メイド達は気遣いの押し売りをしたせいで、酔っ払いから酷い押し売りにあいました
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幼き頃に来た微かな記憶を頼りに俺は2階に上がり適当に歩いた先に見つけたドアを見て、なんの根拠もなくあそこが広間だろうと決めつけドアを開けた。
「みんな、ここだよ先に入って」
ドアを開けた部屋は正解のようで、パーティーを開くには少し狭い感じの広間を見渡しながら振り返りシマチ達を先に入れた俺の視線の先には、入り口で立ち止まるあのメイド3人の姿がある。
「・・3人は、何かようかな?」
「カイ様、この専属使用人である私達をお使いください」
3人の中で必ず最初に口を開くのは、黒髪風青目のメイドで他の2人は様子を伺うような感じで黙って俺を見つめるだけのようだ。
「ん〜様呼びはしなくていいよ。それに俺達だけですることは完結できるから、3人はここの主人である父様のところに帰っていいから」
「いえ、陛下からの命でございますし、当主様からも許可をいただいております」
どうしても使用人として使って欲しいと懇願する3人をどうにか帰らそうとするも動かないため、強引にドアを閉めて終わらせるのもアリだなと思い付くと、部屋からサーシャが俺を呼ぶ。
「カイ! 早く来なさいよ! 私をいつまで待たせるのかしら?」
「わりぃ、今行くから・・じゃ、そういうことで」
とりあえずドアを閉めようと動かすと、捨て猫のような潤んだ瞳で3人が見上げていることに気付いてしまい、とりあえずドアは開けたまま部屋に入ると、シマチ達がマジックポーチに収納していたらしい食材が大きなテーブルに並べられ、分担して持たせていた酒樽の2樽が主役のように置かれている。
「・・酒が主食みたいな並べかただな」
俺が来たのが合図のように、待ちくたびれていた4人は、大きなジョッキを手に笑顔でシマチから順にエールを注ぎ最後に注いだ俺は用意された先に座る。
「カイ、早くにゃ」
「主よ、久しぶりの宴なのだ。今宵も我は酒に飲まれないぞ?」
「妾は飲み溺れて、カイに手厚い介抱をしてもらうのじゃ」
「はぁ・・3人とも、まともに飲めないのかしらね。カイ、お疲れ様」
「ありがとう、サーシャ。みんな、酔っ払いは放置するからな? では、旅の疲れを癒やして・・・・」
「「「「「 かんぱい!!!!! 」」」」」
今夜も最初は自重して飲むと言う4人娘だけど、2杯目からはいつものペースで飲み続けていき垂れ流しているかのように空の酒樽が部屋に転がりはじめる。
そんな光景を見ながらやはり今夜もかと呟きながら、俺は暴走するだろう彼女達に対応できるよう飲む量を減らして遅いペースで飲む。
隣りに座るサーシャは、静かに料理を食べながら俺と話し酒を飲んでいるため心配する必要はないけど、シマチとユキナの2人は競うようにエールを飲み、今では酒樽を抱えて直接飲みながら盛り上がっている。
「・・あの2人、あとはぶっ倒れるまでだな」
「そうね・・本当に学ばない種族だわ」
目の前で酔っ払いが先に騒いでくれるおかげで、俺とサーシャは冷静になり静観していると不意に視線を感じたおれは振り向くと、開かれたドアの隙間からまだあのメイド3人が廊下にいることに気付いてしまった。
「・・なんだかスッキリしないな」
「カイ、急にどうしたの?」
「いや、あのメイドがね・・」
「最初からずっといたわ・・どうするの?」
「・・ちょっと行ってくる」
「そう・・あんまり私を1人しないでくれる?」
「はいはい、すぐ戻りますよ。お姫様・・」
「もう・・」
酒を飲んだせいか、少しだけ甘えるサーシャの頭を撫でながら椅子から立ち上がり廊下にいるメイドの所へ向かいドアを開く。
「・・・・・・まだいたの?」
「申し訳ございません」
頭を下げて謝るだけのメイドの名前を知らない俺は、帰れと言っても帰らない3人に逆のことを口にする。
「・・何も言わずに中に入って」
コクリと頷くメイド3人の後ろ姿に、俺は悪者なのかと思いつつ壁際にあるソファに座らせ待たせることにしたら、フラついた足取りでユキナがやって来た。
「主よ、この娘達はなんだ?」
「俺専属の使用人だってさ」
「主の専属?」
「我がいるのに、堂々と娼婦を招くとは」
「ユキナ、そんなわけないだろ・・そうだ、なんか用事を頼んでいいぞ?」
「ほぅ・・この使用人。我が使っても良いのか?」
「好きにしていいぞ」
「主も、なかなかなのだ・・・・、おい、そこの使用人・・コレを持つのだ」
ニヤリとするユキナはいったい何をする気なのかと思えば、マジックポーチからジョッキを取り出し驚く3人に持たせると、次は酒樽を取り出しソファ横にある小さなテーブルの上に強引に置く。
「我に付き合うのだ」
メイド3人が持つジョッキにエールを注ぐも全て溢れ床を濡らしてから樽のコックを閉じるため、もう完全に酔っ払いだとわかる。
「さぁ、とりあえず飲み干すのだ」
「「「 ・・・・ 」」」
「ん? なんだ?」
注がれたエールをこぼさないように持つメイド3人の視線は、正面にいるユキナと手元のジョッキを交互に見て無言の圧力に屈したようで、目を閉じ一気に飲み干す。
「うむ、なかなかの飲みっぷりなのだ。さぁ、空になったらエールを注ぐのだ」
「「「 ・・・・・・ 」」」
もうユキナから逃げられないと思ったようで、3人のメイドは自ら酒樽に手を伸ばしジョッキにエールを注いでソファに座る。
「いいか? 我の主の命を狙った者ということ以外、貴様らのことは知らぬ。本来なら氷像にさせ粉砕しこの世から消す我なのだが、もうそれができぬようだ・・だからここは平和的に貴様らを飲み潰すことに我は決めた。
「「「 ・・・・・・ 」」」
しれっと恐ろしいことを口にするユキナに3人は涙をポロッとこぼし完全に怯えて何も言い出さない。
「そんなに泣くほど嬉しいのか? 貴様らは、見た目によらず酒豪なのだな。では、遠慮は無用・・この樽を3人で飲み干すまで我は最後まで付き合ってやるのだ」
もうその言葉を聞いた俺は、これ以上ユキナの近くにいると巻き込まれると思い背中を向け立ち去り、1人品良く飲むサーシャの隣りの席に座る。
「あら・・よくあの3人を部屋に招いたわね?」
「あぁ、いろいろあってね。でも、ユキナが3人の相手をしてくれるから任せてきた」
「そう・・」
ふと視線をソファに座るメイド3人に向けると、ジョッキにエールが入っているのが気に入らないと言い飲み干させると、今度はなんで空のジョッキを持っているんだと笑顔で呟きながら注がせるという地獄のルーティーンはまさに拷問で、拒否できないメイド3人の瞳から既に光は消え去っていたのだった・・・・。
ブクマ600到達感謝です。
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少しだけ、カイ達の日常回が続きます。




