魔物討伐の後に思わぬイベントがありました
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それなりに見通しの悪い森の中を移動していた俺とシマチの居場所を3人娘は見失う事なく辿り着いたようで、エルフ娘が満足げな顔でシマチを見ている。
「ねっ・・シマチ、私の優秀な索敵能力のおかげで捕まえることはできましたよね?」
ふにっと肩に重みを感じるとシマチは俺の肩から飛び降りると姿を少女へ戻し隣りに立ち服装も戻っている。
「捕まえたよ〜」
「当然です」
エルフ娘は自分の能力を自慢するように俺に視線をチラチラ向けている気がするけど、とりあえず素直に褒めることにした。
「さすがだね、あんな遠い距離にいる魔物の位置を捉えるなんて」
「ふふっ・・そんなの簡単よ? だって私は森の支配者だから」
「はて? こないだの水浴びの帰りに1人迷子になった金髪碧眼の娘がいたような気がするのじゃが?」
「ちがっ・・あれは探し物をそしていたの! そう、探し物よ・・ふんっ」
色白エルフ娘の顔が紅潮し黒髪のドラゴン娘に抗議している姿を見ていると、俺の視線に気付いたのかエルフ娘は抗議をやめて黙り睨み付けた後に顔を逸らしてしまった。
「・・なんか知らないけど嫌われた? まぁ、とりあえず森から抜けようぜ? エルフ娘さん」
「し、仕方ないわね・・こっちよ!」
エルフ娘に先導されながら森を歩いていると、俺達に近付いている気配をたまにスキル発動していた気配探知に反応があった。
「・・何かくる」
「カイ、ゴブリンだよ・・たくさん」
俺が気配に気づいた時には他の4人はすでにゴブリンの存在を知っていたようで、先頭を歩いていたエルフ娘は 俺より後ろへと戻りシマチとフェンリル娘が前に出た。
「「 くるよ!! 」」
シマチとフェンリル娘が同時に叫んだ直後に進む先の茂みから全身緑色の肌の小さな人形魔物が奇声を発しながら5匹が横並びで襲って来た。
そのゴブリンをシマチとフェンリル娘が素早く移動しながら迎撃し、あっという間に倒した後に俺たちへと顔を向けた直後に再び同じ場所からゴブリンが姿を現し襲ってくる。
「・・囲まれたか? けど数が異常に多い気がする」
「そうじゃの・・あ奴らは集団で行動するが、こんなに一度に襲ってくる習性はないはずじゃ」
周囲から襲ってくるゴブリンを全員で倒している中で、俺は疑問を口にすると偶然近くに居たドラゴン娘が反応してくれた。
「・・やっぱりそうだよな。もしかしたら・・」
「カイ! この先に強いゴブリン臭がする! 近くに巣があるよ!」
「ゴブリンの巣かよ! 最悪だ!」
ゴブリンの巣には数え切れないほどのゴブリンが住んでいると聞いたことがある俺は、数人の冒険者パーティーでも数で圧倒され消耗戦となり冒険者は負けると・・そして女冒険者は巣へ連れて行かれ人の尊厳を失うと。
でも、今回はゴブリン達の思惑通りにはならないようだ・・・・なぜなら、彼女達が強すぎるから。
一時の休みを与えることなく波状攻撃を仕掛けるゴブリン達をエルフ娘が1回で同時に10数本放つ矢が風魔法で加速されゴブリンの頭を貫き絶命させると、そのまま背後にいるゴブリンの頭も貫き排除していく。
それでも運よく矢の脅威から逃れ倒れた仲間の死体を踏み越え棍棒を振り上げるゴブリンをフェンリル娘が頭身が白銀に輝く片手剣を華麗に振り回し斬り捨てていくのに、1滴も血飛沫が上がらない。
「すげぇ・・」
「オオカミちゃんの剣は、キンキンに凍ってるんだよ。だから、斬り口が一瞬で凍るから血が出ないの」
「凍ってる?」
フェンリル娘の斬撃の後にキラキラと光の粒のような物が見えていたような気がしていたのは、どうやら氷の粒だったのかと思いつつシマチの話を聞きながら自身に襲い掛かるゴブリンを排除していると、何も攻撃をしていなかったドラゴン娘がトコトコと危なげなく俺の所に来た。
「どうした?」
「・・・・そろそろ良いかの?」
「・・お前、何をする気?」
ニヤリと微笑むドラゴン娘が持つ金色の瞳に何か企んでいるのを感じた。
「まぁ、見ておるのじゃ」
クルッと周り俺の前に立ち背中を見せるドラゴン娘は、キョロキョロ見渡した後に前で戦い回るフェンリル娘とシマチに下がって来るよう告げると、2人は素直に戻ってきてドラゴン娘の横に立ち肩に手を置いた。
「もう、終わらせるにゃ?」
「終わりなのか?」
「そうじゃ、もう雑魚の相手は終わりなのじゃ」
ドラゴン娘の言葉に2人は納得したのか、肩に乗せていた手を離し俺を見て後ろへと移動する。
強者の一方的な蹂躙が止まったことにゴブリン達に躊躇いが一瞬だけあり動きが止まるも、俺達が一ヶ所に集まっていることに明らかに表情がニヤついていたように見え一斉に奇声を発した。
そんなゴブリン達が勝利の雄叫びのような不快感全開の鳴り響いていた奇声が止まりシンッと静まり返った直後にゴブリンの総攻撃が始まる一歩が踏み出される直前に、ドラゴン娘の魔力が過去に感じたことが無いほどの一気に膨れ上がり囲んでいたゴブリン達に無慈悲なドラゴンブレスの業火に包まれ一瞬にして燃やし尽くされ消し炭となった・・。
ブレスの範囲外にいる俺にも火傷しそうな程の熱波を感じ耐えてドラゴンブレスが終わるのを見守り続け、ボンッと破裂音に似たような音を聞くと同時に視界にドラゴン娘の背中が迫り反射的に抱き締めながら後方へと飛ばされる勢いを足を滑らしながら殺し転倒を免れた。
「ふぅ・・まだまだ妾は未熟なのじゃ」
「だ、だいじょうぶか?」
「なんじゃ? お主が妾を汚すことなく受け止めてくれたのじゃな?」
「まぁな・・ギリギリだったけど」
「ふむ・・礼を言うじょ・・」
なぜか言葉を噛むドラゴン娘は、ほんの少し顔が赤いような気がするも顔を逸らされ立ち上がり離れたため真相は分からず背中を見せながら呟く。
「コホンッ・・もう巣ごと燃やし尽くした頃合いじゃな」
「・・相変わらず、丸ごと燃やし尽くすのね」
フェンリル娘がドラゴン娘のそばに寄り添い話しているのを聞いていると、エルフ娘も歩み寄り何かを探る仕草をしていた。
「ゴブリン達は全滅ね・・巣に人族の女の気配が数人ありましたが、死んだ方がマシな状況だったので仕方ないでしょう」
エルフ娘の言葉にゴブリンに捕らえられた女を助けられたんじゃないかと問い質そうと口に出そうとした言葉を、過去に見たあの惨状を思い出し飲み別の言葉を吐き出す。
「・・このままだと、森が焼き尽くされないか?」
「大丈夫だよ、カイ。見てて」
隣りにいたシマチは、俺の腕に触れ見上げる顔に俺は頷き見ていると、フェンリル娘が持っていた白銀の剣を横薙ぎにした後に熱く熱せられていた森の空気が急激に下がり高く上がっていた炎は小さくなり消えた後には焼け焦げた地面は凍っていた。
「・・・・」
目の前の光景は次元が違い過ぎて言葉にならない俺を、シマチの無邪気な笑顔で冷静さを取り戻してくれた。
「カイ、行くよ」
シマチに声を掛けられこの場から立ち去る俺たちは、森の奥へと進み2日野営をして遭遇する魔物達を倒し討伐部位を回収し順調に成果を残していく。
「今日で3日目だから、もう森を抜けないとだな」
「カイ、楽しかったね。これで、シマチ達はお金持ち?」
「ん〜どうかな? 高くねが付きそうなオークとかはドラゴン娘が消し炭にしたからな〜」
「にゃはっ・・そうだったね。でも、肉はおいしかったにゃ」
「だね」
最終日の朝にまだ寝ている3人娘の寝顔を見ながら目を瞑り甘えてくるシマチのネコ耳と喉元を触りながら2人の時間を過ごしていると、ふと視線を感じ顔を向けるとドラゴン娘が金色の瞳で俺を見つめていた。
「・・お、起きていたのか?」
「・・・・・・」
無言のままムクリと起き上がると、そのまま何も言わず俺の右側に座りコテンと頭を肩に乗せる。
左側ではシマチはドラゴン娘が来た事を気にする様子もなく、ぐりぐり甘え続けているため何も言わないドラゴン娘をそのままにして左腕をシマチの背中にまわし抱き寄せながら長いシッポ¥を掴み遊んでいると、黙っていたドラゴン娘がポツリと小さく呟く。
「カイよ・・」
初めてドラゴン娘から名前を呼ばれた俺は、意味を疑いシマチのシッポを弄っていた手を止め反応できずにいると頬を少し冷たい手に挟まれ顔を右側へと向けられると金色の瞳と間近で見つめ合う。
「「 ・・・・ 」」
「・・カイ。妾にも名が欲しいのじゃ」
「な、名前?」
「そうじゃ・・シマチのように妾にも名前を授けるのじゃ・・はやく」
「急にそう言われても・・」
「さぁ・・妾に名を・・さぁ・・」
「ちょっ・・近いって、スミハ・・・・あっ」
ドラゴン娘の顔がグッとさらに間近になり逃げようにもシマチが反対側でくっついているため逃げ場は無く、どうしようもならない状況で密かに考えていた名前を口にしてしまった。
「スミハ? そうか、妾の名前はスミハなのじゃな・・そうかそうか」
スミハことドラゴン娘は、何度もスミハと呟きながら両手を胸に当てて目を瞑る姿を見ていた俺の胸にチクリと何かが繋がる感覚があったけどよくわからずにいると、パッと目を開けて金色の瞳で俺を見上げ笑顔で告げる。
「カイ、これからもよろしくなのじゃ」
「あぁ、よろしくなスミハ」
「んにゃ〜スミハちゃん、シマチもよろしくね?」
「うむ。これからもよろしくなのじゃ、シマチよ」
「でも、どうして急に名前が欲しくなったの? そんな素振り全然なかったにゃ」
「たしかにそうだよな。 あの2人と比べて会話はあったけど・・」
シマチの疑問に俺も同意し、スミハに聞いてしまった。
「そ、それは・・・・なんじゃからじゃ」
「な〜に? よく聞こえないよスミハちゃん? ス・ミ・ハちゃん?」
シマチの口撃から逃げようとスミハは顔を逸らし俺の身体に隠れようとするも、にゅるりと器用に全身を伸ばし迫るシマチの動きが柔らか過ぎて液体のように動くシマチの腰あたりをムニュッと俺が摘むとビクンッと反応し甘い声を漏らしながらシマチは大人しくなりスッと元の場所へと戻りスミハへの口撃は終わりを迎えたのだった・・・・。
とりあえずシマチの次にドラゴン娘のスミハが、カイの懐に入っていきました。
次は、どの子かはそのうち・・タイミングもです。
幕間で帝国に召喚された勇者達の動きを描く予定は今のところないですが
カイと別れたミユキの方は、投稿します。




