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旅の始まりは突然に・・・・

アクセスありがとうございます。


「とりあえず、4人が帰って来るから山小屋に戻ろう」


「うん」


 ミユキと昼食を兼ねた休憩を終わらせ眺めが良かった場所から移動し、歩いて来た獣道をゆっくり歩いていると行く先の右側の離れた茂みがガサガサと音を立て警戒しながら視線を向けるもその音を出す正体は見えない。


「カイ、魔物かな?」


「かもしれないけど、きっと小型だから大丈夫・・」


 近づく音とその距離に対して姿が見えない魔物は小型だろうと判断するも、不意打ちで足元を狙うか直前で飛び掛かり頭を狙ってくるどちらかだろうと背後にいるミユキを数歩下がらせ身構える。


 ガサガサッ・・



「んにゃっ!」


 敵意が微塵も感じられない愛嬌のある鳴き声が聞こえとともに、深い茂みから飛び出したのは1匹の猫だった。


「ネコッ!?」


 背後から驚きの声をあげるミユキの声よりも、見上げた視線の先にある小さな存在は縞々模様のお腹を無防備に見せたまま自由落下しそのまま柔らかくモフモフのお腹を俺の顔を着地点として勢いを殺した・・。


「シマチ?」


 日向ぼっこした後に抱き着いた時のシマチの香りを感じつつ名前を呼ぶと、そのまま小さく鳴いて無情にも後ろ足に装備しているぷにぷにした肉球で俺の頬を何度か踏み肩へと移動する。


「おっと・・」


 我慢できるほどの小さな痛みでシマチは爪を出し滑り落ちないようにしながら長いしっぽを振りバシバシと俺の顔に当ててからポジションが決まったようで大人しくなる。


「おかえり、シマチ」


「んにゃ〜お」


 甘えた声で顔にスリスリしゴロゴロと喉を鳴らすシマチを撫でていると、少し離れさせていたミユキが不思議そうな表情で歩み寄り口を開く。


「カイ、あなたに飼い猫いたの?」


「いや、飼い猫じゃなくてシマチだよ? ミユキも会ってるシマチだから」


「えっ? うそ? シマチさん?」


「ホントだよミユキ・・・・なぁシマチ?」


「にゃっ」


 自分がシマチだと肯定するように短く鳴いたシマチは、俺の肩に乗ったまま見上げているミユキへと顔を向けている。


「・・本当に? なんか、信じられないよ」


「まぁ、ミユキからしたら異世界? だからな〜」


「・・・・」


 互いに見つめ合うシマチとミユキは言葉を発することなく時間だけが流れ、このままだと夜を迎えてしまうと思い俺は何も言わず止めていた足を動かし獣道を進み山小屋へと戻ると、外に置いているベンチにスミハ達3人が座っていた。


「みんな、おかえり」


「うむ、妾は帰って来たのじゃ」


「主よ、帰ってきたぞ」


「・・・・」


 互いに視線が重なり先に声を掛けると、スミハとフェンリル娘は応えてくれるけどエルフ娘は視線を向けるだけで言葉を発することはなく、ニヤリと笑うと視線を逸らされてしまった。


 スミハ達が座るベンチの前で立ち止まると、肩に乗っていたシマチは軽く肩を踏み込むようにして飛び降りるとそのまま山小屋のドアにあるネコ様用開き戸を顔で押しながら中へと入って行くのを見送った後にスミハへと視線を戻した。


「スミハ、クエストから帰って来たばかりで悪いんだけど、ここから近い帝国の街に行く計画を考えたいんだけどいいか?」


「・・そうじゃったな。ドネストの街にその黒髪を連れて行けばいいんじゃな?」


「あぁ・・そうだよ」


「うむ・・ならばクエストの疲れを癒やしつつ、それなりの準備が必要なのじゃ」


 スミハは俺の隣りに立つミユキをジッと見つめた後にゆっくりと目を閉じ、少しの時間何かを考えた後に目を開き金色の瞳で俺を見つめながら呟いた後にフェンリル娘とエルフ娘を連れて山小屋へと戻ってしまい、俺とミユキは取り残されるような形となった。


「・・みんな、中に入っちゃたね」


「だな・・まぁ、そんな気にすることはないよ? ミユキ」


「うん・・」


 ミユキから見ればスミハの反応はあまり乗る気ではないよう見えているのだろうと思いフォローするも、笑顔を見せるだけで黙ってしまった。俺からすれば、彼女達は頼んだことは淡々と進めてくれるだけだと知っているため普通の反応だと理解しているも、ミユキはそう捉えてはいないためしばらくはフォローしようと俺は決めたのだった・・。


 そんな日から数日の時は流れ平穏な日々が続きのんびりとした生活を満喫していると、とある日の夕食中に珍しくシマチではなくスミハが会話を切り出した。


「カイ、ミユキよ・・そろそろ旅の支度を始めるのじゃ」


「旅の支度?」


 俺の反応にスミハはため息を漏らし視線をミユキへと向けたことで俺は彼女の意図を思い出し、隣りに座るシマチに笑われながら肩を叩かれキッチンで立っているミユキが忘れたの?と言いそうな表情で苦笑いしていた。


「はぁ・・たった数日で忘れたのか? まったくカイの記憶力はどうなっておるんじゃ」


「わりぃ、スミハ・・平穏すぎて忘れてた」


「まぁ、冗談はさておき・・・・ミユキよ」


 いつもの声より低めの声でスミハはミユキに問いかける。


「は、はい」


 ミユキは持っていた皿を置いて、スミハへと体を向け真剣な眼差しになる。


「帝国に戻るという想いは変わっておらんのじゃな?」


「・・・・はい」


「うむ。返事までの間が気になるのじゃが・・まぁ、良かろう。では、明日の朝に出発するが異存はないな?」


「はやっ! スミハ、急じゃないか?」


 ミユキが答える前に俺はスミハにツッコんでしまった。


「そうかの? 街に来たあの集団の動きが最近になってアヤシイからの」


「騎士団が?」


 スミハは、コクリと頷く。


「そっか・・スミハがそう言うのなら、ミユキもそれでいいか?」


「うん、わかった」


「決まりじゃな」


「明日から、みんな一緒に旅の始まりだね〜」


 明日の朝に旅に出ることが決まり、なぜか喜ぶシマチを横目に俺達は夕食を食べ終え眠るまでの短い時間で旅の支度を終わらせてから寝床へと潜り翌朝を迎えるのだった・・・・。


感想評価ありがとうございます。


辺境でしれっと生きていくはずの主人公ですが、ミユキを帝国へと送り届けるまで

おあずけになりそうです。

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