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幕間 王国騎士団副団長・・アリア=ソーフィスディアの縺れ

アクセスありがとうございます。

アリアの今と過去の回想の話しです。

時系列的には、ルミナが魔力欠乏症から目を覚ました日です。

本当は先にこちらを投稿する予定でしたが、間違ってしまったので

書き溜めていた内容を修正して投稿してます。食い違いがあったらすいません。


王国騎士団副団長・・アリア=ソーフィスディア


「今までの帝国兵と違って、動きに統制がないように感じるわね・・・・ねぇ? カイ」



 あの忌まわしき417高地で起きたと聞く大爆発に多数の王国騎士が巻き込まれ、若い騎士が命を落としほとんどが遺体として家族元へと還すことができず、高温で溶けかけ爆発の衝撃で曲がった認識票のみを棺に収め家族に渡したときの遺族が泣き崩れる状況に私はこぼれ落ちる涙を止めることができなかった・・・・そして、あの遺族達が持っただろう感情を私も持つとは。


 私はまだ戦闘地域から遠い場所の街道を愛馬を部下に預け、移動用馬車の荷台に1人乗り込み窓の景色を眺めながらあの日のことを思い出していた。


 

 被害甚大・・・・多数の死傷者と行方不明者が発生した。この信じ難い情報を聞いた私とジーニスは、指揮官ながら持ち場を離れ戦場へと飛び出し状況確認に向かい目の前に広がる地獄絵図に言葉を失っていた・・・・。


 それから・・いえ、その日から私は大事な存在を見失う。戦闘部隊の指揮官の近くで行動しているはずのカイの生存が不明。


 そんな辛い情報を耳にするも戦況は進んでいるため新たな任務が私に付与され、とある街の冒険者ギルドを通し冒険者達との魔物合同討伐を名目に、地方の山々に潜伏する小規模の帝国兵排除のため私は現場指揮官として出発の報告のため作戦室に赴いた。


「アリア副団長、急な任務を任せてすまない」


「大丈夫です、ジーニス騎士団長。準備期間は短めでしたが、必要な戦力と物資は確保できたため任務に支障はありません」


 作戦室に入ると、今回の任務に同行しない魔法士団長を務めるルミナちゃんの姿があった。


 今の私は派兵する指揮官として出発報告のためこの場にいるため、久しぶりに見たルミナちゃんに話しかけたかったけど、我慢して敬礼をした姿勢を崩さず幼馴染のジーニス団長を見つめる。


「お疲れ様、形式的な報告はもういいよアリア」


「はい・・」


「それと、ちょっといいかな? ルミナちゃんもせっかくこの場に来てもらったし」


「ジーニス団長、任務に参加しない私が呼ばれた理由がわからないのですが?」


「そうだね、ちゃんと説明してなかったね・・・・とりあえず、今から話すことはまだ口外禁止事項だから」


「口外禁止? ジーニス、どんな機密情報を私達に言おうとしているの?」


 ジーニスが執務用の椅子に座り両肘を机に付くと、ゆっくりと顔を上げてから口を開く。


「ふぅ・・まだ命令会報が出る前に伝えるけど、まず一つは・・・・あの予備隊が解体されることになった」


「えっ!?」


 驚愕の言葉に驚いた私より隣りにいるルミナちゃんが先に声を漏らし反応し、困惑の表情を浮かべながら口に両手を当てている姿を見て逆に冷静さを取り戻せる。


「ルミナちゃん、落ち着いて最後まで聞いて」


「はっ・・失礼しました」


「うん、いいよ気にしないで。それと、今から伝えることが重要なことなんだ」


「「 ・・・・・ 」」


「カイは、やはり死んでいたとの報告を今朝受けた」


「「 ・・・・・・ 」」


 私達から僅かに下へと視線を逸らし告げるジーニスの言葉で、この胸が張り裂けそうになり否定したい言葉を吐き出そうとするも喉がギュッと締め付けられ呼吸がうまくできず苦しい私を気にすることなくジーニスは話しを続ける。


「あの417高地を奪取後に団長特命で駐屯する部隊の騎士に、カイの捜索を続けさせていたんだけど・・・・今朝の報告と共にコレを届けてくれたんだ」


 ジーニスは机の引き出しを引いて何かを手に取ると音を立てないよう静かに机の上に置いた。その置かれた物がどんな意味を表現しているかを・・現実を伝えるには十分過ぎるモノに私の瞳からとめどなく涙が溢れると共に足の震えが止まらず耐えきれなくなった私は机にしがみ付くようにその場に崩れました。


「そんな、カイ・・」


「アリアさん・・」


 ルミナちゃんに抱き抱えられながら立ち上がる私の視線の先にある机上には、折れ曲がり傷だらけの認識票。騎士団に配属された騎士は必ず身に付ける銀色のプレートです。


 これが本人不在で戦場で発見されたということは、持ち主は例外なく戦死という揺るぎない証拠になります。


「カイ兄ちゃん・・ウソだよね・・」


「これから出発する2人にこんな辛い報告をする俺を許してほしい・・幼馴染として、伝えるのを後回しにするのはできなかったんだ・・まさか、幼馴染のカイが死ぬなんてな」


 そんな涙を流すジーニスの顔を見た私は、震えが止まらない足を奮い立たせ震える右手を必死に伸ばし、机上にある認識票を掴み取り胸元に祈りながら寄せる。


(・・ち、ちがう。コレは、カイのじゃない・・別の騎士の認識票・・)


 自分勝手な願望を込めながら、震える右手を左手で押さえつけ刻まれた文字を確認する。




 王国騎士団予備隊 イビール分隊隊長 カイ=フィフスアンガー




「うあ゛ぁあぁぁぁぁ・・」


 折れ曲がり傷だらけの認識票には、読みにくい部分があって小刻みに震えるの必死に抑えながら一文字ずつ口にしていくと、間違いなくカイに与えられた認識票だと認めるしかなかった。


 そして、いつの間にかジーニスが私を抱き締めてくれていた・・・・その時、冷えていく心に少しだけ温もりを感じている私がいた。


 感情が掻き乱されている私の隣りにいるルミナちゃんが、いつもの声より程遠い低い声で傍にいるジーニスに対し問いただす言葉が耳に入ってくる。


「ジーニス団長! なぜ、騎士カイを除隊させるとあの時伝えたのですか?」


「・・それは、話せば長くなる。そろそろ2人の出発時間が近づいているから、遅れないように! 遅延行動は、部隊の士気に関わるからな!?」


「待ってください! 教えてください! 除隊させると言ったのに、あの激戦地を最後の任務にした理由を! 私は・・私はこの目で見ていたんですよ!? 騎士カイが・・カイ兄ちゃんが、学園時代から単身で戦場に身を投げてボロボロになって部隊のために殿を務め、死線を何度も潜り抜け生きて帰って来ていたことを! そんなことも知らず、知ろうとせず怠け者と・・落ちこぼれだとずっと非難したお二人は、カイ兄ちゃんを・・・・突き放し孤独にさせて・・」


 ルミナちゃんが心の想いを一気に吐き出すようにジーニスに語る内容に、騎士団に入って今更知った私と学園時代から知っていたルミナちゃんのことに驚き胸の鼓動が早まる。


「ルミナちゃん、落ち着いて・・」


「私は冷静だ!」


「ルミナちゃん、落ち着いて・・これ以上、ジーニスへの暴言は・・」


「貴方だって、そうです!」


 ルミナちゃんの感情の矛先が、ジーニスから私に向けられ言葉を飲み込みそうになるも耐える。


「ル、ルミナちゃん? ここは、一度落ち着いてから・・ね?」


「誤魔化さないでください副団長! どうして貴方は、あの日・・カイ兄ちゃんの言葉に・・想いに耳を傾けてくれなかったのですか!? どうして、何も聞かず蔑んで繋がりを断ち切って捨てたんですか!?」


「そ、そんなことしていないわ!!」


 ルミナちゃんに一方的に言われた私は、あの中庭でカイに別れを告げた光景を思い出すと爆発的に感情が高まり大声を出してしまっていました。


「ウソです!」


「うそじゃない! うそじゃ・・」


「いい加減にしろ!」


「「 ・・・・ 」」


 私とルミナちゃんの感情的な言い争いにジーニスが殺気を放ちながら低い声で制したため互いに言葉を飲み込む。


「ルミナ魔法士団長・・いくら幼少期からの仲とはいえ、これ以上は看過できない」


「・・・・」


「・・申し訳ありません、ジーニス団長・・不覚ながら私情を挟みました」


「アリア副団長、君も常に冷静にならないといけない立場の人間だ。これ以上、俺を・・騎士団長を失望させないでくれ」


「はっ・・申し訳ありませんでした」


 無表情で見つめてくるジーニスの視線から逃げるように私は深く一礼し謝罪すると、彼が纏っていた殺気が飛散し重たい空気が軽くなる。


「うん、わかってくれてありがとうアリア」


 スッと普段の口調に戻ったジーニスにホッと胸を撫で下ろしている私は、彼女も同じだろうと考えていたけど甘い考えでした。


「・・ジーニス騎士団長」


「なんだい? ルミナちゃん」


「はい、王国騎士団魔法士団長ルミナ=バルトクリークは、只今の時刻を持って依願除隊をする決意に至りました。書類については、人事部を通し直ちに提出します」


「「 へっ?? 」」


 突然のことに私とジーニスの口から変な声が同時に漏れるも、ルミナちゃん本人は真剣な面持ちです。


「本日まで公私ともに大変お世話になりました。正式な後任者が決まるまでの期間は、副団長ネルルが代行として就きます・・ではっ! 失礼します」


 敬礼をしたルミナちゃんは踵を返し部屋から出ていく時に僅かの時間重なった視線の先にあった彼女の瞳には、後悔は微塵もなく断固なる決意をした瞳をしています。


「ルミナちゃん、待ちたまえ・・急に依願除隊なんて、いったいこれからどうするのかい?」


「・・ルミナ魔法士、用件終わり帰ります」


 バタン・・・・


 ドアが閉められ部屋に残された私は、しばらくドアを見つめていると不意にジーニスが私の手を握ってきます。


「・・アリア」


「な、なに?」


 ジーニスは私の腰に腕を回しグッと引き寄せ顔を近づけ私の逃げ道を断ちます。


「ルミナの除隊は正式に受理されていない、このまま予定通り連れて行くんだ」


「けど・・」


「問題ないよ。任務が先に命下されている・・このまま彼女が拒否するなら敵前逃亡罪が適用され極刑となる」


「そんな・・」


「お願い、アリア。これは、彼女のためでもあるんだ」


「んっ・・」


 カイの戦死を受け入れられない心とルミナちゃんの突然の除隊宣言に驚いていた私は、ジーニスと部屋に2人きりという状況を失念しておて、彼に口付け許してしまった・・・・。


「ど、どうして・・・・」


「初めてのキスだったかい?」


「初めてはもう・・彼に」


「・・ちっ」


「ジーニス?」


「アリア、もうカイは生きていないし学園生の時に関係を終わらせたのはキミだ。だから、これからは目の前にいる俺を見てくれないか? 俺はアリアを愛している。何があっても絶対に守るしキミを悲しませない」


「・・・・」


 私は何も答えられず、ジーニスから逃げるように部屋を飛び出し部下を招集した後に自室で荷物の整理をしていた彼女を強引に任務へと連れて行き目的の街へと重たい空気の中で出発したのでした・・・・。



「ルミナちゃん、私がいない間に騎士団を辞めたりしないかしら・・・・」


 あの時の彼女の瞳は本気でした・・冒険者との合同討伐任務が終わった後にすぐ除隊申請をするかと思っていた私は、帰還後の彼女はいつも通り業務をこなしていく姿に最初は心配していたけど、しばらくしてから気にすることをやめていましたが、今になって思い出すと少し不安になってしまいます。


「それと、合同討伐に参加している冒険者にいた黒髪黒目の少女・・この世界で存在しないはずの容姿」


 周囲の冒険者達は、彼女の容姿に微塵も気にしている様子はなかったけど私は気になって仕方がなかった・・けど、ちゃんとギルドカードを持っていたため聴取で呼び出す理由も作れずある程度の関係を確保し別れた。


「でも・・・・帝国兵の逆襲から逃げる時に殿を務めてくれたニードルと親しいように見えた男冒険者はいったい・・」


 帝国側からの魔法攻撃で大爆発の後に、進撃した仲間達を救うため私は馬に乗り部下を連れて前線へと飛び出し傷付いた仲間を馬車に乗せ撤退を急ぐも予想以上の帝国兵の攻撃により救助に向かわせた騎士と傷付いた騎士達を全滅させてしまい悔しながら馬に乗り撤退した。


 退路を急ぐ私の視線の先に、逃げ遅れただろう1人のフードを被った男冒険者の姿があった。


「何をしている!? 撤退だ! 急げ!!」


「・・悪いな、殿の仕事だ」


「えっ・・・・」


 私の警告を無視するかのように視線が重なっている男冒険者は、フード越しに少し微笑みながら呟いた言葉に声に極度の緊張状態だった私の心はストンと落ち着きを取り戻していたことに、逃げ切った後に遅れて気付かされていました。


 それから街に戻り、冒険者ギルドにて合同討伐参加した冒険者達に報酬を支払う中で、あの時の彼の姿を探しましたが見つけることができず、彼とパーティーを組んでいた黒髪黒目の彼女に報酬を手渡し滞在期間を迎え帰還したのです。


 

 揺れる馬車で1人の私は、静かな時間で過ごすこの時間で過去の出来事を思い返していると、不意にドアをノックされ、部下の女騎士の声が聞こえます。


「アリア様、魔物の襲撃です」


「わかったわ。迎撃の布陣を組みなさい」


「はっ!」


 穏やかな時間は一旦終わらせた私は、辺境の街へと近づいて行く度に徐々に増えていく魔物の襲撃にストレス発散をして旅の移動時間を消費していくのです・・・・。


次回は、カイ達の話しに戻ります。


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― 新着の感想 ―
[良い点] アリア最低だな 普通色々気づくと思うんだけど
[良い点] ルミナが一途でいい子。 [気になる点] アリアは別れたあと、ジーニスに散々抱かれてると思ってたんですけど、違ったんですね。 それとも抱かれてるけどキスは許してなかっただけ? [一言] ア…
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