彼女達の想いが大きいほど心の古傷が抉られますが、男なら耐えるしかないようです
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カッカッカッカッ・・・・
シエンナが廊下を歩き去って行く音が聞こえなくなると、妹が座っていた席にサーシャが座り当然のような動きでシマチが俺の膝の上に座り背中を預け、ユキナとスミハが背中から頭にかけてピタッと身を寄せる。
「・・お前ら、人前だから・・な?」
サーシャ達は何も言わず、グリグリと身体を密着させ楽しんでいるらしい。
「カイよ、多種族最強ハーレムだな!? 人数だけはワシの圧倒的勝ちだが、ワシでも羨ましく思うぞ?」
「あははは・・なんか、すいません陛下ってなんですか父様? そんな顔しても、母様がいますよね?」
「カイ、なんて羨ましいんだお前は・・なんかあの領地を渡すのが嫌に・・・・なってはいませんよ? サーシャ殿」
しばらくハーレム状態を冷やかされていたおれは、笑って受け流していると再び規則正しい足音が微妙にズレて複数聞こえたところで、サーシャ達は元の場所へと戻る。
コンコンコン・・
「シエンナ近衛兵長です。指示通り、アンジェリカ様と騎士団長をお連れしました」
「はいれ!」
ドア越しから聞こえるシエンナの声に陛下頷きガリア宰相が許可を出すと、ゆっくりドアが開かれ姿を見せるジーニスは国王陛下に一礼した後に俺の存在に気付き舌打ちしたため俺もやり返すと、次に入って来た金髪少女の顔と右腕の肘から先を失った容姿に遅れて名前と顔が一致した。
「アン・・」
騎士学園時代に途中から同じクラスとなり、共にイービル隊で戦い生き抜いた彼女は分隊長同士で作戦を決める関係で、隊を分派し同じ任務で別行動中に敵の待ち伏せにあい負傷し後送された後に除隊したと駐屯先の街で聞かされた。
そんなアンがなぜここにいるのかわからない俺は、部屋に入り陛下に一礼した後に偶然視線が重なるとアンは俺に気付き、サーシャが空けた椅子に座り吐息が感じるぐらいに顔を寄せてきた。
「カイ・・カイだよね? 私のこと、アンって呼ぶの貴方だけだもの!」
「あぁ、そうだよアン・・久しぶりだな。カイ=フィフスアンガーだ」
アンことアンジェリカのことを周囲の仲間はそのまま呼ぶかアンジーと呼んでいたけど、俺は戦場で彼女を呼ぶのに長いと思いどんな状況でも強く短く呼べるように、初陣から次の戦場ではアンと呼んでいた。
「もう死んだと思ってたんだからね!? 騎士団編成表が更新されたら貴方の名前が抹消されたのよ?」
「わりぃ、まだ死ぬのは早いって死神に囁かれたんだよ」
「バカッ!! いつも貴方はそうやってふざけるんだから・・」
「アン・・その右手は、あの時の?」
「えぇ、そうよ・・カイに対抗心を燃やして別ルートで行かず、一緒に行っていればこんな傷はなかったかもなのに・・あの頃の私を呪いたいわ」
既に存在しない彼女の右手で俺の顔に触れるよう、傷口が塞がった右肘で俺の頬に触れる。
「あの時の俺達は、生き残るために必死だった。アンが生きているだけで嬉しいよ」
「もう、そんなこと言って、私も貴方のハーレムに入れる気なの?」
「そ、それはどうだか・・あのさ、アンはもしかして王族だったの?」
「そうよ。出会った時に言ってなかったわね。この私は、アンジェリカ第1王女なの」
「マジか・・王女様だったのか」
「ふふっ・・カイだけよ? 私の正体に気付いてなかったのは。貴方は、幼馴染の騎士団副団長アリアしか見ていなかったものね」
「あははは・・・・ちゃんとアリアを見ていたはずだったんだけどな・・気付いたら見失ってたよ」
「どういうこと?」
俺とアリアとの関係wあの時のままだと思っていたアンに、なんて答えればと思い言葉を濁すもあんの察する能力は鋭く、俺が無意識で逸らした視線で察したらしい。
「カイ、まさか・・・・」
アンはスッと椅子から立ち上がると、自身の胸の谷間に俺の頭を優しく引き寄せ守るかのような感じで包んでくれて離した後に、下座に座るジーニスへと顔を向ける。
「・・騎士団長ジーニス」
「はい、アンジェリカ第1王女様」
「貴方なのね? カイの心をここまで深く傷付けたのは!?」
「あの、お言葉ですがアンジェリカ第1王女様の意図がわからないのですが?」
「そうですか・・今は場違いですから、深く追求するのはやめておきましょう。お父様、私の心は非常に不愉快でありますが作戦会議の邪魔をして申し訳ございません。この作戦を滞らせた罪は重いと自覚しております。ぜひ、娘という立場を気にすることなく私から第1王女の籍を今すぐ剥奪し追放してください・・喜んで退席します」
「・・・・アンジェリカよ。その思惑に父親のワシが騙されると?」
「ふふっ・・それは残念です。また次の機会としましょう」
アンはクスリと笑いながら歩き出し国王陛下の席の隣りに空いている椅子に座る。
「では、これから来るだろう帝国勇者を迎える作戦会議を始める。アンジェリカよ、皆に起案した内容を説明するのだ」
「はい、お父様・・・・」
アンからの説明では、騎士団長ジーニスを指揮官として王都にいる騎士団から中隊規模を編成し王都の外にある丘陵地帯で陣を組み待機させ勇者クン達を出迎える。
そこで、引き連れて来た帝国兵士達を王都に入れないよう留まらさせ、駐留の最低限の支援を行いながら警戒する。
残った勇者クンパーティーは、王都の門まで移動させ、そこでアンとメイド数人で出迎え共に王都に入り王城へと案内する流れらしい。
「国王陛下、発言をよろしいでしょうか?」
アンが話し終え、一呼吸つくところでジーニスが手を上げ発言の許可を求める。
「許可しよう、ジーニスよ」
「ありがとうございます。あの、副団長アリアを救出する作戦なのですが、私に任せてもらえないでしょうか?」
「ジーニスよ、まだ自らの手で副団長救出に固執しておるのか?」
「陛下! お言葉ですが、アリアは私が愛する女です! 男として、目の前で助けを求める女を救い出すのが・・・・」
「「 ジーニス!! 」」
ジーニスが途中から感情に訴えていく光景から目を背けるように、目を瞑り静かに話しを聞いていると突然アンとシエンナの2人が強制的に終わらせるかのように名前を叫び遮った。
「貴方という男は私の警告を無視してまでカイの心を抉らないと気が済まないの?」
「騎士団長、兄様をこれ以上傷付けるのなら今ここで斬り捨てる・・」
2人のただならぬ殺気に俺は瞑っていた目を開けると、ジーニスはテーブルの上に置いている両手を強く握り締め反論し始めたため俺は再び目を瞑る。
「か、勘違いも甚だしい・・よろしいですか? アリア・・副団長アリアは、騎士学園時代にそこにいるカイと自ら恋仲関係に終止符をうったのです。独り身となった彼女を私が関係を迫るのに、何一つ問題は存在しない!!」
ジーニスのことばを聞いて騎士学園の中庭でアリアから一方的に別れを告げられた光景を思い出してしまった俺の心は、特に乱れることが無かったはずなのに頬に何か流れた気がした直後にザラッとした感触で舐められ目を開けると緑色の瞳で見るシマチがいた。
「カイ、大丈夫にゃ?」
「シマチ、俺は泣いていた?」
「んにゃ」
シマチに癒される俺は、ここで俺が何か言わないといけないと思い口を開く。
「アン、シエンナ・・ここは、俺に免じてその話しは終わらせてくれ」
「カイ・・」
「兄様、ごめん」
俺の言葉に感情的にジーニスを睨んでいた2人は、我に返ったようで俯き椅子に座るのを見た後にジーニスに告げる。
「ジーニス騎士団長、お前の副団長への熱い気持ちは理解できる。だが、国を守る騎士団長が個人の意志を優先するのは、指揮官として不適合者だ」
「黙れカイ! お前は幼馴染のアリアにさえ捨てたれた男だ! 俺とアリアの邪魔をするな!」
「邪魔なんてしないさ・・騎士学園時代からのように俺がいないところで仲良くやってくれ。こんな俺にも、信じて付いて来てくれるみんながいるからな」
ジーニスは俺の近くにいるシマチ達を見渡した後に鼻で笑うと、不機嫌そうな顔で吐き捨てるように呟いた。
「ふんっ・・人族でない亜人の雌に好かれ喜ぶお前の気持ちなぞ理解できないものだな!」
「動くな!!」
シマチ達が本気でジーニスの首を跳ね飛ばし瞬殺しようと踏み出す直前に俺は威嚇するような低い声で4人を制止することに成功した。
「「「「 !!!! 」」」」
「ジーニス、お前は一つ間違っているぞ?」
「はぁ? この俺が何を間違っているのだ?」
「惚れた女に人族や他種族だの関係無いってことだ。愛する女に何があろうと守り抜き愛を貫き通す・・それが男ってもんなんだ。それさえできず、敵に奪われた時点でお前は負けだ」
「だまれ・・黙れ! 黙れ黙れ! お前こそ奪われた側の男だ!」
「奪われた? 俺は彼女から捨てられただけのおとこだぜ?」
「 ・・・・ 」
ジーニスの俺が奪われた側の男だと言う言葉が引っかかるも、感情的に暴れ出そうとするジーニスに動いた気配さえ感じさせないシエンナが彼の背後に立ったのが見えた直後にスパッと手刀で首に一撃を入れ意識を刈り取った凄技に俺は驚き思わず拍手をしてしまったのだった・・・・。
この数話で進展が遅いですが、しばらくお付き合いをお願いします。




