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ピンチだったけど何もせず、騎士様に助けられました

アクセスありがとうございます。


 帝国兵に先を読まれていた・・・・


 王国領地の集合点があるだろう方向へ向かったはずなのに、茂みを抜けた先で帝国兵が待ち構えていた。


「そこまでだ! 王国兵ども!!」


 行き先を阻まれ動きを止められた俺達に牽制させる猶予も与えることなく、帝国兵が押し迫り次なる手が無いまま下がることしかできず、強制的に帝国領地へと向かわされていることに俺しか気付いていないようで、王国騎士と冒険者達は迫る帝国兵と間合いを取ることに集中しているようで、かなり不味い状況に陥っているため騎士に声を掛ける。


「騎士さん、このままじゃ・・」


「下がれ・・このまま下がり時間を稼ぐんだ」


「それじゃ、帝国兵の・・」


「いいから早く!」


 王国騎士がそんな最悪な状況になっていることに気付いた時には、すでに谷を抜け身を隠す場所もない開けたところはすでに帝国領地だった。


「王国騎士よ、その地を踏んだな? そこは帝国領地だ・・・・貴様らは、もう言い訳はできぬ」


「なっ・・・・ちくしょう!」


 帝国領地に誘導させられたことに気付いた王国騎士は、嵌められたことに激昂し無策に飛び込み斬り殺されてしまい残っているのは冒険者だけだ。


「王国の冒険者よ・・貴様らは、帝国への密入国により拘束する」


「ま、待てよ! そっちが先に王国領内に入っているじゃねーか!」


 俺の抗議に鼻で笑う帝国騎士は、自分達の行動を正当化するように答える。


「そんな事実は、どこにもない。誰が証言するのだ?我々が王国領地に侵入したことを? ただの冒険者の戯言で終わるだけであって、お前らの立場がより不利になるだけだ」


 その言葉に冒険者パーティーリーダーの男が改めて非難するも、帝国兵の指揮官は無駄だと主張し平行線を辿りこうされるまでの時間が流れていると、帝国兵達の背後で動きがあった。


「ならさ、この状況を切り抜ければ問題無いだろ?」


 急に強気な発言をした俺を、気でも狂ったのかと帝国兵は見下し笑う。


「ははは・・そこの冒険者よ、勇敢と無謀を履き違えるなよ!?」


「・・さっきから、うるせぇ〜な・・お前らの後ろを見てみろよ? 逆に追い詰められているのお前らだぜ?」


 帝国兵の背後には気配を消して近付いていた軽装の王国騎士達の姿があった。きっと、あの騎兵隊の男が呼んでくれたのだろう。


「い、いつの間に王国騎士が・・・・」


 後退し追い詰められていた俺達が息を吹き返したように攻勢に出て帝国兵を挟み撃ちにしていくと、そこからはあっという間に準備を整えていた王国騎士達が帝国兵を殲滅し、勢い良く飛び出した俺達の出番は無くただ1人逃げるように向かってきた帝国兵を女魔法士が火魔法ファイヤーアローで焼き殺したのが冒険者の唯一の戦果だった。


 戦闘が終わり王国騎士達に指示を出していた指揮官らしき男が、最後に斬り殺された騎士の元へと向かう。


「トニー・・間に合わなかったか」


 絶命した騎士の亡骸の横に片膝をつき、騎士の死を悲しむ指揮官に俺は小さく告げる。


「すまない、彼は最後まで1人になっても勇敢に俺達を守ってくれていたんだ」


「そうか、騎士としての使命を果たしたんだな・・教えてくれてありがとう。さぁ、ここは敵地だ。見つかる前に戻ろう」


「そうだな」


 増援に来ていた多勢の騎士達に守られるような形で共に移動し、最寄りの集合点に辿り着いた頃にはすでに夕方になってしまったため、ひとまずここで野営することになった。


 今夜は人数が多い騎士が夜警を受け持ってくれることとなり、生き残った冒険者パーティーと一緒に俺とミユキは焚き火を囲み過ごすことになる。


「お嬢さんの回復魔法のお陰で生き延びたよ・・本当にありがとう」


「いえ。できることをしただけです」


 ミユキとパーティーメンバーは楽しそうに会話を始めるも、戦闘に直接関与していない俺はいつの間にか空気扱いで、ずっと回復魔法を使えるミユキの隣りで俺はこのままずっと空気のような存在になるよう努め、焚き火の火加減に没頭しいつの間にか自分の世界に入っていたようで話し声が聞こえなくなっていたことに自覚がなかった。


「・・ねぇ・・ねぇってば!?」


「・・・・ん? 俺か?」


「どうしたの?」


「・・別に焚き火を見ていただけ・・だけど?」


 右肩を掴み揺らすミユキの顔を見て返事をした後に再び視線を焚き火へ戻すと、ミユキとは違う女の声が俺を呼ぶ。


「カイさん、剣士なんですね?」


「そうだけど・・」


 顔を上げると焚き火の向こう側に座る女魔法士と視線が重なった。


「2人だけのパーティーって、いろいろ不安じゃないですか?」


「まぁ、足りないところはあるけど、今のところはなんとかなってるよ」


 出会ったばかりなのに俺たちの事情を探ろうとするような女魔法士に警戒し、聞かれる質問を適当に答える。


「剣士とヒーラーの組み合わせは、遠距離攻撃を持つ魔法士に対して不利ですよね?」


「遠距離魔法ね・・確かにそうかもだけど、俺にとってはただの牽制にしかならないよ。それに、相手の懐に素早く潜り込めば関係ないしね」


 他人のパーティー事情に踏み込んでくる名前も知らない女魔法士からのつぎつぎ来る質問に苛立ち始めた頃に、リーダーらしき男が会話に入り込み別の話題に変えてくれた。


「・・王国領地で騎士団と帝国兵が交戦し騎士に戦死者が出たことで、国境を超えて逃げた帝国兵を追撃し殲滅する作戦が明日から始まるらしい・・その逆襲作戦に騎士団は冒険者をも巻き込むほどの規模だ。その報酬は1人金貨5枚の破格だ・・キミ達2人は参加するのかい?」


「金貨5枚の報酬か・・」


 報酬の金貨5枚に食いついた素振りを見せながら、騎士団が追撃する行動を過去嫌なほど見てきたことを思い出し冒険者は後方から追従させ穴を埋めさせる作戦だろうと考えた後に答えた。


「もちろん、参加するよ」


「そうか・・冒険者なら当然だよな」


 ニヤリと笑う男冒険者の表情に何か引っかかる気がするも、今は詮索せずそのまま雑談を続け夜も遅くなったところで解散となり次の日に備えたのだった・・・・。

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