突然の修羅場に精神が凍りつくも、今夜は解散してくれるようです
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数話ほど、日常が続きます。
「私、どうしたらいいの?」
俺に答えを求めてくるミユキの黒い瞳を見つめ見つめられながらも答えをすぐに出せない俺は、黙り込んだまま何か答えようと考え口から出た言葉を耳で聞いて自分でも予想外だった・・。
「・・ならさ、考えが決まるまでここで暮らさないか?」
「・・・・・・」
目を見開き紅潮するミユキの反応に何か間違えたのかと焦り、静かな部屋の空気を振り払うように言葉を続けた。
「えっと、着替えとか持っているか?」
「あ、あるよ・・うんポーチにあるよ」
「そうか、そうだ! 風呂・・その格好じゃ、しばらく入ってないだろ?」
「うん、入ってない・・かな? 臭う?」
「そんなことないぞ? うん・・疲れを取るなら風呂が一番らしいからな?」
「お風呂・・良いの?」
「もちろんだ・・ちょっと待ってろな」
嬉しそうな表情の顔をするミユキから逃げるように部屋を出た俺は、一旦山小屋から出て裏にある風呂場へと向かい力作の風呂に沐浴できる準備をしていると、背後からミユキが俺を呼ぶ声が聞こえる。
「カイ・・どこ?」
「ここだよ・・ここにいる」
ちょうどキリがよかった俺は、風呂場から出ると家の窓から漏れる明かりに照らされるミユキの姿を見つけた。
「外は真っ暗だね・・」
「そりゃ、山ん中にポツンと建ってる山小屋だからな・・風呂場はこっちだよ」
ミユキを連れて、魔法ランプで明るくなっている風呂場の前の着替える場所へと入ると、物珍しそうにミユキはキョロキョロしている。
「木の香りがするね・・新しいの?」
「あぁ、こないだ完成したばかりなんだ。そこのドアを開けると浴槽を置いてる部屋だから。ここで服を脱いでから入ってくれな」
そう告げてから俺はミユキの返事を聞く前に外へ出ようと歩き出したところで、左腕をギュッと掴まれ足を止め振り返る。
「待って・・」
「どうした?」
「あのね、その・・近くに、いて欲しいな」
「はい? 風呂ぐらい1人で入れるだろ?」
「うん、入れるってそうじゃなくて・・」
俯くミユキの言いたいことがわからないほどの鈍感じゃない俺は、小さく溜息をついて口を開く。
「はぁ・・なら、一つ壁の向こうで待ってるから・・それでいいな?」
「うん、ごめんね」
ミユキはパッと手を離すと、俺が外へ出る前から躊躇うことなく服を脱ぎ始めるため慌てて外へ出ようと視線を逸らすも、視界の隅にはミユキの白い肌が見えてしまい不覚ながら二度見してから外へと出た。
静かな山の中にポツンとある山小屋は強風が吹き抜ける夜以外は、シンッと静まり返っている環境だ。そのため壁1枚隔てているとはいえ、ミユキが風呂に入りパシャパシャと鳴らす湯の音や呟く独り言が聞こえてしまう。
「ん〜気持ち良い〜」
風呂場からミユキが静かに吐き出す感情を聞きながら、何もすることない俺は彼女が浴槽に浸かる姿を想像・・することなく、これからどう対応するか考えていた俺はいつの間にか自分の世界に入っていたようで、大きな水音を耳元で聞いたような感覚でハッと目を開けると、風呂から出たミユキが覗き込む顔が目の前にあった。
「うわぁっ」
「遅くてごめん」
「いや、遅くはないよ・・」
「ごめんね・・手がこんなに冷たくなってる」
湯上がりでポカポカと暖かいミユキの小さな手が俺の手を握り、胸元へと引き寄せ温めてくれている。
「これぐらい、全然平気だよ」
「そんなことない・・温めてあげるね」
じんわりと温まる手に、ほんの少しだけ遠くなっていた感覚が戻って来たところで俺は立ち上がり、逆にミユキが湯冷めする前に自分の部屋へと連れ帰りベッドに腰掛けさせた。
「俺も風呂に入るから、この部屋で待ってて」
「うん」
ミユキを1人にさせておく時間を短くするため、楽しみにしているフ風呂タイムを普段の半分で済むように急いで身体を洗い、ザブンと温かい湯に浸かり全身が温まっていくはずなのに不意に背筋がゾクゾクッと悪寒が走り本能的に風呂を出て濡れた髪をタオルで拭きながら、ミユキが待つ部屋へと戻ると長期クエストに出かけていたシマチ達がミユキを囲んでいる光景を目にしてしまい心の声を漏らす。
「やべ・・」
浮気現場がバレた男の心境を悟ってしまったような幻覚の中で、部屋のドアノブを握り一歩も動けず固まっている俺に気付く黒目を涙でウルウルさせるミユキの視線に、シマチ達4人の首があり得ないほどグルッと振り向き無言のままジト目で見つめら詰んだと感じ取るも、心を折ることなく俺は告げることができた。
「・・その子は、ミユキだ・・だから、無下に扱わないでくれ」
自分達がクエストで不在にしている間に、家で留守番させている男に見知らぬ女を連れ込んで怒っているのだろうと、いろいろ覚悟を決めていた俺の思いはシマチの言葉で予想外に裏切られるけど、心にはちゃんとダメージを受けた。
「この子は知っているよ? カイ・・あの丘で拉致した子だよね??」
「つ、捕まえた・・決して拉致じゃないぞシマチ? 捕虜として、そう捕虜として捕獲したんだ・・」
「カイ、捕獲も拉致も一緒にゃ」
「・・・・」
他の3人に表情を見られないようニヤつくシマチに、返す言葉が見つからないとシマチの隣りで腕組みをしていたスミハは、金色の瞳をスッと細め獲物に狙いを定めたような視線を俺に向け口を開く。
「カイよ・・妾という生涯のパートナーがおるにも関わらず、人族の幼い少女と密会とはどういう了見なのじゃ? ほれ、妾を納得させる理由をいぅ〜てみよ?」
スミハの追及になんて答えればと追い詰められていると、部屋にミユキの声が響き渡る。
「あ、あの! ごめんなさい! 全部、私が悪いんです。カイは、何も悪くありません!」
ミユキがベッドから立ち上がり、そのまま部屋から出ようと出口に立つ俺の方へと俯き駆け出したため、俺は止めようとドアノブから手を離したところで、フェンリル娘がミユキの手を掴み動きを止めると長い銀髪を揺らしながら口を開く。
「娘よ、外は暗く危険だ・・今夜は泊まるがよい」
「でも・・」
「案ずるな・・あの見境のない男には手を出させん」
(いやいや、フェンリルさん? 俺は、貴方達にいっさい手を出していませんよ?)
喉元まできた想いを心の中で這い出しつつフェンリル娘を見ていると、なんか俺が悪い空気が漂い始めた頃にミユキをフェンリル娘とエルフ娘が連れて部屋から出て自分達の部屋へと向かうと、どうやら解散と決まったようで俺を部屋に残し残りの2人が何も言わず部屋を出て行った。
「・・・・はぁ、もう寝よ」
疲れを吐き捨てるように呟き、部屋のあかりを消して薄暗い部屋のベッドへと倒れ込んだ後に窓から見える夜空を眺めながらゆっくりと眠気に包まれ意識を手放したのだった・・・・。
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