帝国勇者の出迎えに第1王女アンジェリカの従者として母様が行くらしい
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朝の暇潰しに・・・・どうぞ。
「戻ったにゃ!」
「おかえりシマチ・・どこ行ってたんだ?」
「城のいろんなとこにゃ」
「何か面白いの見つけたか?」
「迷路みたいで、ユキナと追いかけっこして圧勝したにゃ」
「シマチよ、我の勝ちなのだ」
「んにゃ、シマチの圧勝にゃ・・」
勝ち負けを互いに認めない2人は、このままずっと言い合いが続くのかと見守っていると、息を合わせたかのように急に言い合いをやめて俺を見る。
「満足したの?」
「してないにゃ! それよりも、街の遠くにポンコツ勇者がいたにゃ」
「主よ、シマチの言う通りなのだ。まるで魔王城に魔王を倒しに来た勇者パーティーみたいな光景だったのだ! 我の魔法一撃で凍らせてみていいか?」
「待て待てユキナ・・とりあえず落ち着いて、話し聞こうな? あのな、いきなりこっちから手を出したら王国が考えた作戦が水の泡になるだろ?」
「ふむ・・それもそうだが、主よ? 我らには微塵も関係無いであろう? この国の行く末など・・」
「ユキナさん? それをこの国のトップである国王陛下の前で言うのは不味いよ?」
ユキナの失言に陛下が反応しなかったけど、隣りに立つガリア宰相が反応してしまった。
「何だ!? その言動は!! まるで王国が帝国に屈しても関係無い発言では無いか!?」
「そうだ。我には、関係無いのだ。そこの人族よ」
スパッと冷淡な口調で告げるユキナに対してガリア宰相は激昂し顔を真っ赤にして詰め寄ると、ユキナは嫌がるように右手を軽く振るだけでガリア宰相の顔面が一瞬にして氷に覆われ、少しもがき苦しんだところでバキッと割れ落ち顔面蒼白のガリア宰相は震えてユキナを見る。
「・・・・」
「男よ、我は主に従っているだけなのだ。お前の国など関係無いのだ」
ユキナの発言にサーシャは微笑し静観し続ける中で、王国側の陛下とガリア宰相は黙り込んだままだ・・なのに、なぜ同じ立ち位置である第1王女のアンはニヤニヤしているのかわからない。
一方的な空気になり部屋の温度がグッと下がり冷えてきたことで、勇者率いる帝国兵よりもこの部屋にいるユキナの存在が脅威では無いかという王国側の雰囲気に、サーシャは溜息混じりに歩きやりきった顔をするユキナの首根っこを掴み俺の近くへと引っ張り床に座らせる。
「ユキナ? なに勝手に人族を凍らせたのかしら?」
「サーシャよ、あの男が偉そうだったからなのだ」
「そうだけど、カイの許可を得てからにしなさい」
「なぜだ? サーシャは、なぜあの男の味方をするのだ?」
「はぁ? あの男に味方なんてしてないわ。一つ聞くわ・・・・ユキナのリーダーは、誰かしら?」
「カイがリーダーなのだ」
ユキナは見下ろすサーシャを見上げ今更何を言っているのだという顔をしているため、再びため息をついて問う。
「はぁ・・なら、あなたの種族でリーダーとは?」
「絶対的な存在なのだ」
「なら、これ以上聞かなくてもわかるわよね?」
「うむ・・すまぬ」
まるで悪戯して親に怒られた子供のようなユキナはそのまま俯いて黙り込んでしまったため、俺は彼女をフォローするためサーシャと入れ替わりユキナの前で屈む。
「ユキナ?」
「・・・主よ」
まるで捨てられた子犬のような潤んだ銀色の瞳で見つめるユキナの銀髪を撫でながら優しく聞かせる。
「ユキナ、さっきの魔法は面白かったぞ?」
「主よ、そうなのか?」
「あぁ、まぁなんだ・・王国が今更どうなろうが俺も関係無いと思っているけど、今はこの部屋に国のトップがいるからな?」
「うむ、すまなかったのだ」
反省しているユキナの頭を撫で続け、かまっているとこの部屋で一番偉い国王陛下が呟いた。
「カイよ、さっきから不穏な言葉が聞こえてくるのだが?」
「き、気のせいですよ? 国王陛下・・・・この国の辺境地でスローライフを満喫する予定なので」
「・・・従えている美女達は、この国の総合戦力ですら凌駕している。まさか、独立国家を・・」
「陛下、そんな面倒なことなど考えていません。今は、辺境で静かに暮らすことしか・・・・」
「それはそれで何か企んでいるように思えるが、これ以上の追求はやめておこう・・今は、帝国勇者の対応するのが最優先事項だ。ガリアよ、次の手は?」
1人だけ足元が濡れているガリア宰相は、何もなかったかのように陛下に正対し口を開く。
「はい、まずは騎士団長ジーニスの作戦が予定通り進めば、帝国勇者パーティーのみ王都に受け入れます。その対応を第1王女アンジェリカ様にお願いします」
「ガリア宰相? 片腕のない私を帝国勇者に差し出せと言うの?」
「そんな無謀なことは致しません。従者として、フィフスアンガー侯爵夫人のブレンダ=フィフスアンガーに依頼し承諾済みです」
「ブレンダ様が!? いいわ、私もまだ機会が残っているようね」
アンの表情が安堵より何か企むと時の顔になったことが気になるものの、なぜ母様が王城へと行く必要があったのかを理解する。
父様から譲渡される土地の手続きよりも、アンの従者として行動することが本命だったのだと・・・・。
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