ロンジとの決闘の後がドキリとして、久しぶりに本気出しました
アクセスありがとうございます。
更新遅くてすいません。
投稿する時間が取れなくて・・
「さぁ、遠慮はいらない・・どこからでもかかっておいで」
「・・・・」
ギルド裏にある訓練場は四周を簡易な観覧席に囲まれていて、今は決闘の情報を仕入れた見知らぬ冒険者パーティーとシマチ達そしてロンジのパーティーメンバーが座り、野次馬と化した見知らぬ冒険者達の大半はロンジを応援しついでに俺に秒で負けるなと冷やかしている。
「ったく、どっちの応援だよ」
そう呟きながら絡んできたロンジのパーティーメンバーらしき少女が、ここに移動してくる前に近づいて来て彼の暴走に気づくのが遅れたことを謝って来たのを思い出しふと視線を感じた方に顔を向けると、あの少女と視線が重なり頭を下げて来たので俺は軽く右手を上げて反応する。
「そろそろ、心の準備は良いかな?」
対峙する俺とロンジの中央には、決闘の審判役である女ギルド職員が立ち笑顔で聞いてきた。
「「 はい 」」
「うん、良い返事ね少年クン。繰り返すけど、この決闘に殺しと呪い系魔法は禁止だけどそれ以外はなんでもアリだからね? もし、不正をしたら元Sランクのリリムお姉ちゃんがイチコロにしちゃうぞ?」
「「 ヒィッ・・ 」」
ウインクするリリムさんに背筋が凍りそうな殺気を当てられ思わず悲鳴を漏らした俺は、満面の笑みを見せる彼女には逆らわないよう胸に誓う。
「うんうん・・素直で良い子はスキよ・・それじゃ、はじめちゃおうね・・・・って、さっきからうっセーんだよ! おめーらは! 静かにしやがれ!!」
・・・・・・
訓練場が彼女の言葉で静寂に包まれ、誰かが息を飲む音さえ聞こえそうなほど静かだ・・そして、この静寂を終わらせるのも彼女だった。
「キャハッ・・みんな、冗談よ? それじゃ、決闘開始ぃ〜がんばれ2人ともー!」
どっちが本性なのかわからないリリムさんの開始の合図に決闘が始まるも、相手の素性を知らない俺はとりあえず見極めることにして、自分の間合いに入るか入らないかの距離を保ち左へとゆっくり動き牽制していると、観覧席からシマチとスミハの緊張感のゼロの声が聞こえる。
「カイ、サクッと終わらせるにゃ!」
「そうじゃ! 早く飯を食べに行くのじゃ!」
「・・・・」
2人の声に返事をすることなく彼を警戒しつつ視線を観覧席へと向けると、フェンリル娘とエルフ娘はつまらなさそうに俺を見ていて、並んで座るシマチとスミハは手摺を掴み前のめりになって俺を見ていた。
ザッ・・
地面を蹴り出す音が聞こえ視線を戻すと、ロンジは木剣を上段に構え騎士の基本剣技に忠実な動きに対し俺は右へと横移動し避けただけで、空を斬った木剣は獲物を失いそのまま地面を激しく叩く。
ガンッ
衝撃音と共に一歩踏み出し反撃の一撃をロンジの鳩尾へと木剣を突き出すも、彼のスキルのせいかギリギリのところで後ろへと逃げ、突き出した木剣の切っ先は後数センチ届かず空振りとなり舌打ちをする。
「ちっ・・」
「ふっ・・」
初撃を躱されるも俺からの反撃を避け、舌打ちを聞いたロンジは鼻で笑いつつ地面から上へと木剣を振り上げ俺の顎を狙ってきたのを、彼の肩の動きで予測しの上半身を反らすも切っ先が顎の数ミリのところで振り抜かれたため剣圧で左頬にピリッと痛みを感じ左目を閉じながら上半身を戻し、ロンジの左肩に木剣を叩き込むことに成功した俺は間合いを取り直した以降はこう着状態が続き木剣がぶつかり合う音が鳴り響く。
「はぁ・・はぁ・・中途半端な魔法剣士のくせに、なかなかしぶといね」
「それはどうも・・パラディン様は、もう息切れかな?」
「・・・・うっるさい!」
騎士団が教える基本型の攻撃を順番に繰り出すロンジは単調なため、無駄に体力を減らすことなく振り下ろす軌道に自分の木剣を合わせて振りぶつけて弾くことを繰り返し、これ以上彼の戦いに付き合う理由がないと判断した俺は利き足だろう右足を狙い掬い上げるような全劇を見せ視線を足に向けると、思惑どり俺の誘いに乗り防御への動作に入ったところでさらに剣速を一気に上げ、隙だらけの右上腕に木剣を叩き込んだところでロンジは木剣を手放し地面に落ちたところで決着はついた。
「そこまで! 勝負ありね」
「くっ・・」
激痛で右腕の感覚が無いのか、ロンジは左手で庇いながら俺を睨みつけているとリリムさんが笑いながら彼の肩をバシバシ叩きながら告げている。
「あはは・・お疲れ様、ロンジ君だったかな? まだまだ鍛えるところがたくさんあるから、頑張って有望な騎士様になってね」
「・・・・」
ロンジは悔しそうな表情になるも、今の自分よりリリムさんの方が強いと認めているのか黙ったまま俺を睨み頷いている。
そして、リリムさんの視線はロンジから俺へと向けられる。
「さてと、カイ・・くん?」
「なんでしょう? リリムさん」
「キミ、手を抜いていたでしょ?」
ギリッ・・
リリムさんの指摘を聞いたロンジは歯軋りをしたような音を出すし、俺は惚けてみる。
「はい?」
「手抜き・・して、適当なところで終わらせたでしょ?」
「・・まさか? 相手はBランクで俺は下位のCランクですよ? それにジョブも中途半端で成長しない魔法剣士ですから、上位ジョブのパラディンに敵うはずがありません・・・・こ、今回は油断した彼が俺を侮っていたからかな?」
「・・ふ〜ん。お姉さんの目には、誤魔化せないんだけどな〜」
ロンジの横に立つ元Sランク冒険者リリムさんは、俺を疑うような瞳で見つめていると不敵な笑みを浮かべ、優しい瞳へと一瞬戻ったかと思うとスッと感情を失くしたような瞳へと変わった瞬間には既に俺の懐まで飛び込んで来た。
「んなっ」
ガンッ!
不意打ちを狙い俺の首筋に隠し持っていた木剣をコンパクトに振ってきたのを目で捉えながら、まだ持っていた木剣でギリギリ弾き飛ばした勢いで彼女の両腕を上へと上げ、一瞬の隙を見せたリリムさんの鳩尾に身体の重心を落とし体重を乗せた掌底を叩き込む。
「がはっ」
彼女の鳩尾を完璧に捉え鈍い音と共に肺に残っていた空気を吐き出しながら後ろへと受け身をとることなく背中から倒れ大の字になったまま起き上がらない。
「やべっ・・リリムさん?」
「・・・・」
気絶して白目を剥いているリリムさんは口から泡を出しながら少し全身を痙攣させているため、彼女の頬を軽く叩き意識を覚醒させ視線が重なると、さっきまでの余裕があった瞳はそこには無く怯え震えるリリムさんの瞳が俺を見ていた。
(・・あぁ、これはもうダメなやつだ)
そう感じた俺は、抱き抱えていたリリムさんをそっと地面に寝かせ立ち上がり訓練場を出ようとしたところで、一部始終を見ていたロンジに呼び止められ振り返る。
「ま、待て!」
「なんだ?」
「お、お前・・何者なんだ? 元はといえ、Sランク冒険者を一撃だなんて・・」
「ただのCランク冒険者だよ。まぁ、世の中にはランク付けだけで強さは測れないってことかな?」
「なんだよそれ・・」
「さぁな・・でも、決闘でよかったな? ガチなら瞬殺してたよ、キミ程度の強さなら・・ね?」
「・・・・」
俺の嫌味を込めた言葉に耐えきれなかったのか、顔を背けたロンジは黙り込む姿に俺は何も言わずその場を後にする。
「カイ、ここ痛そうにゃ・・・・ペロッ」
「ん? 大丈夫だよって、急に傷を舐めるなよ」
「なおったにゃ」
「・・あれ? 痛みが消えた」
「んにゃ、猫ペロはいつでも万能薬にゃ」
「ありがとう、シマチ」
ロンジとの決闘が終わり訓練場に気絶したギルド職員を放置した俺達は、約束通り飯を食べるためギルドを出て街の通りを歩く。
「そういえば、どの店で飯を食べるんだ?」
「シマチのオススメの店だよ・・お腹いっぱい食べれるんだよねー」
「そっか・・なら、案内してくれ」
「まかせてにゃ」
シマチは嬉しそうに俺の数歩先を歩き道案内をしてくれるようだ。
「シマチが言うなら間違いないのじゃ・・カイよ、たくさんの金貨を準備しておくのじゃ」
「き、金貨? スミハ、お前はどんだけ食べる気でいるんだよ?」
「くぅ〜相変わらず器が小さい男じゃ! 美しい妾は悲しいのじゃ!」
「はいはい、美しいと思うなら見た目通りの少食でな?」
「ぐぬぬぬぬ・・」
「後ろの2人も、それでいいか?」
視線を後ろに向け相変わらず適度な距離感を保ちながら歩く、フェンリル娘とエルフ娘は無言のまま俺を見て頷く。
「そうか・・」
(シマチとスミハには普通に会話するけど、俺はまだ警戒されているな)
ため息混じりに声を出しつつ視線を前に戻すと、シマチはいつの間にか数十メートル先に立ち両手を振って俺達を呼び目当ての飯屋に辿り着いたのだった・・・・。
もう少しだけ、日常回が続きます。
その後に、久しぶりに彼女の出番がありますよー。
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