表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

123/150

スミハは撃墜されましたが、ただ何も考えず飛んでいたわけではなかったようです

アクセスありがとうございます。


「・・あら残念、気付いたわね」


「スミハの動きが止まっただけだぞ?」


「カイ、ただ止まっただけではないの・・矢の弾道を読んでいるのよ」


「マジかよ」


 空を自由に動き回っていたスミハは、ピタッと動きを止めてからは一つの方向を向いたまま少しだけ上下左右に移動していると、急に俺達がいる右下方向へダイブするかのように急降下した。


「うふふっ・・フェイントに引っ掛かったわ」


「どういうこと?」


「見てなさい、効果的な2発目よ」


 俺から見える世界ではスミハが見えない何かに追われ逃げているように見える光景を眺めているだけで、サーシャは躊躇いなく素早く2本目の矢を放つと最短コースの弾道でスミハへと飛んで行く。


「最初のは囮なのか?」


「そうね、囮でもあり本命でもあるのよ」


「時間差攻撃ってやつ?」


「正解よ・・そんなことより、スミハの最期を一緒に見届けるわよ」


 サーシャから放たれた2発目に気付いていないスミハは、上空ばかり気にしているようで頭上から迫り来る矢に集中し回避行動を取っているせいで、背後から迫る矢は無慈悲に距離を詰めていく。


「あっ・・避けた?」


 僅かな差で先に1本目の矢を避けたらしいスミハは、体勢をを崩しながらサーシャの方に顔を向け右手を空高く掲げる。


 ズドンッ!


 獲物を見失い地面に突き刺さった矢は、鈍い音を鳴り響かせ土砂を数メートル巻き上げて役目を終える。


「スミハ、甘いわ」


 もう油断しているスミハの足元から垂直上昇し、完全な死角から忍び寄る2本目の矢の状況に俺は思わずポツリと呟く。


「スミハ、下から・・」


 遠く離れた距離で聞こえるはずもない俺の呟きが届いたのか、サーシャに向けていた勝ち誇った視線を下に向け迫り来る2本目の危機に気付き避けようと動くも、タッチの差でサーシャの矢がスミハのオシリに突き刺さる。


 上空からスミハの言葉にならない悲鳴が聞こえた瞬間には俺の足は無意識に動き出し、力無く落下していく姿を目で追いかけながら全力で落下点を目指す。


「スミハー!!」


 夢中で走るも俺が出せる全力の速度では、スミハが地面に叩きつけられる前に落下点に辿り着けることはできず、残り数歩を残した距離で強引に両手を伸ばすも届かない現実が目の前にあった。


「スミハ!」


 どう抗っても届かない数メートルの距離にただスミハの名前を叫ぶことしかできない俺の視界が、突然真っ暗になりポヨンッと柔らかい何かに包まれながら勢いが殺されそのまま足が止まる。


「ぬぁっ!」


「カイッ!」


 耳元で俺の名を呼ぶスミハの声と柔らかい感触を顔で受け止めていると、どうやらスミハは地面に着地する前に飛び込んでくる俺に抱き着いたようだ。


「スミハ?」


 彼女が持つ特有のヒンヤリした体温に包まれ、黒く覆われた視界に光が戻ると金色の瞳が間近で俺を見つめている。


「カイよ、妾の極上のオシリが・・」


「大丈夫、なにも刺さってないから」


「そんなはずはないのじゃ、カイ以外のモノに刺された感触が・・ちゃんと撫で回して確かめるのじゃ」


 顔を寄せ涙目のスミハは、ひたいをくっつかせたまま俺の右手を掴み自身のオシリへと誘導し触らせてくる。


「・・ほら、なにもなっていないだろ?」


「妾には刺さったままの感触があるのじゃ・・そうじゃ、ここに・・いや、服の上からじゃわからぬな? ここなのじゃ」


 ペロッと長いスカートの中へと引き込まれ柔らかいオシリを直接触らされていく中で、だんだんと変な声が漏れ始めたところでスミハのオシリをパシンッと叩く。


「はぅ・・もっとじゃ」


「するか!?」


「あぅ!」


 スミハの暴走を止めるためデコピンをすると、恍惚な表情が普段通りに戻りながら抱き付くことなく俺から一歩だけ離れた。


「さて、カイよ・・・・上から帝国勇者共の姿を見つけたのじゃが、嘔吐に向かう道から外れて別の方向へ進んでおったのじゃ」


「ん? 急に何を言っている? 勇者達が見えたのか?」


「カイよ、妾は広き空を支配する竜の子孫なのじゃ」


「・・ただの変態にしか見えないけどな?」


「ただの変態ではないのじゃ。強く麗しいのじゃ」


「結局は、変態じゃねーかよ。それで、ここから勇者達が見えたのか?」


 探知魔法を使わずどれだけ離れているかわからない状況のなかで、どうやって勇者達を見つけたのか俺は素直に聞いてみる。


「見よ、妾の全てを見抜く黄金の瞳を・・」


「フッ!」


「んぎゃ!」


 スミハの金色の瞳にある瞳孔が縦に細くなったり丸く大きくなったりを繰り返し、自慢してることに俺は無性に苛立ち瞳孔が丸くなった瞬間に息を吹きかけてやった。


「隙ありだ・・・・そんな動きなら、シマチはいつもしているぞ?」


「ネコのあやつは、夜目と感情表現だけなのじゃ」


「それはそれで可愛いぞ?」


「ぐぬぬ・・妾がなぜか負けた気がするのじゃ・・まぁ良い」


 どうやらスミハの瞳は、探知魔法を使わなくても見通せる距離なら遠くても拡大して見える能力が備わっているらしい。


 これは空高く飛ぶ竜が地上にいる獲物を見つけ出す時に使う能力で、夜は姿や気配が無くても獲物が発する体温の熱を感知し居場所がわかるようだ。


「スミハが見た状況だと、勇者クン達が王都に行かず別の方向に向かっている理由はわからないけど、どうやら俺達の方が先に王都へ辿り着ける可能性ができたな」


「最短で行くのであれば、奴らより数日早く辿り着けるはずじゃ」


「わかった・・」


 スミハの話しを聞いた俺は、目の届く範囲で戯れあっていたシマチとユキナを呼び全員集まったところで考えを伝えたのだった・・・・。


評価&感想ありがとうございます。


誤字脱字の指摘ありがとうございます。


極力無いようにしていますが、読者様に指摘されると

ちゃんと読んでくださっているのだなと嬉しく思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ