お母様とサーシャ達の協議により勇者クンの命が僅かに伸びるようです
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3人が先に出てシマチは少女姿に戻りサーシャ達の後を追い、部屋に取り残された俺は慌てて部屋を出て追いかけた。
王城のあの高い場所から見下ろしていた王都は何も違和感を感じられなかったけど、通りを歩いて初めて店は全て閉まり俺たち以外誰一人歩いている姿はなく、外に繋がる門を警備する門兵の姿が、初めて見た人だった。
「止まれ! 騎士団長の命により、今は王都から出ることを許可できない!」
騎士団長が王都の出入りを制限できるほどの権限はなかったよなと記憶を辿りながら警告する門兵の前で俺達は足を止める。
「街の人たちを見かけなかったけど、何かあったのですか?」
「王都には厳戒令が発令され、行動が制限されているのだ・・・・貴様らは、冒険者だな?」
「そうだけど・・」
「貴様らは冒険者ギルドに行ってない隠れていた冒険者パーティーだな? 騎士団からギルドに通達された、王都にいる冒険者はランクに関係無く騎士団長の指揮下に入り、共に行動することになっている!」
「そんなこと知らん! 俺達は、王都を拠点にするパーティーじゃないから従わない!」
門兵の若い男は、口答えする俺に苛立っているようだ。
「駆け出しの初心者冒険者でも知っている、基本だぞ?」
「だから、知らないから知らねーよ」
「貴様!!」
門兵は手に持つ槍を苛立つ感情に身を任せ俺に穂を向け構えながら威圧していると、詰所のドアが大きな音を立てて開放されると、強く開けられたせいなのかバタンッと地面に倒れドアの役目を終わらせた後に誰かが姿を見せる。
「外が騒がしいわね!? せっかくのティータイムが楽しめないじゃない!」
不機嫌そうに軽装姿で現れたのは、母様と行動しているはずのアンだ。
「もも、申し訳ございません!! 第1王女様!!」
「・・・・あら、カイ。あなた達も居たの?」
「あぁ、居たよ。帝国勇者の姿を拝みたくてね」
「き、貴様ぁ! 第1王女様に対して何という無礼な・・」
「門兵? 任務にもどりなさい」
「はっ・・」
アンにキッと睨まれながら指示された門兵は慌ただしく持ち場へと戻り、一度も振り返ることなく背を向け門の向こう側を見て微動だにしない。
「カイ、私に同行をすることを許可します」
「・・・・」
「聞こえてるの?」
「・・あっはい! 行きます!」
王女様モードのアンはいつもと違う命令口調で俺を呼び、俺達は門兵の詰所へと連れて行かれる。
「入りなさい」
外にいた門兵とは違う2人の近衛兵はドアの前から横に移動し王女様自らドアを開けて入ると、窓が無く10人居れば狭く感じる部屋の大きさで、その奥にあるソファに母様が座っていた。
「あら、カイちゃんも来たのね?」
「はい。母様は、まるで冒険者のような格好ですね」
「そうよ。あの人と会う前の若い頃を思い出すわ・・それに、どう? 似合うかしら?」
「はい、とても似合っていますよ」
「うふふっ・・嬉しいわ、カイちゃん」
母様は嬉しそうな顔立ちで立ち上がるとソファに立てかけていた剣を抜刀し、刀身が片手剣より細く細剣よりは太い珍しい剣を眺めた後に一振りして鞘に収めた。
「ん・・・・慣れ親しんだ剣は、古くても最高だわ」
初めて剣を持つ母様を見た俺は少しアブナイ人だと認識し、少し距離を置こうと決めようとしていると母様が不意に獲物を狙うような視線を向けてきた。
「カイちゃん。お母さんに対して、いま変なこと考えてない? お母さん、ショックだわ」
自分の感情が読み取られそうなことに畏怖した俺は、苦笑いしながら話題を変えることで逃げる。
「気のせいですよ? 母様・・あの、ここで何をしているのですか?」
「アンジェリカ王女様の付き人兼護衛よ? 帝国勇者が王女様に一目惚れして襲い掛かってきたら斬り捨てるの」
「そ、そうですか・・」
「カイちゃんは、何しにここに来たの?」
「それはですね・・・・」
サーシャが言っていた勇者クンを消すとは言えずに困っていると、サーシャには関係が無かったらしい。
「勇者を消し炭にして、世界から消すからですよお母様」
「ちょっと、サーシャ?」
王国のトップである国王陛下に対しては普段通りの口調なのに母様に対しては敬語を使い、しかもお母様呼びにしたことに俺は驚いた。
「サーシャちゃん、帝国勇者を消せちゃうの?」
「はい。先程、勇者が放った攻撃魔法にカイが傷付けられまして危うく命を落とすところでした。不意打ちであれ、傍に私達がいながら防げなかったことは事実であり責任を取るため、勇者を4人の力を合わせて消します」
「そう・・それは面白そうね。でも、私と王女様は帝国勇者を見たことないから消すのはその後でもいいかしら?」
「はい、お母様が言うのであれば、異論はありません」
「ありがとうね、サーシャちゃん」。他の子達はどうかしら?」
サーシャと並び立つシマチ達3人は笑顔でコクリと頷き同意したことで、帝国勇者クンの命は数分だけ長生きできることが決まった瞬間だった・・・・。
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