初討伐は出番無しの俺だけど、シマチは癒しの存在でした
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冒険者ギルドを出て街の通りを歩く4人娘の背中を眺めながら告げる。
「しばらくは、山小屋に帰れないけど我慢してくれ」
「頑張るよ〜」
返事をしたのは振り返り笑顔を見せるシマチだけで、他の3人はただ俺に顔を向けただけの反応だったけど気にしない。
移動手段が歩きだけという致命的な状況のため、ギルドで聞いた馬車屋という足代わりになる便利屋の店へと向かう途中の商店に寄りながら、この数日間の野営で必要なグッズを買い揃えた。
「このお馬さんがいいにゃ」
馬車屋が所有する馬を何頭か見ていると、シマチが気に入る薄茶色の雄の馬に決めて荷台のタイプは一番値段が安い左右に木の板をイス代わりにした長距離では尻が痛くなること間違いないタイプに決めた。
「目的地は、街の西の森手前の場所で。到着して3日後に同じ場所に迎えに来て欲しい」
「わかりました。お迎えに行く日だけ護衛冒険者パーティーを雇いますがよろしいですか?」
「いいよ。雇費用は?」
「こちらで探し当店負担です」
「いいのか?」
「はい、お客様の料金に含ませていますので」
「あぁ、そういうことね・・」
馬車を購入する金額より遥に安料金だけど、金貨10枚はかなりの損失で3日間の魔物討伐でも赤字は覆らないため行かないほうがマシだと気付くも、高い勉強代だったと諦め行くことにした。
馬車屋の準備が終わり街を出発して街道を移動している途中で、4人娘の役割を聞いてみるとシマチが教えてくれた。
「シマチは、短剣で人族で言う斥候だけど戦いも得意だよ。ドラゴンちゃんは、見ての通り火遊び大好きっ子。だから後衛だね。オオカミちゃんは、冷たーい視線を向けて敵を凍らすのが趣味だよ。素早さは、シマチより少しだけ遅いけど人族よりは遥に強い子。だから、攻めと守りができる何でも屋さん。最後にエルフちゃんは、隠し持つ弓術で遠い敵を瞬殺しちゃうし風魔法で攻撃も得意だよ〜それに探知系がシマチ達の中で一番得意だけど・・森の中限定にゃ」
「そうか・・俺とシマチが前衛でフェンリル娘が中衛・・それでドラゴン娘とエルフ娘の2人が後衛で決まりだな」
俺達の役割が決まり魔物との戦い方をイメージしていた頃に馬車がゆっくりと止まった。
「お客さん、この先に見える森が西の森だよ」
「ありがとう・・迎えは今日から3日後のこの場所で頼むね」
「あぁ、任せてくれ。その時も俺が御者で護衛冒険者達とここに来るから・・」
「わかった・・時間は昼ぐらいで」
「昼なら朝一に街を出れば余裕で間に合うな・・わかった。到着して日没までにお客さんの姿が見えなかったら街に帰るが、もしもの場合で次の日以降もアレだったら追加料金で迎えに来るけどどうする?」
「ん〜問題ないと思うから、いなかったら依頼は終わりでいいよ」
「わかった・・ちゃんと帰って来てな? あまり何度もあの光景を見たくないから」
「問題ないさ・・そっちも道中気をつけて」
「あぁ、まぁこの街道は治安が良い方だからな」
馬車屋の男はそう言いながら街へと戻って行くのを見送ってから森へと視線を向けて歩き出す。
「カイ、待って」
「どうした?」
森へと向かい始めたところで、シマチに呼び止められ振り返る。
「森の中を歩きながら魔物を探すのは疲れるだけにゃ」
「・・そうだけど、魔物を探すにはそれしかないだろ?」
(まぁ、俺は気配探知スキル系を使えるけど・・)
「ぐふふっ・・だから人族は低能で、効率が悪いのです」
地道な捜索を口にした俺を見下した瞳で見るエルフ娘が勝ち誇ったような表情で久しぶりに喋ったことに、イラッとする。
「いきなりなんだよ? フォレストヒッキー」
「なんですって!?」
ヒッキーことエルフ娘がヒステリックになったところをシマチが笑っていると、どうやらプライドを傷付けられご立腹の彼女はスッと何かを構えるような動作に入り腕を止めると手には弓があった・・。
「・・見ていなさい、私の実力を」
エルフ娘は森の上空へと矢を3本同時に放ち風を切る音が遠くなり静まり返る・・・・も何も起こらないし起きそうな気配も無い。
「????」
3本の矢が放たれた森とエルフ娘の顔を何度見ても、ただ彼女は満足した顔をしているだけで俺には理解できず隣りにいるシマチに聞いた。
「シマチ、あそこのフォレストヒッキーは何してんの?」
「それはにゃ・・」
細長いシッポの先っちょを俺の左足に絡めるように当てながら、ニマニマするシマチを見ているとエルフ娘が口を開く。
「・・400先のあっちとそっちに魔物がいるわ。シマチは人族と狩って来なさい!」
「カイ、一緒に行くよ」
「えっ? 行くってなに? うわっ・・」
「うにゃー!!」
状況が理解できないままシマチに腕を掴まれ森へと突撃して行くハメになった俺は、速すぎて足がもつれそうなのを必死に動かすも結果的に引き摺られながら森を進む。
ビシバシと身体中に当たる草木の痛みに耐えながら、早くこの時間が終われよと願い始めたところで急にシマチが足を止めたことに踏ん張って止まろうとするも小さな背中に追突してしまうも、ふにゃりとした柔らかい感触で痛みもなく勢いが殺されてしまった。
「んにゃにゃ?」
「悪い・・止まれなかっ・・ん」
シマチに謝ろうとした途中で口を小さな手で押さえられ、彼女が向ける視線の先に初めて見る生き物がいた。
「あれは?」
「焼いたら美味しいロックバードだよ。飛べない鳥だから簡単に捕まえるにゃ」
そう呟いたシマチの身体は小さくなり、見た目が普通のネコサイズへと変化し四つ足を一生懸命動かし茂みへと音も出さず消えていく後ろ姿を見送った数秒後には、鳥の鳴き声と飛べないくせに羽をバタつかせ暴れ抵抗するもシマチの前足が押さえ付けた瞬間に身体の半分近くを地面に埋め圧死したようだ。
「小さな猫の手も侮れないな・・」
ふと寝転んでいる俺の上に乗っかり目を瞑り喉を鳴らしながらフミフミする愛くるしい姿が可愛いシマチだけど、あの無駄に硬そうなロックバードを簡単に踏み潰す光景を見た俺の胸の鼓動はドキドキしていた。
街中で見かける野良猫より一回り大きな体格のロックバードは息絶え、シマチは首元を咥えながら引きずり俺の元へとトコトコ歩いて戻ると、咥えていたロックバードを俺の足元に置き座りながら見上げ小さく鳴いた。
「にゃっ」
「おかえりシマチ・・猫のままなの?」
「んにゃっ」
そうだよっと言うような感じで、ピョンッとジャンプすると俺の肩に乗りゴロゴロと喉を鳴らしながらスリスリするシマチを撫でてから足元にいるロックバードを拾いマジックポーチに収納した。
「3人の所に戻るか・・」
来た道を歩いて戻ろうとするも、シマチの後ろをただついて来た俺は周囲を見渡しても景色に見覚えは無く迷ってしまう。
「シマチ、やっぱ帰り道がわかんねーや」
「にゃっ」
「そうか・・」
言葉を喋らなくても、シマチの言っていることが理解できたような感覚の俺は、動かず待っていると、正面の茂みからガサガサと音が聞こえ3人娘が姿を現したのだった・・・・。
感想評価ありがとうございます。
読者様の感想は、胸にきます。
やはり、ストーリーを創り上げるのは難しいですね。
カイ・・頼むぞ〜




