夜の誘いを断ったはずなのに、次は昼間に多勢で出迎えてくれるようです
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「なぁ? あれって、待ち伏せしてんじゃないか?」
「・・やっぱり、そうだよね?」
「シマチ達、囲まれちゃったみたいにゃ・・まだ後ろは空いてるにゃ」
「これは、まんまと相手の策に上手く嵌められたようじゃの・・シマチよ、背後の退路は妾達を誘っている罠じゃろうて」
「とりあえず、ピンチにゃ?」
俺達は穏やかな山々を警戒しながら順調に山を越え、2日目の朝に国境を越え帝国領地側の最後の山頂へと登りきった先に広がる帝国の景色をドキドキしながら辿り着くと、別な意味でドキドキが止まらない。
眼下に広がる丘陵地帯には数えきれない程の帝国兵達が陣をとって待ち構えている。
「でもさ・・王国と帝国は戦争状態だから、街に離れた国境付近で訓練していたかもしれないよ?」
そんな俺の淡い期待は、同じように隣りで見ていたスミハが否定する。
「カイよ、どうやらそんな甘くないのじゃ・・気配探知スキルに反応がなかったじゃろうて?」
「た、たしかに・・あんな大規模部隊の気配を見逃すはずはない」
「あの中に、よほど優秀な魔法士がいるのじゃ。妾をも存在に気付かせないほどの曲者じゃ」
「マジか・・シマチは?」
「んにゃ? あんな遠いのは無理だにゃ・・でも、エルフちゃんなら見つけてたかもしれないにゃ〜」
「さすがの2人でも無理だったか・・・・でも、なんで俺達の行動がわかったんだろう」
ポツリと呟きながら考えているとどうやらあの日の夜に衝突した帝国兵の生き残りがいて、俺達の情報を持ち帰り本隊に伝えたのだろう。
黙り込む4人の周囲を漂う空気が重たくなり、ただ帝国兵達の動きを見守っているとミユキが口を開いた。
「カイ、どうしよう」
即答できない俺は、しばらく考えた末にたどり着いた答えをそっと告げる。
「・・ミユキ、今更だけど無事に帝国に送り届けるのは難しいかも?」
「そんな・・」
「「 ・・・・ 」」
落胆していく表情へと変わっていくミユキを見ることしかできない俺の逃げ道を作るかのようにシマチが声を上げた。
「んにゃにゃ?」
「どうしたシマチ?」
左にいるシマチへと顔を向けると、周囲の視線がある時に絶対見せない少女の姿のままネコ耳と細長いシッポを具体化させ、ネコ耳をピコピコと動かしていた。
(触りたいな・・・・ネコ耳)
そんなことを思っていると、チラッと俺を見てふにゃりと笑うシマチに癒さるもすぐに真面目な表情へと戻る。
「聞きなれない言葉が聞こえたにゃ・・」
「聞きなれない言葉? 帝国人も王国と同じ言葉のはずだけど・・」
「んぅ〜ミユキが偶に口にしていた言葉に似てるにゃ・・」
「わたしの言葉? それって、ニホンゴかな?」
「「「 ニホンゴ??? 」」」
「うん・・スキルでこの世界の言葉を使えるけど、シマチさんが聞いたことがある言葉なら私の世界の・・国の言葉なの」
「そうか・・なら、ミユキの同郷人がいる可能性が高いな」
「うん、でもどんな顔で会えばいいんだろう」
同郷人達がいる場所へと、いざ戻ろうとするミユキは何故か躊躇っていることが不思議だった。
「そんなの普通にただいまって感じでいいんじゃないか?」
「そうかな? 王国からのスパイだって言われないか怖いよ・・カイ」
帝国へと戻り同郷人達と再会を目標の一つとして生きていたミユキは、いざ彼らの元へ戻ろうと思うも長期間王国にいたことで自分がスパイだと疑われることを懸念していることに、俺も言葉を出さずも同感だった。
あの召喚者達が姿を現したミユキの姿に歓喜し、素直に受け入れても帝国側の皇族達は長い間王国で囚われていたミユキに対し疑惑を持ち拷問じみた尋問をするかもしれない。
俺が向こう側の立場ならば、間違いなくそうするだろう。貴重な王国の情報を聞き出すことができるのだから・・。と思うも、帝国の貴重な戦力となる召喚者達を敵に回してまで強硬手段に出るほど皇族も馬鹿ではないと願いたい。
こればっかりは実際にミユキを帝国に還して見ないとわからないのが現状だ・・。ならば、ここで俺が芝居に出るのは有効な手段かもしれない。
「・・なぁ、みんな・・一つ提案があるけど聞いてくれないか?」
しばらく黙り込んでいた俺の声に、3人はじっと俺が告げる言葉をじっと待ってくれたのだった・・・・。




