1発の奇襲でサーシャが腹いせに一つの山が犠牲になったようです
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「「「 ぅあ!!! 」」」
突然身体が押し出されるように加速し叩きつける雨粒で目を瞑り前が見えない状態の中で、顔を横に向けるとシマチの必死な横顔が見えた俺は、なんとか彼女の細い腰に腕を回し体勢を安定させることができた。
その直後に視界が真っ白に発光し何かが破裂した爆発音と衝撃が背中から突き抜けるように感じると、ビクッとシマチの手が緩みながら倒れもつれあうように大量の水を含んだ柔らかい地面へと勢いを残したまま激しく転がり止まった。
「・・なんだ今のは・・・・シ、シマチ・・大丈夫か?」
「しし、シビれたにゃにゃ・・」
俺を抱えて走ったシマチは感電したようで足が思うように動かせず、そのままもつれて転けたらしい。再び土砂降りの中に飛び込んでしまった状況で顔の泥を雨で流しながら周囲を見渡すと、サーシャやユキナ達も同じようにシビレたのか片膝を地面に付いて苦しそうだ。
「シマチ、立てる・・ぬぁっ!」
「んぎゃ!」
シマチの手を取り立たせようとしたところで、彼女の大きく膨らみ揺れていた尻尾が先に俺が伸ばしていた右手に触れた瞬間にバチッと電撃が全身を巡り、手足が固まったように動かせなくなったまま受け身が取れず地面に倒れてしまった。
「カイ!」
倒れ身体の自由を奪われてしまった俺を心配そうにサーシャは歩み寄り触れようとするも直前で手を止めて見つめている。
「だ・・大丈夫だ・・少ししたら動けるはず」
もうレインコートが役に立たない状態となり全身ビショ濡れの俺達は、互いに触れ合うことなく自らで立ち上がれる状態にまで回復するのに、人族の俺とルミナそしてネルルには時間が必要だった。
「油断していたわ・・・・まさか休戦を言い出した側の小娘が遠距離で雷撃魔法で狙ってくるなんて・・もう全力で復讐しないと気が済まないわ」
「サーシャ? さっきの自然の落雷じゃないのか?」
「えぇ、最初に遠くで聞こえたのはそうよ。でも、さっきのは明らかに違うわ! しばらくなかった探知魔法を感じた瞬間に狙ってきたのよ!」
「そんなこと、ありえるのか?」
「当然よ・・・・はぁ、イライラするわね」
サーシャの苛立ちは過去最高に達しているようで休戦を持ちかけた側の奇襲に怒りは収まらず、勇者クン達がいるらしい王都の方向に向かって普段口にしない言葉を叫びながら、特大の風魔法ウインドバレットを放つ。
「死ねばいい!!」
ズドンッ!
周辺の空気を震わせ爆音を鳴り響かせながらウインドバレットが雨粒を吹き飛ばし遠くの山へと飛んで行き見えなくなった頃に不機嫌なサーシャを宥め落ち着かせていると、地響きのような音が聞こえ顔を向けた先には遠く見えていた山の山頂の輪郭が消え、深く抉れたような形へと変わっていた。
「・・サーシャさん? もしかして、今の風魔法であの山の形が変わったのかな?」
「ふんっそうよ!? はぁ・・スッキリしたわ。次は、あの小娘の頭がいいわね」
サーシャのまだ隠し持っている強さに驚愕しながら、そうだねと頷き同意する。
「それよりも、カイ・・・・高貴な私を、こんな状態にした責任は取ってくれるのかしら?」
「えっと、その・・・・なんとかしますね」
降り止まない雨の中で野営しようと考えるも、再び遠距離から攻撃魔法を放たれるかのせいがあるため、濡れて冷えた身体に休息を我慢させ王都から離れる方向へと戻り、探知魔法圏外へと移動できた場所で偶然にも見つけた廃村にある崩壊しそうな廃屋へと入る。
「雨漏りは・・・・なさそうだな」
いくつかあった廃屋の一つに屋根の形が残っているのを見つけ、中に入り調べると2部屋あるどちらも運よく雨漏りしている形跡は無かった。
「みんな、雨が止むまでこの家で休憩しよう」
濡れた服をシマチ達4人娘は恥じらうことなく脱ぎ始め、マジックポーチに収納している着替えを手渡し着替えさせていると、不意に2つの視線を感じ顔を向けた先にはルミナとネルルの2人が濡れたままでいた。
「2人とも着替えないとダメだぞ?」
「「 ・・・・ 」」
「・・そうか、ごめん」
部屋に俺が居ても気にせず裸でウロウロするシマチ達に慣れていた俺は、2人の普通の感覚を失念していて思い出すように1人で奥の部屋へと向かい着替え終わるのを待つことにした。
過去に誰かが住んでいたであろう痕跡のある部屋を見渡しながら、1つだけある部屋の窓へと近づき土砂降りの外を眺め呟く。
「・・いつ止むんだ? この雨は・・・・」
「そのうちにゃ」
「シマチ、いたのか?」
「んにゃ?」
いつの間にか隣りに来て一緒に窓の外を見るシマチは、見上げ俺を見た後にゆっくりと再び窓の外を見る。
「シマチ、晴れて旅日和になるまでここで休むか?」
「するにゃ。ずっと濡れているのは、嫌いにゃ」
「決まりだ。ちょっと狭いけど、この部屋にもている天幕を広げよう」
「家の中でにゃ?」
「そう。雨音もうるさいし、急に屋根が崩れて寝起きビックリになるかもだぞ?」
「寝起きビックリも嫌にゃ」
少女姿のシマチはネコが顔を洗う仕草のように右手を使ってゆっくりと頬を擦り、ペロッと舐める姿を見ながらやっぱりネコだと心の中で呟いていると、部屋に新た気配が入って来た。
「お待たせ、カイ兄ちゃん」
着替え終えたルミナが姿を見せたことで、シマチと3人で部屋の壁や床に杭を打ち込み天幕をロープで固定しそれなりの形になったことで、今夜はここで寝ることに決めたのだった・・・・。
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