街にあの集団がやって来た日に、彼女達がクエストから帰って来たようです
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「カイ、すぐには一緒に行けないにゃ」
「マジ?」
「マジにゃ・・ながぁ〜いクエストが一つ残ってるにゃ」
「なっ・・・・」
シマチの言葉に俺は言葉を失ってしまうも、少しだけ時間を置いたところで冷静さを取り戻すことができた・・気がする。
「あのさ、そのクエストが終われば行けるか?」
「そうにゃ」
「はぁ・・それなら仕方ないな。ミユキ、しばらくここで俺と一緒に生活してくれるか?」
「い、一緒に生活? します」
なぜか、ミユキは頬を紅潮させ俺から顔を背けたことに理由がわからずそのまま彼女を放置して、今日はミユキの身の回りの物を揃えるため久しぶりに街へと買い物へと出かけることになった。
「シマチ、スミハ・・クエスト気をつけてな」
「カイ、行って来るにゃ」
「行って来るのじゃ」
街に辿り着いた俺とミユキは、残っているクエストを終わらせるため冒険者ギルドへと向かうシマチ達と別れ見送った後に商店がある通りへと向かう。
「・・・・ねぇ、カイ?」
「どうした?」
隣りで並んで歩くミユキが前を向いたまま話しかけてきた。
「シマチさん達とは、一緒に暮らして長いの?」
「まぁね。もう数ヶ月経つかな・・・・ミユキと離れてから世話になっているし」
「そうなんだ・・あのね、一つ聞いても良い?」
「あぁ・・」
「シマチさんとスミハさんは、名前で呼んでるけど他の2人はどうして名前で呼ばないの?」
「そのことか・・俺もよくわからないけど、彼女らに認めてもらわないと名前で呼んではダメなんだ」
「認めてもらう・・それなら、シマチさんとスミハさんには認めてもらったってこと?」
「みたいだね。シマチは最初から懐いていたけど、スミハは一緒に魔物討伐をしている途中に名前が欲しいって迫られてね・・それで俺が命名したんだ」
「そうなんだね」
俺とシマチ達の関係に不思議に思っていたようで、ミユキは俺の話を聞いて何か考えているようだったけど俺はそのまま日用品を取り扱っている商店へと入った。
「ミユキが必要な物だと思ったものは遠慮なく買っていいよ」
「いいの?」
「あぁ、それなりに持ってるから気にしないで」
売り場を1人で見て周り戻って来るも、日用品を数個だけ手にしていただけで追加で他のも買えばと告げるも遠慮しているのか首を振り拒んだため、この先帝国に戻っても困らないよう俺は強引にミユキが持っている同じやつを大量購入し彼女のマジックポーチへと無理矢理にでも収納させ店を出る。
「次は服だな」
「でも・・」
「行くよ」
「・・ま、待って」
服を扱う商店に入った直後に俺とミユキを出迎える男店員にミユキを預けると、着せ替え人形のようにミユキは何度も着替えさせられては俺の前に恥ずかしそうに立ち、男店員が俺に感想を言えと強要してくる。
「お客さま、彼女様はどんな服を着ても素敵ですね?」
「そうか? さっきの布の切れ端程度しかない服は、流石に違う意味でヤバかったと思うぞ?」
「・・・・」
男店員は苦笑いで黙り込み、試着室から出てこないミユキが出て来るのを待っている。
「まぁ、いろいろと楽しめたけどアイツが味わった恥ずかしさ分以上は値引きしてくれるんだよな?」
「あはははは・・」
「ん? 違うのか?」
「・・善処します」
「善処? する? しない? どっち?」
「し、します。値引きさせていただきます」
俺からの威圧に屈したようで、男店員は額から流れる汗を必死に拭いながら同意してくれたことに満足し、未だ試着室から出てこないミユキに声をかけた。
「ミユキ〜そろそろ出てこれるか〜?」
「・・・・む、ムリだよ〜」
薄いカーテン越しから弱々しく聞こえるミユキの声に、しばらくソッとする時間が必要だと感じた俺は次の買い物のため店を出ることを伝えた。
「ミユキ、落ち着いたらで良いから出ておいで。俺はしばらく他の店で買い物をするからさ」
そう告げて試着室から離れるため背中を向けた直後に、背後でシャッとカーテンが開けられる音と同時に腕を回されギュッと抱き止められたことで足を止める。
「ヤダッ! 1人にしないで!!」
「おっ・・おう」
予想外のミユキの行動に戸惑ってしまう俺は、力強く抱き着いているミユキの腕を優しく外してから向き合うと彼女の黒い瞳が潤んでいることに気が付く。
「ごめんな、ミユキ・・ちゃんとここにいるから」
「・・うん」
再会したあの日よりもサラッとした黒髪を撫でて落ち着かせることができた俺は、試着した服の半分程の値段で全てを購入し顔面蒼白で笑顔で見送ってくれる男店員に手を振りながら店を出たところで昼食の時間帯になっていたことに気付き、適当に見つけた飯屋へと入ると冒険者達で賑わっている店内だった。
店に入り入口で待っていると、偶然空いた中央の席に案内され店のオススメメニューを2人分注文し待っている時間に隣り席で食事中の男冒険者の会話を盗み聞きしてしまう。
「・・リーダー、明日からのクエストはどうする?」
「あぁ、あのいつもの森で討伐クエで稼ごうかと考えていたんだが、よくない話しを仲のいい受付嬢から聞いたんだ・・だから、しばらく休みにしようと思う」
「仲の良い受付嬢って、ルーリンカちゃんか?」
「・・ま、まぁな」
「なんだよリーダー羨ましすぎる・・けど、それよりもクエストを休まないとまずいことでも起きているのか?」
「あぁ、近いうちにギルドが公表するらしいが帝国兵が街に近い国境線を超えて来ているらしい」
「マジか? なら、あれか・・この街は、戦火に巻き込まれてしまうのか?」
「可能性はゼロじゃないからな・・まぁ、王国騎士団が駐屯してくれるからなんとかなるはずだ」
「王国騎士団がねぇ〜」
(・・この街に騎士団が駐屯しに来るだと?)
俺にとって不穏な話を耳にしまったため、ミユキと食べたオススメ料理の味は全然わからなかったけどミユキは美味しそうに食べていたため味はよかったんだろうと思い、店を出た後は他に買う物がなかったため街を出て逃げるように山小屋へと数時間歩き帰った。
「カイ、お昼ご飯の時の話なんだけど・・」
山小屋へと戻った俺はそのまま入らず畑で元気よく育った野菜を1人で陽が沈み暗くなる前に収穫していると、休憩で使っているベンチに座っていたミユキがいつの間にか隣りでしゃがんでいた。
「飯の時の話って?」
「隣りの席で男の人が話してたこと・・」
「あぁ、帝国兵が国境を超えて来たってやつ?」
ミユキは無言のままコクリと頷く。
「どうだろうな?・・直接見たわけじゃないし。何かあっても、あの騎士団がなんとかしてくれるんじゃない?」
「騎士団が? そしたら、カイも行くの?」
「俺が? 行かないさ。もう俺は騎士じゃないし、生きているのがバレたら脱走兵で処刑されるから逆に姿を消さないとな」
「そうだよね・・」
なぜかミユキの表情が落ち込んだように見えたけど、俺は何も言わず野菜の収穫を終えて山小屋に戻るとミユキは黙ったまま後ろからついて来た。
それからミユキと2人だけの生活が続き、街に行くことも控えシマチ達が帰ってくるまでの数日間をミユキ以外の誰とも合わず畑の野菜達の面倒を見る静かでのんびりとした生活を過ごした。
そんな平穏な日々が続く中で気分転換にミユキと山を散策していると、偶然見つけた開けた場所へと足を向けたら偶然にも買い出しに行っていたあの街が見える場所だった。
久しぶりに遠い景色を眺めることができる場所を見つけたことで、ミユキと2人で昼飯休憩のため並んで座り景色を眺めながら昼食を食べていると、遠くに見える街道を移動する集団が視界に入ってきた。
「あれは・・」
ミユキもあの集団を見つけたようで、俺より先に口を開き反応している。
「きっと騎士団だよ。人の多さと馬車の数・・かなりの大部隊で、あの街に駐屯するつもりだな・・もうあの街に俺は行けないなぁ〜」
「カイ、どうして?」
「あの大部隊を率いる指揮官は、それなりの階級の騎士のはずだから。多分、俺の知り合いが必ずいる」
「そっか・・私は。どうなのかな?」
「ミユキは大丈夫なんじゃない? 冒険者の1人として認知されているだけだろうし」
「そうかな〜」
街道を一定の速度で移動して街に向かう騎士団を眺めながら、朝起きてミユキと2人で一緒に作った肉サンドを食べ終え帰ろうとした頃に騎士団から距離をとって避けるようにすれ違う少数の人影を見つけた。
「おっ? アレに突っ込んで横切るのか? ん〜行かないのか」
街道を我が物顔で隊列を組み移動する騎士団のせいで、街道を横切れない数人の人影はどうやら4人組のようで俺はシマチ達が帰って来たのだろうとわかった。
それから騎士団が彼女達の前からいなくなり街道が開放されたことで、4人組は街道を横切り山小屋がある山へと歩き向かっている途中で俺は不意に視線を感じる。
「・・エルフ娘?」
遠くてハッキリとわからなかったけど山小屋で過ごしている時に、偶に感じていた視線を向けられているような気がしてエルフ娘と呟くとミユキが反応する。
「エルフ?」
「あっ・・おぉ、なんかエルフ娘に見られたような気がして・・ね」
「そうなんだ・・」
「とりあえず、4人が帰って来るから山小屋に戻ろう」
「うん」
もう少し山を散策しようと思っていたけど、4人娘が帰ってきた姿を見た俺は予定を途中で切り上げて山小屋へと続く歩いてきた獣道をゆっくりと歩き戻ったのだった・・・・。
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