第38話 内なる敵
民衆を巻き込んでしまったミューズナイツは敵の攻撃に無力だっただけでなく、町のみんなを守り切れなかったことを悔やみ続けた。
みんなは加奈子の傷が浅い事でホッとしたものの一般の人の中には意識不明の重体の人もいる。
彼らの面会も関係者に断られてしまいミューズナイツにとって最悪のスタートを切る事になった。
だがしかし…彼女たちの苦難はまだ終わりではなかった…
「君たちに残念なお知らせだよ。ミューズナイツは一般の人を戦いに巻き込んだ罰としてアイドル協会からみんなの芸能界から謹慎処分が下された。僕やヴィオラのためにこんな危険な事をさせた上に…こんな目に遭わせてしまってすまないと思う…。だから協会に僕は強く言ったんだ。彼女たちを謹慎するくらいならすべてを押し付けた僕の方に責任はある。だから謹慎するなら僕の方にしてほしいと…。でも彼らはもう子どもじゃないから自分で責任を取れるようになりなさいと聞かずにこの様な処分になったんだ。僕の力が及ばなくて申し訳ない…」
「いいんです…。こうなる事は覚悟していました…」
「でも…まさかアクムーン帝国がこんな時に攻めてくるなんて…」
「ちくしょう…!何でなんだよ…!」
「それからね…僕はもうすぐマスコミから記者会見を開くように言われていてその準備をしなければならないんだ。君たちをクビにしないよう僕からも手を打ってみる。どうか自分たちを責めないで自分たちのやれる事をやってほしい。勝手な大人ですまない…それじゃあ行ってくるよ」
「このままじゃあ敵にやられた加奈子先輩が報われないよ…」
「加奈子先輩…大丈夫でしょうか…」
「心配いらないって言えば言うほど不安なんだよな…」
「えっ…ちょっと待って…!こんなの酷い…!」
「何かあったの?日菜子」
「智也から連絡があって…マスコミが私たちミューズナイツを悪魔を呼んだアイドルグループだと報道しているんだ…!」
「何それ…エマたちが原因だと言いたいのデスか…?」
「悪魔が攻めて来たのはミューズナイツが結成してからの事で彼女たちが世界に不幸を呼んだのではないかって…」
「私たちは何のために戦ってたのかしらね…」
「ネットでも私たちに批判の声が上がってます…」
「何でだよ…アタシたちのせいにされちゃってんじゃん…!」
「そんなぁ…先輩たちは悪くないのにぃ…!」
「とにかく批判は避けられないけど私たちのアイドル道を進みましょう。そうじゃないとファンのみんなに失礼だから」
「結衣ちゃんの言う通りだね…。ここでくじけたらアイドルらしくないもんね…。みんな、一緒に頑張ろう!」
「おー…」
秋山プロデューサーは記者会見を開きカメラの前で頭を下げて謝罪をする。
しかし記者たちの心無い質問責めに遭い秋山プロデューサーは涙をずっと堪えつつも怒りが込み上げてきている。
握りこぶしを強く握り歯は強く食いしばり、目には大粒の涙がポロポロとこぼれていた。
翌日になるとSBY48劇場の前で何やらたくさんの人たちが暴れていた。
「お前らのせいで俺の弟は巻き込まれたんだ!」
「私の友達を返して!」
「あの子はもう歩けないかもしれないんだぞ!どうしてくれるんだ!」
「ミューズナイツを解散させろ!SBY48からクビにしろ!」
「何が夢だ!何が努力だ!全部綺麗事で都合のいい様に言ってるだけじゃないか!」
「SBY48から全員出て行け!そして二度と顔を見せるな!」
「あいつら…好き放題言いやがって!」
「よしなさいひかり!ここで手を出したら火に油よ!」
「んなモンわかってるよっ!」
「どうして…?どうしてみんな私たちを悪役にするの…?」
「あかり…エマたちはこのまま…アイドル追放デスか…?」
「嫌だ…そんなの絶対嫌だ…!せっかく努力して夢が叶ったのに…こんな形で邪魔されて…このまま終わるなんて嫌だよ…」
「あかりさん…!私…私…うう…」
「あ、ミューズナイツだ!すみません!一般人を巻き込んだことに何か謝罪の一言を!」
「君たちがあの悪魔たちを呼んだんじゃないですか?」
「あの魔物たちと君たちに何か関係は?」
「本当に君たちは反省しているのですか?」
「やめて…もうやめてくださいっ!私たちだって…精一杯やったんですよ!?それなのに…どうしてこんな形で私たちを苦しめるんですか…?これ以上追い詰めるなら早く出ていってください!」
「萌仁香…」
「あの!ミューズナイツの皆さん!早く一言を!」
「すみません!彼女たちは精神的に追い詰められてて今はインタビューに答える暇がないんです!どうかお引上げ願います!」
「智也!」
「ああ日菜子!ここは俺が何とかする!みんなは早くここから脱出してくれ!泣き崩れてても構わず遠くへ逃げるんだ!」
「ありがとう智也!みんな行くよ!変装グッズはもう持った?」
「ああ、この通りだよ!」
「よかった!急いで脱出しよう!智也の行動を無駄にしないために早く!」
「いきましょう萌仁香!」
「うう…ぐすっ…!」
ミューズナイツはマスコミやアンチによる追放デモでさらに追い打ちをかけられ萌仁香は悪い事をしてないのに報われない自分たちに苛立ちを覚えついにマスコミに当たってしまうほど精神的ダメージが大きかった。
麻友美はメンタルが元々そんなに強くないので涙を流して泣きだし、あかりが背中をそっと押して移動する。
ひかりは気が短いのでマスコミの対応に腹を立てて地面を蹴り、エマもあまりの無責任さに怒りを露わに英語でWhy!?と叫ぶ。
麻里奈と結衣と加奈子はみんなのメンタルを落ち着かせるために慰めたり抱きしめたりし、日菜子は智也の頑張りに急いでメッセージを送った。
避難先は代々木公園でみんなでそこで止まって避難する。
そしてこれからの事を9人で話すのだった。
「あれが入口だね…」
「ここに入れば奴らと戦えマス…」
「それで…これから私たちはどうすればいいのか…」
「あのマスコミ共に一泡吹かせてやりてぇ…!」
「いいけど手は出さないでクダサイね?」
「んなもんわかってるさ。手を出したらアンチ共のいいエサになっちまうからな」
「ひかりも少しは成長したじゃん」
「そうね。ひかりは少しずつ理性を持てるようになったわね。よく頑張ったわ。そんなひかりに聞いてもいいかしら?」
「何だ?」
「今後私たちはどうすればいいのかしら?」
「決まってんだろ…?アクムーン帝国に乗り込んで…あいつらにリベンジをして皇帝ゲーツィスとやらをぶっ潰す!そしてオレたちのやって来たことが間違いではない事をあのマスゴミ共に証明してやんよ!」
「なるほど…それなら覚悟は決めたわ。私もあのアクムーン帝国に攻め込み最終決戦を挑むわ!」
「私も…このままみんなが夢を捨てて世界が壊れるなんて嫌だ!絶対に世界を取り戻そう!」
「そうと決まれば早速準備して代々木公園に殴りこみだよ!」
「もう二度と…皆さんが夢を捨てて…こんな形でアイドルを引退なんてしたくないです…!」
「やってやろうじゃん!アタシたちの底力をナメんなよな!」
「おっしゃあ!やってやるぜ!」
「待ってなさいアクムーン帝国!エマたちがお返ししてやるデース!」
「ここは先輩として私が真っ先に入り口に入るからみんなは後からついてきて!怖かったら無理しなくていいからね!」
「でも…萌仁香はやりますぅ!先輩たちを差し置いて逃げるだなんて…そんな事は出来ません!怖いけど…頑張ります!」
「円陣組もう!夢と希望は無限大!ミューズナイツ!」
「レッツミュージック!」
こうして加奈子を先頭にミューズナイツのみんなはアクムーン帝国に乗り込んだ。
マスコミによる情報操作と偏向報道、さらに人の不幸をネタにする根性とアンチによる不満のはけ口としての暴動、さらにアクムーン帝国による夢と希望の破壊と努力は無駄だと否定、さらに無気力化という多くの敵と戦うことになる。
ミューズナイツの運命は…すべてはこの戦いにかかっている。
つづく!




