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幕間 王国騎士団副団長アリア

アクセスありがとうございます。

サイドストーリー的なやつで、主人公との関係性が

見えてくると思います。



王国騎士団副団長・・アリア=ソーフィスディア



 幼少期に幼馴染5人全員で誓い約束した王国騎士団養成学園へ無事に入学することができた。私達、貴族家出身の子供達が通う中等部学園を卒業するまで友達でも自分が上位に立つため蹴落とす風習の中で、一切そんなことをせず私達5人は誰一人突き放すことなく結託して騎士養成学園に入った。


 入学式が終わり1年目はクラスが違っても時間を作り毎日顔を合わせ楽しく過ごしていたのに、いつの間にか幼馴染で恋人のカイだけが2年生に進級する3ヶ月前から授業の欠席日が増えていると聞き、上位5以内にいた成績も急降下し今では落第ギリギリまで落ちこぼれてしまった・・。


 ずっとみんなで頑張って来たのに堕落したカイの事が許せない私は、5人の中でリーダー的存在のジーニスに相談する日が増え、学園が授業が終わった後も彼と会う時間も増えていた。


 私のカイに対する不満をずっと受け止めてくれるジーニスは優しくて頼り甲斐がある存在で、いつの間にカイに対して溜まっていた不満をジーニスが優しく取り除いてくれる。


 そんな日々が続き、ある日ジーニスがカイと距離を置いて自分のことに時間を使った方が将来役に立つと言われ、彼と同じ剣技専攻クラスの私は、ジーニスと2人で居残り練習をするようになっていたある日の夕方に、ジーニスから初めてカイの話しをしてきた。


「アリア・・」


「なに? ジーニス」


「カイのことなんだけどさ」


「カイがどうしたの? またサボってた?」


「いや、僕から言うのは違うかもしれないけど・・アリアはカイと恋人関係を終わらせた方がいいと思うんだ」


「私がカイと別れろと!?」


 ジーニスの言葉に正直驚いてしまい思わず声が大きくなってしまったけど、そう考えた事がある自分がいたため別れた方が良いかもと改めて思う私がいた・・。


「ご、ごめん・・今の忘れて欲しい」


「う、うん・・でも、どうしてそう思ったの?」


 ジーニスは構えていた木剣の切っ先を下に向け真剣な顔で私を見つめるけど、恥ずかしい感情は微塵もないためそのまま私も彼を見つめる。


「最近のアリアの剣に迷いを感じる・・というか、剣技に身が入っていないように見える原因がカイにあると思ったんだ」


「そう・・たしかにジーニスの言われた通り、カイの事が気になって授業中も気にしてるわ」


「そっか・・自覚はあったんだ」


「えぇ・・それに、カイと・・・・なんでもないわ」


 それから数日の時が流れ、今ではジーニスと一緒に過ごす時間が普通になり学園の外で街への買い物でもジーニスと出かけるようになっていたことになんとも違和感を感じていなかった。


 もちろん、他の幼馴染達と会う時間を減らしてまでジーニスと2人きりで会わず、みんなと楽しい時間を過ごしていた・・ただ、そこの場所にカイの姿はなく隣りには必ずジーニスが座っていた。


 周囲のクラスメイトが、落ちこぼれとしてカイを見るようになり恋人の私も同じような視線でカイを見るようになってしまった頃に、ジーニスとの居残り練習をしているときに再びカイと別れた方が良いと助言された私は、その場は笑ってごまかすも翌日の午前中の次の授業のため移動している途中に、中庭の木の下で堂々と寝てい授業をサボる彼を見て揺れていた気持ちに決心した。



 (カイと恋人関係を終わらせよう・・・・・・)


 そう決心した私の行動は早かった・・でも、学園内でカイを探すもどこにも姿はなく仕方なく彼が在籍する教室へ向かうも廊下がやけに静かで、不思議に思いながら教室のドアを開けると学園生は誰一人おらず、机の数が私のクラスより異常に少ないことに、きっとカイより先に退学した子が多いのだろうと思いため息が漏れた。


「キミは、アリア学園生だね? ここは上位生のキミが来るような場所ではないぞ?」


 別に気を抜いていた訳じゃないけど、不意に背後から声をかけられゾクッしながら振り返ると剣技コースでお世話になっている主任のカイザー教官だった。


「す、すいませんカイザー教官。カイを・・カイ学園生に用事がありまして」


「カイ? あぁ、キミの幼馴染クンだったね・・彼らは、課外授業に行っているからしばらく学園には戻って来ないぞ? ずっと来ないかもしれないだけど・・」


「課外授業? そ、そうですか・・ありがとうございます」


 学園生が課外授業に行くのは、専攻科目を受けた2学年生が6ヶ月訓練して初めて行くと聞いている、あの課外授業をなぜカイがいるクラスはもう行っているのだろうかと不思議に思うも、ジッと私を見るカイザー教官から逃げたくて考えるのをやめて一礼し教室から離れた。


 あれから何度もカイの教室の前を通るも人の気配は無く、学園内を歩くついでにカイの姿が見つからない日を数日過ごしていた小雨が降る日の午前中の授業が終わり、幼馴染のジーニス達といつものように昼食を食べるため食堂がある建物へ歩いていると、訓練場横の立木に背中を預け座りずぶ濡れの学園生に目が止まりよく見ると訓練用に使う軽装の防具を身に付けボロボロな姿になったカイだった。


「・・カイ?」


 そう呟くと、昼食のメニューをランチにするか別のものにするか盛り上がっていたジーニスが私を呼ぶ声が耳に入ってきた。


「アリア・・アリアは、今日何にするんだい?」


「・・えっ? な、なに?」


「だから、今日の昼飯・・」


「あっ・・今日もAランチにするわ」


「そう、好きだねAランチ」


「うん・・あっ」


 ジーニスに話し掛けられた私は、幼い頃の教育のおかげで話しかけた人の顔を見るため反射的に彼の顔を見たせいでカイから視線を逸らしてしまい、すぐに視線を戻すもすでにあの立ち木のところにカイの姿はなく誰もいない立ち木を見つめながら呟いた。


「カイ・・どうして、そんなに落ちこぼれてしまったの? 見た目もボロボロだったし・」


 偶然にもカイの姿を昼間に見つけた私は、授業が終わった夕方にジーニスと剣技の練習をするため訓練場へ向かう途中に通る中庭でカイと偶然出会うことができた。


「カイ・・」


「・・アリア」


 このときには既にカイと別れることを決めていた私は、いろんなことを聞きたかったけど名前を呼んだ後に恋人関係を終わらせると告げることができた。


 カイはサボっているのになぜか満身創痍で疲れ果てた表情に胸が締め付けられ抱き締めたくなるも、自ら堕落した本人が悪いんだと思いながら、彼に一歩前へ歩み寄ろうとした右足を踏みとどまらせ踵を返し背中を向け訓練場で待つジーニスの元へと足を動かしたときに呼び止められるも私は振り返らない。


「アリア、その・・」


「なに? もう授業をサボり堕落した貴方と話すことなんてないの」


「ご、ごめんアリア・・でも、最後に一つだけ聞いて欲しいんだ」


「言い訳なんて、聞きたくないわ」


「ちがっ・・違うんだ。今の俺は、予備たぃ・・その、アリア俺は・・・・」


「なに?」


「・・・・ごめん、なんでもない。アリアさん、こんな俺と付き合ってくれて・・好きになってくれてありがとうございました」


「えっ?」


 カイが私のことをさん付けで呼んだ瞬間に、もう二度と手の届かない場所へとカイが離れてしまったような怖さに振り返ると、深く頭を下げ謝罪する行動が理解できず固まっていると、カイはそのまま私を見ることなく男子寮がある方向へと立ち去って行く後ろ姿を黙って見送った私はこの日以降、学園卒業後の騎士団入隊の儀式まで一度も見ることはありませんでした。


 王国騎士団の入隊儀式が終わり、新人騎士として学園卒業時に決められていた部隊に配属となり1期上の先輩から教育を受け、街の巡回や王族関係者の旅の護衛して経験を積んで戦争相手である帝国との戦いで戦果を上げて数年が経ったときに、過去最短で若干20才で騎士団副団長という地位に就任することができた。


 その私より優秀な成績で学園主席で卒業し、騎士団入団後は指揮官として厳しい訓練を耐え抜いたジーニスは、同じ時期に騎士団団長として就任した。


 同期生2人が同時に要職に就くという快挙に互いの両親が、今が絶好の機会だと思っていたらしく私とジーニスを婚約させようと裏で動いていたことを私達本人は知らなかった。


 それから王国騎士団は、先輩騎士達の嫉妬からくる嫌がらせで作戦行動がうまく行かないことが続き、勝てそうな局面でも負けて退却する場面が増える日々が続くも、ジーニスの昔からの統率力で連携がバラバラになりかけていた騎士団の部隊は息を吹き返し、押され気味だった戦局が攻勢に転じジーニスを騎士団長として認めるようになって来たのがとても嬉しかった。


「ジーニス、今日もお疲れ様」


「お疲れ、アリア」


「団長が、いつも前線で活躍するのは良いけど、そろそろ控えて欲しいわ」


「大丈夫さ・・今は、団長の強さを見せつけ部下たちが俺の背中を追いかけるようにしないといけない状況だからな」


「でも、負け戦の時のある程度の損害は避けられないわよ?」


「それは、わかってるさ・・でもな、部下が命を賭けて戦っているのに指揮所でただ命令を出すだけじゃ申し訳ないだろ?」


「そうだけど、貴方のことが心配なのよ? ジーニス」


「アリア・・俺に惚れてるのか?」


「バカ・・・・」


 団本部の作戦室で、遠征から帰ってきたジーニスと2人きりで話をしていると、今年入隊した若い部下がドアをノックして入ってきた。


「失礼します・・・・ジーニス団長、南の防衛戦についての報告に来ました」


「おぉ、マビアス。気にせず、そのまま報告してくれ」


「はっ・・では、南の防衛戦についてですが・・・・」


 マビアスという新人騎士は、伝令騎士からの情報をジーニスに報告する。結果的には、帝国に負けて部隊は撤退した・・けど、退却時の戦死者はゼロ・・そして、夜襲をして砦を奪還することに成功したと。


「報告は以上になります」


「お疲れさん、下がっていいぞ」


「はっ・・」


 マビアスが作戦室を出た後に、報告内容が理解できずジーニスに聞く。


「ねぇ、防衛戦は負けたのよね?」


「あぁ、負けて撤退した・・でも、取り返した」


「どういうこと? 退却時には、必ず相当数の被害が出るのにゼロって・・意味がわからないわ」


「・・そうか、副団長様のアリアでも知らないことがあるのか」


「どういうこと?」


「アリア、戦場に部隊が派兵されるのは普通だよな? その中で予備隊っていう部隊は知っているかな?」


「予備隊? 予備隊って戦闘損耗した兵の補填とか後方支援をする部隊じゃない」


「一般的に予備隊は、そういう認識だよ・・危険な前線に出ることなく後方で待機し出番を待つ」


「そうよ・・だから、予備隊の彼らを部隊の騎士達は軽蔑の目で見ているわ」


「たしかにね・・・・予備隊の彼らは、役目を果たしているけど認められず不遇の扱いを受けている。時には危険な役目を背負わされているのに」


「ジーニス、貴方の言っている意味がわからないわ」


「そうかい? なら、次の作戦は一緒に行ってみよう。もしかしたら、予備隊の役割が見れるかもしれない。見れなかった時は、豪華な夕食を奢るよ」


「・・・・わかったわ。次の作戦は、厳しい戦いになる見積もりだから」


 それからジーニスと部隊指揮官の後方の安全な場所から戦況を見守り、負けそうな状況に陥っても指揮官に助言はせずストレスがかなり溜まる私は、そろそろ退却の指示を指揮官が出すだろうと思っている頃に無能な指揮官が伝令を1人戦場へと送り込むと戦っていた騎士達が背後を警戒することなく退却する姿に目を疑った。


「ジ、ジーニス! あんな退却は素人よ!」


「アリア、大丈夫。ここの部隊にいる予備隊は優秀だから」


「その予備隊ってどこにいるのよ?」


「もう行ったよ」


「行った? さっき行ったのは伝令でしょ?」


「ん? 伝令なんて出してないよ・・さっきは走って行ったのが予備隊だよ」


「・・・・」


 ジーニスが言っている予備隊が1人ということに理解しようとするも、たった1人で何ができるのだろうかと考えるも思い浮かばず、だけど目の前で丘を降りて退却する騎士を追撃する帝国兵の姿は見えない。


「いったい、どういうことなの?」


 どれくらい時間が経っても帝国兵の姿が見えず、退却してきた騎士達は馬車に乗り込むも出発する様子はない。まるで何かが終わるのを待っているかのようにも見える。


「・・そろそろかな?」


 ジーニスが何かを感じ取ったかのように呟くと、戦場となっていた丘の方でブワッと魔力が膨れ上がり放たれたのを私は感じ取ると、物凄く懐かしいと胸の奥から感じ言葉が漏れる。


「この魔力・・カイ?」


 直感でそう思うも何年も口にしていなかった彼の名前を口にするも実感はなく、気のせいだと決めつけた私を見るジーニスは笑っていて、戦いが終わったようなことを口にする。


「さぁ、今回も予備隊のおかげだ・・指揮官くん、あとは頼んだよ?」


「はい、お任せくださいジーニス騎士団長様」


「アリア、僕達は帰ろう」


「え? えぇ、そうね・・」


 結果的にはここの戦場では帝国に勝ったようで、今後の作戦行動に良い影響となるようだと団本部に帰った私は、ジーニスから聞かされるも、ずっと予備隊のことが気になり始め独自に調べる。


 ジーニスの姿が無い時に団本部に保管されている書類から予備隊に関することを探すもどこにもなく、結果的に最近体調を崩された国王様に戦況報告をジーニスの代理で臨時報告した時に聞かされた。


「副団長アリアよ、報告をありがとう。ワシの直属である予備隊最後の騎士はどうだ?」


「国王陛下・・すいません、予備隊について私は知らないのです」


「・・・・そうか。予備隊唯一の生き残りイービル隊のカイ=フィフスアンガーは、無事に生きているか?」


 国王陛下様の口から出た彼の名前を耳にした私が固まっている間に、予備隊結成の成り立ちからカイが学園時代に過ごしてきた不遇とは言い表せない環境を聞いた私の身体は震えていた。


 なぜ、優秀だったカイが急に落第ギリギリまでの成績になったのか。なぜ、授業をサボりたまに見る姿がボロボロで満身創痍だったのか。なぜ、初めて行った教室にある学園生の席が異常に少なかったのかを今になって私の頭の中で全てが繋がり涙が溢れ出す。


 国王陛下との謁見が終わり団本部にある私の執務室へと歩き帰った時の記憶は無く、気付けば椅子の背もたれに背中を預け天井を見上げていた。


「カイ・・・・どうして・・どうして私に教えてくれなかったの? どうして?」


 そう問いかけるもカイに私の声は届くはずもなく、ただあの日にジーニスから告げられ食堂天幕でカイを騎士団から追放させることに同意した私が許せない・・・・今はもう、騎士団にカイの姿はなく帝国の強大な攻撃魔法の犠牲となりこの世界から居なくなってしまったのだから。


次は、違う人間の幕間を投稿します。


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― 新着の感想 ―
なぜ魔力を感じた時に気のせいだと断じたのか分からん
[良い点] 彼女は聞く耳を持たない軍人ですからねえ…部下が気の毒です
[一言] カイと別れる時には、トコロテン方式の女性脳じゃとっくの昔に彼氏の座からカイは放逐されてるだろうし、国王から話聞いて後悔っぽい思考も自分に酔ってるだけだな。 自分を許せないというのも口だけとい…
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