合同討伐は帝国兵の排除のようで、いきなりピンチです
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「アイツ、帰って来なかったな・・・・」
ミユキが帰ってくる前に寝た俺は目を覚ました時に、隣りにあった無人の寝袋を片付け久しぶりに1人で朝食を食べ終わり、のんびりとした時間を過ごしていると周囲の冒険者達パーティーが同じ方向へ移動し始めたのを見て、俺も立ち上がり最後の荷物を片付けた後に移動し、冒険者達の後ろで何かが始まるのを待っていると副団長アリアが姿を見せた。
「これで全員集まったようだな・・おはよう、冒険者の諸君! 今回の合同討伐は帝国から侵入した敵兵の排除だ! 魔物討伐は二の次で頼む。ここから北へ進んだ先の山を2つ越えると帝国領地である。索敵ルートは、昨日集めた代表者に伝えてあるから従ってくれ・・以上、解散!!」
集まっていた冒険者の代表者らしき冒険者数人が、パーティー名を呼び集めていく中でパーティー名を決めていない俺が当然呼ばれることはなく、1人ポツンと取り残されている俺に周囲の冒険者の視線が集まる前に近くの大木へと逃げるように移動して傍観者のような振りをする。
(・・ボッチ確定の俺は、自由行動かな?)
そんなことを考えていると、視界にキョロキョロしながら歩く金髪碧眼の少女の姿を見つける。
「ミユキ?」
彼女に聞こえない程度の小さな声だったにも関わらず偶然こちらを見たミユキと視線が重なると、探し物を見つけたような顔を俺に見せながら小走りにやって来た。
「見つけた・・」
「もう、あっちに帰ったのかと思ってた」
「あっち?」
「帝国・・帰る方向を聞いただろ?」
「・・・・そんなことない。あの女騎士さんから騎士団の自慢話をずっと聞かされてたの・・それで、なかなか帰らせてくれなて」
「へぇ、副団長様のとこにね・・」
騎士ニードルの出発の合図により、騎兵隊と冒険者パーティーが進み出す。それぞれが事前に決められた索敵ルートへと進むように横の間隔を一定に取りながら・・。
「ミユキ、俺らは適当に行くか?」
「あのね、2人パーティーだから女騎士さんが進むルートを特別に教えてくれたの」
「女騎士から?」
「うん・・これこれ、地図みたいなの」
ミユキはポケットからクシャクシャになった紙を取り出し受け取った俺は広げると、予備隊の頃によく見ていた戦場地域が描かれた地図だ。
「クシャクシャじゃねーかよ」
「ごめんなさい・・ポケットに入れたままにしてたから」
「いいけど、別に・・」
今いる場所と地図の向きを合わせ歩く方向を確認すると、予想外に途中のルートから国境沿いをギリギリ通ることになっていたため、本当かどうか何度も地図を確かめてしまった。
「どうしたの? 早くしないと、みんなに置いていかれちゃうよ?」
「・・行こう」
この索敵ルートに何か騎士団に意図があるんじゃないかと疑いたくなるぐらいの際どいルートで、もしかしたらミユキが帝国側の人間だと知り、あえて泳がしているではと考えてしまうも本人には伝えず出発することにした。
騎士団との合同討伐自体の索敵範囲はかなり広く、日帰りで最初の拠点となる野営地に毎回戻るのは効率が悪いため、途中にいくつかの集合点となる野営場所を騎士団は設定し、分隊規模の騎士を常駐させ冒険者パーティーが報告のため戻れるようにしている。
王国領土とはいえ帝国との国境に近いため警戒は怠らないようにと、すれ違う騎士や騎兵隊に何度も言われながらミユキと2人で山を超え丘陵地帯を進み国境に一番近い山を歩く。
「ここまで来ると、ほとんど人を見ないな」
「うん・・物凄く静か」
2人の足音と時より吹き抜ける風で葉が揺れ擦れ合う音しか聞こえない穏やかな時間を壊すかのように、背後から力強い足音が複数重なる音が聞こえ振り返ると、騎士団の騎兵隊3人が近付く姿があり足を止めた。
「冒険者殿!!」
俺達を呼び止めた騎兵隊は、馬から降りることなく話し始める。
「冒険者殿、配布した地図をお持ちですか?」
「・・・・一応、持っているけど」
ミユキから預かっていた地図を先頭の騎士へと手渡す。
「助かります、冒険者殿・・実はここから南へ行った場所・・この辺りで帝国兵との遭遇戰により不利な状況に陥っている冒険者パーティーがいるとの情報を受けまして、我々が本隊から来る増援を先導するまで支援に向かってもらいたい・・・・もちろん追加報酬を先払いだ」
俺の返事を聞く前に金貨を差し出す騎士の手は無視して、遭遇戰の場所を地図で確認する。
「・・ここですか。思ったより、そんなに遠くはないですね」
「受けてくれるのか?」
横にいるミユキをチラッと見るも彼女から同意を得る必要が無い俺は、騎士が差し出したままの手にある金貨と地図を受け取り別れ、地図の印をつけた場所へと急ぎ向かうと深い谷間で帝国兵に囲まれ窮地に陥っている騎士と冒険者パーティーの姿を見つけた。
このまま不意打ちで背中に背負っている愛剣に風魔法を纏わせ振り抜きながら放ち、全員纏めて一緒に始末してやろうと抜刀したところでミユキに肩を掴まれ止められてしまった。
どうやらその思いついた手段を無意識に口にしていたようで、彼女の咄嗟の判断で俺の行動を止めたようだ。その先手必勝のタイミングを逃したせいか、帝国も援軍を呼んでいたようで、さらに数十人の帝国兵がゾロゾロと姿を見せたため、救いのチャンスをゼロにし出るに出れなくなり茂みから見守ることしかできない。
王国騎士は囲む帝国兵にここは王国領内だと警告するも、戦力的に有利な立場の帝国兵は聞く耳を持たないどころか、ここは帝国領地だと言い放ち逆に王国騎士と冒険者達に武器を捨て投降するよう言っている始末だ。
「・・どうしよう、あの人達を助けられない?」
「もう無理、手遅れだ・・すぐに助けに出ていれば状況は少しは変わっていたのかもしれないけど、どのみちあの増援が来たから結果は変わらなかったと思う」
「・・・・・・」
しばらく睨み合いが続いた後に観念したのか、王国の冒険者が持っていた武器を足元に捨てて両手を上げてしまったことで、このまま大人しく帝国の捕虜となり可能性が低くても生き延びる道を選択したと思いきや、王国騎士達は諦めて内容で冒険者を置き去りに強行突破するかのように突っ込んで乱戦状態へと運ぶと、刺激されたのか冒険者達は捨てた武器を拾い騎士と共に戦いはじめた。
「やるね〜最期の悪足掻きを・・・・」
騎士は普段はできるだろう連携をすることなく突っ込んで行くため、冷静に対処する帝国兵に囲まれ確実に1人・・また1人と倒れ死んでいく様子に、冒険者パーティーの女魔法士が発狂しながら火魔法ファイヤーショットを連発で周囲に放ち敵味方関係なく攻撃し谷を火の海へと変えてしまう。
「マジか・・最後に自爆を選ぶなんて」
「そんな・・こんなのって無いよ」
隣りで悲観するミユキと女魔法士の暴走に少し驚いている俺の視界に、火の海から冒険者パーティーに引っ張り出される騎士は熱くなった鎧を投げ捨てながらも、民である冒険者を守ろうと切っ先が折れた剣を構え周囲を警戒する姿に元騎士の俺は感心し、隣りで小さな悲鳴を漏らしていた聖女様の手を取り勇敢な騎士の元へと向かう。
「無事か!?」
今さっき辿り着いたような言葉をかけながら、騎士へと近付くと頼りない折れた剣を向け俺に警戒する。
「止まれ! 誰だ!?」
「落ち着け! 王国騎兵隊に頼まれて支援に来た冒険者だ! 騎兵隊は、増援を連れて来ている!」
「来るのが遅いぞ!」
「すまん! 今のうちに移動するぞ! ミユキは、怪我人を動けるよう治癒してくれ」
「・・うん」
ミユキが早く怪我人を全員回復させ終わるまでに帝国兵が襲ってこないことを願っていると、冒険者5人と騎士1人の全身が数秒の短い間に薄緑色の光に包まれ消えると、出血が止まり傷が治っていた。
「・・さすが聖女様の回復魔法だな」
回復魔法を1人ずつではなく複数の人間に対して同時に行使したミユキに驚き、ポツリと呟いたのが聞かれてしまったようで騎士がミユキを聖女様と呼びながら近寄ると、ミユキ本人は否定しながら後退る。
「そんなことより、早くここから逃げるぞ!」
谷の燃えていた草木の炎も弱まり一時的に撤退しているだろう帝国兵が再び来る前に、この場所から全員で離れ茂みを駆け抜けた先には陣形をとっている帝国兵に先回りをされていたことを知り、俺達の退路は完全に絶たれていることに足を止めてしまったのだった・・・・。
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