演技なのか本気なのかわからないけど、彼らが時間稼ぎをしている魂胆はわかっていたため、そろそろこの茶番を終わらせるようこ言葉をかけることにしよう。
「魔法士ちゃん、もうそろそろキミの役目は終わりなのかな?」
「へっ? どう言う意味かな? かな??」
俺の問いかけに僅かに視線を逸らす魔法士ちゃんは、平然を装い続けようと頑張っているようだけど勝負の駆け引きの経験が足りないようで、いまだに僅かに見せる動揺を隠しきれてない。
「まぁ、もう王国騎士じゃないから騎士さんと呼ばれる資格はないけどさ・・・・兵士が俺を完璧に包囲するための時間稼ぎしているんだろ?」
「さぁね・・どのみち元騎士さんでも、この数の兵士の前にノコノコやって来たあんたが無事に帰れる未来なんてないんだから、諦めてミユキを解放してよね?」
少しだけ、間をあけてから俺は口を開く。
「・・そうだな。俺は早く家に帰って、のんびり静かな余生を過ごすと決めたから王国騎士団を辞めたんだから」
「騎士団を辞めたの?」
魔法士ちゃんは、どうやら意図をバレたことより俺が騎士団を辞めたことの方が気になったらしい。
「あぁ、辞めたよ。それで冒険者になった・・」
「どうして? 騎士って誰もが憧れる職業なんでしょ? なりたくても適性がないとダメっていう」
「詳しいね? まぁ、俺にとってはクソみたいな世界だったからだよ」
「なにその子供みたいな理由・・意味わかんない」
「べつに、わかる必要はないぞ? 殿ばかり任さられて嫌になっただけだしな」
「しんがり・・・・?」
勇者クンをも黙らせる黒髪魔法士少女と会話を続けてしまう俺は、彼女の口車に乗せられたのかミユキの同郷人だからこそ、つい口数が増えたのかは理由がわからないでいると、視界の脇から1人の帝国兵士が突然前に出て来たことで顔を向けた俺は彼女と話を終わらせると、なぜか帝国兵の男は何かを確信した表情から驚愕の顔へと変わり尻餅をつく。
「・・なんだ? 勝手に出てきたくせにビビッてんだよ」
「貴族のボンボンは大人しくしててよ・・もう」
魔法士少女もなぜか出しゃばってきた帝国兵を睨み愚痴をこぼしている。
「お、おお・・お前は・・王国騎士!」
「あぁ・・元な? 今は王国の冒険者だ。それがどうした?」
「お、お前の顔・・見たことあるぞ!」
「俺は、お前のことなんて知らん」
帝国兵にh知り合いなんていないのに、何故か俺を知っているという兵士の強張った顔を見るも何も思い出せないでいる俺を無視して兵士は喋りだす。
「俺は、クリフ=シャーダンテ! 帝国貴族だ!」
「・・・・だが、知らん」
「っぷ・・・・だが知らんって・・」
ミユキは息を吐き出すように笑い、俺の言葉を低めの声で真似をしている。
「ミ、ミユキ? 笑ってるの?」
ミユキの背後にいる俺にはミユキの表情は見えないけど、対峙する魔法士ちゃんからはミユキの顔が見えるためもしかしたら笑っているのかもしれない・・まさか、ここまでの演技がバレてしまうのかとドキドキしていると、俺を知る帝国兵が助け舟を出してくれた。
「黙れ! ゆ、許せん・・この男爵家長男の私を愚弄する王国平民ごときがぁ!」
「平民? 俺は、これでも公爵家の長男だから貴族社会ならお前は格下で下っ端だぞ?」
「ぬぅぁ・・黙れ黙れ! 王国貴族なぞ平民と同じ!」
勝手に自分の都合の良いように解釈し始める男を無視していると、黒髪魔法士ちゃんが少し警戒心を緩めた顔で俺を見て聞く。
「貴方って、公爵家の生まれだったの?」
「まぁな・・」
「へぇ・・そうなんだ」
俺が公爵家出身だと聞いただけで、それ以上追求してこない彼女は再び表情を戻していると俺達の状況を静観していただろう兵の指揮官の男が騒いでいたあの男の背後に立ち何か会話をしている。
そんな会話は流石に聞き取れないため、ただ睨み合い対峙している時間が流れ状況に変化がなくなったところで、クリフと名乗った兵士の後ろに立つ指揮官らしき男が口を開いた。
「王国の元騎士の男よ!」
「なんだ? そろそろ、この女を巻き込んででもおっ始めることに決めたか?」
「ふんっ! それは愚の骨頂であるがいえ、こちらも手が出せないでいることを知っているからくる貴様の強がりであろう?」
「自信がなきゃ、自殺行為のまねごとなんかしやしない」
「そうか、ならばクリフの与太話を受け入れるべきかもしれんな・・」
「だから、そのクリフっていうその男は知らん」
何度顔を見ても、俺はあいつのことを知らないでいると囲んでいる帝国兵士達の動きが先程より騒がしくなり、そろそろ何か仕掛けてくる気がする。
「まだ知らぬと言うか・・よっぽどクリフは・・・・なんだったか・・モ・・モモ・・モキュ?」
「モブよ、モブ・・モブキャラよ。フロノンさん」
「おぉ、そうだ彩夏殿。モブキャラであったのであろう・・・・それほど、貴様が果たす王国騎士の部隊が撤退する殿が脅威だったのだ」
フロノンという指揮官の言葉でもう忘れていたはずの記憶が蘇り、たしかに帝国兵を過去一度だけ何気なく屈辱の下着姿で逃したことを思い出した。
「そうか、あの時に逃した兵士か」
「ふむ、クリフのことを思い出したようだな・・ならば、ここで敗走兵と罵られ続けた苦しみを晴らすための再戦の場としようではないか!」
もうこの時点で俺への無慈悲な攻撃が始まる予感がした俺は、咄嗟に次の行動へと移った。
「元気でな・・」
「ぁっ・・」
耳元で別れを告げミユキの首筋に当てていた短剣をスッと離し、拘束していたヒモを切ったところで右手に短剣を持たせ握らせたところで、優しく彼女の背中を押し離れる。
背中を押されたミユキはバランスを崩し、トトトッと前にふらつきながら数歩進みながら自由になった両手を動かしバランスを取ることによって転倒は免れた。
俺が右手に持たせた短剣が振り回されたことで、すぐに誰も近寄ることができずミユキが立ち止まり動きを止めてから黒髪魔法士少女が叫びながらミユキに抱き着く。
「ミユキ! もう大丈夫!」
その2人を守るかのように一瞬遅れたタイミングで勇者クンと、それまで動きを見せなかった他の黒髪少年達が前に出て手に持つ武器を構える。
数秒も満たない時間に俺は離れていくミユキの背中を見ながら一挙に後退するため地面を強く蹴り飛ばし真後ろへと逃げる無謀な行動を選択せず、右横へと走り出し隊列を組む兵士達へと突っ込むことを選んだ。
「逃すな! 囲んで追い詰めろ!」
兵の指揮官フロノンではなく、勇者クンの声で帝国兵士達は俺へと一斉に襲い掛かってきた姿に俺は、殿の時に嫌と言う程に味わってきた絶望感に包まれた心がドクンと強く鼓動したことにニヤリと笑い戦いの始まりの合図と決め愛剣を抜刀したのだった・・・・。
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