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第33話 小嶋萌仁香

あかりは研修生生活も大詰めになりそろそろレギュラーメンバーの仲間入りを果たしたいと思いつつも、今日はあいにくの仕事がないオフの日だった。


他の同期たちもみんな仕事で同じオフの人は秋山加奈子のみとなった。


そんな中でLINE(リーネ)である女の子からメッセージが届く。


「お久しぶりです、前田先輩」


「えっと…萌仁香ちゃんだよね。久しぶりだね。何かいいことでもあった?」


「あのですね…私が所属している地下アイドルグループでライブが行われるんです。よかったら先輩もいかがですか?」


「行ってみたい!もしよかったら何人かお誘いしようか?」


「え?いいんですか…?マジで喜びますよ?招待した人数をここで送ってくださいね!」


「わかった!お誘いありがとう!」


こうしてあかりはオーディション当日に助けた小嶋萌仁香という女の子の地下アイドルとしてのライブに招待され、メンバーや研修生の何人かを誘うも空いているのが加奈子のみで二人のみになってしまった。


それでもまだ無名な萌仁香にとっては嬉しい事であかりだけでなくもう一人来ることを喜んでいた。


そしてライブの時間になってすぐに二人はライブハウスへ向かう。


そのライブハウスは中目黒にある小さなライブハウスでアイドルがやるにはいささか地味な所だった。


萌仁香とそのグループの出番は最後の方で地下アイドルの中では知名度はある方だと伺った加奈子はどんなパフォーマンスか楽しみだった。


ライブが始まり地下アイドルたちの必死なパフォーマンスに感動したあかりはサイリウムを振り、自分にはない何かを感じた加奈子はメモを取って熱心に勉強していた。


ついに萌仁香の出番になりあかりたちの興奮はマックスになる。


「あの子…確かアクムーン帝国が人間界に攻めて来た時に助けた子だよね?」


「はい。それがこんなにすごいアイドルで私より先輩なんだと思うと私が大したアイドルじゃないんだと痛感しちゃいますね」


「うーん…あかりは可愛いし素直だし清純派なマドンナタイプだからイケると思うよ」


「先輩にそう言ってもらえて嬉しいです」


「それよりも…さっきから強面の男の人が泣きながらあの子を応援しているんだけど…」


「あ…本当だ…」


あかりと加奈子は強面の男の人を怖がりつつ近づかないように遠ざけ萌仁香を応援した。


イメージカラーはネイビーブルーだけどサイリウムにはないので青色になるので青いサイリウムを振った。


ライブを終えて近くの公園で萌仁香と待ち合わせをして少しだけお茶を飲む。


すると萌仁香は強面の男の人を連れて来たのであかりは慌ててどんな関係なのか聞きだす。


「萌仁香ちゃん、この人は一体…?」


「この子たちは誰だ…?」


「えっとぉ~…この方たちはSBY48のアイドルたちなのぉ。それでこちらは私のお兄ちゃんなんだよぉ」


「お前まだアイドルの時のぶりっ子演じてるのか…。えっと…小嶋翔平だ。まぁ…よろしく」


「よろしくお願いします」


「お、お兄ちゃん!それはやめてって言ったのにぃ~…」


「萌仁香ちゃんのそのキャラって作ったキャラなんだ…」


「だってぇ~…プロデューサーがそうしろって言うんだも~ん…。正直…このキャラ辞めたいんだけどぉ~…そうでもしなきゃ売れないってぇ~」


「あー…まぁそういうことだ。俺は高校に通わず妹のアイドル活動のために中卒で働いてるわけさ。俺には将来の夢なんてないからな。だからこそ妹の萌仁香には夢を叶えてほしいんだ。俺は土木作業やってるから中卒でもそれなりに稼ぐことは出来る。だから妹の資金援助ってやつだ」


「優しいお兄さんですね…」


「ならもう一度その女に悪夢を目覚めさせてやるぜ!」


「その声は…ディストラ!」


「そいつだけではありませんよ?」


「何で俺まで…」


「まさか…ブレインやデプレシオまで…!」


「もう一度あの女には悪夢を見てもらい夢を見るなんざ無駄だって証明してもらうぜ!さぁいくぞ!」


「へーい…」 「ええ」


「ダークネスパワーよ…くだらない幻想を捨て、この世界を未来なき世界に変えよ!」


「危ないっ!うっ…うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


「きゃあぁぁぁっ!お兄ちゃんっ!」


「そんな…お兄さんがダークネスパワーに…!」


「ふはは!さぁ思う存分に暴れろ!あの女が魔物にならなかったのは想定外だが…こいつも十分夢に苦しんできたからな!」


「なるほど…彼は妹さんの夢のために自分の夢であるパティシエを諦めたのですね」


「へぇ…面白そうだから見学しよ…」


「イモウトノユメノセイデ…パティシエノユメ…ステタ…!」


「そんな…お兄ちゃんには私の夢が叶うのが夢だって言ってたのに…!本当はお兄ちゃんにも夢があったんだ…!」


「加奈子先輩!早くお兄さんを助けないと!」


「うん!いこう!」


「ミューズナイツ!レッツミュージック!」


「HEY!HEY!HEY!」


「奏でるは心のメロディ!前田あかり!」


「ときめくは心のファンファーレ!秋山加奈子!」


「ウオォォォォォォォォォォッ!」


「お兄さんはきっと檻の中で苦しんでいる…早く助けてあげないと!」


「そうはさせませんよ!はあぁぁぁぁっ!」


「きゃあぁっ!」


「さぁ魔物よ!この女のせいで夢が叶わなかったならぶっ潰せ!」


「ウオォォォォォォォォォォッ!」


「お兄ちゃん…そんな…!」


「萌仁香ちゃんっ!」


「来ないで!萌仁香のせいでお兄ちゃんは…自分の夢を捨てて…そしてこんな姿になった…!私なんて…いる価値はないんだから!」


「ウウ…モニカ…タスケテクレ…!」


「え…?」


「モニカ…!」


「お兄ちゃん…!」


魔物はわずかに理性が残っていて妹の萌仁香のために自分を犠牲にしてもなお気にかけていた。


萌仁香は兄の夢を犠牲にさせたことを責め続けていて自分のせいでこうなるならアイドルをやめようとさえ思ってしまった。


ところが兄が魔物になってもなお気にかけていたことで迷いが生じる。


すると萌仁香の心の中から不思議な声が聞こえた。


「萌仁香…聞こえるか…?」


「お兄…ちゃん…?」


「確かに俺は萌仁香の夢のためにパティシエの夢は諦めた。自分を犠牲にして体にムチを打ってまで働いている。だがそれはお前が小さい頃からアイドルになりたいって言ってて何度も挑み続けてきた。だから自然と俺は萌仁香のため何かしてやりたいって思うようになった。だから俺は後悔していないのさ。萌仁香…お前は自分を信じ、その信じた道を歩み続けるんだ。俺の事はどうでもいいからと言ってもお前は気にかける事は知っている。それでももし俺の事で後悔しているのなら…プロアイドルになって夢を叶えてから俺の高校進学やパティシエの夢の支援をしても遅くはない。さぁ萌仁香…自暴自棄にならず本音を言ってくれ…。俺でさえわずかな意識の中で本音を言ったんだ、お前なら言えるさ。ぶりっ子の優しいお前じゃなく…不器用ながらも自分を曲げない本当のお前でぶつけてくれ」


「ありがとう…お兄ちゃん…」


「あ…?」


「萌仁香は…自分のためだけにアイドルになろうって思ったけど…もうそんな夢を持つのはやめた…。これからは…応援してくれる大好きな優しいお兄ちゃんのために…お兄ちゃんの夢の応援をするために…萌仁香はもう一度SBY48のオーディションを受けてプロアイドルになる!たとえ遅れたとしても…萌仁香はもう二度と自分のせいで人の夢を奪ったとか…自分を責めて諦めたりしないっ!」


萌仁香が強い意志を叫ぶと彼女の耳から美しいオルガンの音色と美しい混声合唱の声が聴こえた。


萌仁香の手元には青いサイリウムが現れ遅れながら騎士として覚醒したのだ。


あかりは萌仁香が覚醒したと知り変身するように叫んだ。


「萌仁香ちゃん!さっき私たちが叫んだ変身の呪文を唱えて!」


「先輩…わかりました!ミューズナイツ!レッツミュージック!」


「HEY!HEY!HEY!」


サイリウムを三回振るとフロントだけシルバーグレーのネイビーブルーの立襟の軍服でシルバーグレーのスカート、さらに両手には大きなウォーハンマーが装備される。


ブーツはお揃いで萌仁香は晴れて騎士として覚醒したのだ。


萌仁香はふと浮かんフレーズを叫んで名乗り始める。


「受け継がれしはは心のフィナーレ!小嶋萌仁香!お兄ちゃん…絶対助けるからね!」


つづく!

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