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第99話 最終回 ミューズナイツ

12月31日、ついに約束の大晦日が訪れた。


各自今の家から出て渋谷駅のハチ公前に集まろうとする。


あかりは渋谷から近いので余裕を持って、結衣は品川から、日菜子は新宿から、麻友美は秋葉原から、ひかりはアメリカから帰国して引っ越した池袋から、麻里奈は上野から、エマは新橋から、そして萌仁香は日暮里から渋谷駅に向かう。


加奈子は東京駅が最寄りだがまだ帰国したという情報が入っていない。


なので最初に到着したのはあかりで、あかりは一人でヘッドホンをつけて小さな声で歌い始める。


あかりの歌で周りの人々は魅了されていったが足を止める事はなかった。


今の人気で変装しないで行くのはマズいので、絶対にバレないようにメイクなどしっかりしてきた。


真冬なのでとても寒いが、あかりはカイロを貼っていたので多少の寒さはしのいでいる。


少し時間が経つと日菜子が到着した。


「あかり、お待たせ!」


「えっと…もしかして日菜子ちゃん!?」


「久しぶりだね!今はあかり一人かな?」


「うん。日菜子ちゃんは智也くんと上手くいってる?」


「もちろんだよ!子どもも生まれたし、すっかりパパとママだよ。名前は太陽と陽子っていうんだ」


「双子なんだね。あ、今度は結衣ちゃんだ!」


「お待たせ。あかりと日菜子がいるのね」


「結衣ー!こっちこっちー!」


「昔は遅刻気味だったけど、ママになって直ったのね。偉いわ」


「そこまで馬鹿じゃないもん…!」


「まぁまぁ…。それよりもあと六人だね」


「そういえば麻友美は私と同じ車両で一緒だったけど、今はトイレに行ってるわ」


「じゃあもうすぐ…」


「おまたせしました…」


「麻友美!」


「相変わらず変装上手いなぁ…」


「今日は少しだけゴスロリ少女が普段着を着たらっていうのを意識しました…」


「二次元のキャラなのにリアルに馴染んでて、ある意味コスプレ上手いなぁー」


「えへへ…」


「残るは五人ね。次は誰が来るかしら?」


「それにしても数人だけで一緒の仕事はたまにあったけど、九人集まるのは十年ぶりになるのかな?」


「それが本当だったら嬉しいですね…」


「きっとミューズナイツの同窓会を開くんだよ」


「だとすれば懐かしい話も出来るわね。主催は加奈子先輩になるのかしらね」


「わかんないけど、呼び出したのは加奈子先輩だもんね」


「確かにそうだね。あ、萌仁香ちゃんだ!」


「遅くなりました!」


「あら、萌仁香はまだ早い方よ?」


「私も今着いたところなんです…」


「久しぶりだね、萌仁香ちゃん。お兄さんに赤ちゃんが生まれたんだって?」


「はい、おかげでお店もグラビアも家庭も幸せですよ。あの頃みたいに兄妹ですれ違う事もないですし、本当の自分に素直になれなくてツンツンすることも、猫を被る事もなくなってスッキリしています」


「随分自信がついたのね、偉いわ」


「それほどでも…あるかもですね。だってこんな偉大な先輩方と一緒に仕事して、ある時には死を覚悟して一緒に戦った仲ですもん」


「萌仁香ー!君はいい事言うようになったねー!」


「でもひかりちゃんと麻里奈ちゃん、エマちゃんは遅いなぁ…」


「あー、あの三人はいつも遅刻気味だったよね。私も人の事は言えなかったけど」


「ですが日菜子さんは智也さんの協力で直りましたね…」


「うん。智也と結婚しなかったら終わってたよ」


「あはは。とりあえず今は寒いからイチオーキューで少しだけ暖を取ろうか」


「そうね」


あかりたちはひかりたちの遅刻癖を見越して一度イチオーキューの中に入る。


イチオーキューで若者のファッションコーデを一通り見て、今はこんなのが流行っているんだと勉強する。


その向上心は今も変わらない。


夕方の十八時になると、ついにひかりから連絡が来た。


「すまん!今渋谷駅に着いたんだ!お前らに会えるのが嬉しくて、ついダンスの練習してたら遅くなっちまった!」


「あら、ひかりにしては早かったのね」


「とりあえずひかりを迎えに行こうか」


「もうハチ公前にいるかも、急ごう」


あかりたちは晩御飯を洋食屋で済ませ、ひかりが到着したという連絡が入り、すぐにハチ公前に移動する。


あかりは十二時に着いたので、相当この時を楽しみにしてたのだろう。


その次に日菜子が十三時、その十分後に結衣と麻友美、十四時に萌仁香なので相当時間が経っての到着だ。


ハチ公前に着くと、ひかりが申し訳なさそうに待っていた。


「悪いな!待たせちまって!」


「本当よ。と言いたいけどあの二人よりはマシね」


「まったくー。遅刻癖は変わらないんだからー」


「日菜子…お前はいつの間に克服したんだよ…!」


「日菜子さんは智也さんとのご結婚を境に変わられたんですよ…?」


「いいなぁー!オレも結婚してぇー!」


「まぁまぁ…私も結婚したいけど、まだ仕事が忙しくてそれどころじゃないんだよね」


「萌仁香もお兄ちゃんが結婚してパパになったけど、そろそろ意識しちゃいますね」


「そうですね…。あ、麻里奈さんとエマさんが来ました…!」


「ごっめーん!お待たせー!」


「遅くなりマシタ!」


「もうー、遅いよー!」


「悪かったってー!ほら、謝罪がてら東京駅でお土産!東京バナナだよ!」


「エマと麻里奈はみんなと再会出来る事が嬉しくてお土産選びに迷ったのデス!」


「え?何だよお前らもなのか?実はオレも…」


「萌仁香もなんですよ」


「皆さんもなんですね…?」


「これは智也と選んだお土産…」


「ということは…」


「どうやらそうみたいね」


「えへへ…」


「あはははははw」


ミューズナイツの八人の考える事はみんな同じで、全員と再会できることがあまりにも嬉しくて各駅からお土産を持って来ていた。


それぞれ大きなものではないが、どれも手軽で美味しいグルメなものでみんなで交換し合って食べた。


残るは加奈子のみだが、なかなか来ないので今いるメンバーで懐かしい話をした。


「アクムーン帝国との戦い、過酷だったね」


「そうだね。このイチオーキューのステージでアタシらは歌ってたんだよね」


「ゲーツィスの演説を止めたりしてましたね…」


「今思えば懐かしいデス」


「この交差点で萌仁香はあかり先輩に助けられたんですよ。かつてSBY48のオーディションに落選して、夢は絶対に敵わないんだって諦めた時に襲われて、魔物にされた時に加奈子先輩とあかり先輩に助けられたんですよ。それがまさか…お兄ちゃんまで魔物にされて、萌仁香までミューズナイツになるなんて思わなかったです」


「それがあかりと萌仁香の馴れ初めってやつかー。何だか感動するぜ」


「そのおかげで加奈子先輩は助かったのよね。そして私たちまで騎士として覚醒してアクムーン帝国やルシファーナにも勝った」


「でもアルコバレーノや月光花には勝てなかったな…」


「アジアアイドルコンテストでは月光花に勝ちマシタけどね」


「世界のアルコバレーノ、東洋のミューズナイツ、西洋の月光花って言われたわね」


「人気の分布がしっかりしてたよね」


「わかるー」


「それにしても…加奈子先輩遅いですね…」


「まさか騙された…?」


「だとしたら無駄足じゃねぇかよ…!」


「どうする?もう解散する?」


「そうしましょう」


「きゃっ!?」


「何だ!?停電か!?」


「どうしよう…!これじゃあ帰れないよ…!」


二十一時をきっかけに突然渋谷の街に停電が起き、渋谷駅周辺は大騒ぎになった。


あかりたちは突然の事故に不安を覚え、まさかまたアクムーン帝国が復活したんじゃあ…と光のサイリウムを用意する。


しかしどうもダークネスパワーを感じなかったのでサイリウムを一旦しまい、とりあえず街の中を捜索しようとする。


すると…渋谷駅のハチ公前の改札口からスポットライトが当てられ、一人の女性が花道を通るようにハチ公前に近づいた。


「このドリームパワーは…!」


「この大きすぎるドリームパワーって…!」


「もしかして…!」


「あの人だ…!」


「加奈子先輩…加奈子せんぱーい!」


「まったく…ヒーローは遅れて登場ですか!」


「加奈子先輩!おかえりなさい!」


「もう!遅いデスヨ!」


「みんな…お待たせ。ようやく世界一のプロデューサーになってきたよ」


「ああ、間違いねぇな!」


「SBY48をワールドアイドルオリンピックで何度も上を行ったグループは数多くいるッスよね!」


「うん。それだけでなく何人もの原石を見つけてきたんだ。だから自信を持って日本に帰れるって思ってみんなを集めたんだ。だから今ここで重大発表するね」


「はい!」


加奈子が凱旋帰国して約束通りに渋谷駅のハチ公前に現れる。


さっきの停電やヘリコプターでのスポットライトは、加奈子の全財産をかけた演出で渋谷の街の人をも驚かす演出だった。


そのおかげでサプライズは成功し、今度はさらに驚くサプライズを用意していた。


「みんな、まずはあのサイリウムを取って」


「え?もうダークネスパワーは…」


「いいから変身しよう」


「わ、わかりました!みんな!」


「うん!」


「ミューズナイツ!レッツミュージック!」


「HEY!HEY!HEY!」


各自ミューズナイツとして変身して騎士服に着替える。


みんなは加奈子に促されるように従ったが、一体何を考えているのかわからなかった。


だが街の人が変身姿を見てもしかして…と半信半疑から確信に変わった。


その演説がこれだ…


「皆さんお久しぶりです!ミューズナイツだった秋山加奈子です!ここにいる前田あかり、大島結衣、篠田日菜子、渡辺麻友美、高橋ひかり、板野麻里奈、柏木エマ、そして小嶋萌仁香をここに呼び出したのは私です!そしてここにまた夢と未来の騎士が集まった…ということはもうわかった方もいると思いますがあえて言います!今ここで……私たちミューズナイツは、この渋谷にて再結成と活動再開を宣言します!もうアイドルという年齢ではないかもしれませんが、皆さんにとって永遠のアイドルはミューズナイツだと言われるようになるよう約束します!そして…父である秋山拓也と対等なライバルとして、最高のアイドルになって世界中にもう一度、夢を見て自ら叶えるために努力し、未来を描き、そして世の中のために向上心を促せるように頑張ります!だから…せーの!」


「「応援よろしくお願いします!」」


「ミュ、ミューズナイツが再結成だ!」


「ずっと待ってたよー!」


「ミューズナイツ!ミューズナイツ!ミューズナイツ!……」


こうして加奈子の突然のサプライズ演説に、渋谷中はミューズナイツフィーバーとなる。


SBY48もミューズナイツは永久欠番だったが、今回の活動再開宣言によって永久欠番を解除しSBY48公式ライバルグループとして任命する。


そのことが世界中のSNSでバズり、とくにアジア圏からは多くの人々が待ち望んだかのようにお祭り騒ぎになった。


あれから専属プロデューサーに日菜子の夫である篠田智也を筆頭に、世界中を席巻して月光花と共に世界を騒がせる存在となった。


その後、ミューズナイツが第四回ワールドアイドルオリンピック以降、大会史上初の五連覇を果たしたのは未来の話だ。


ミューズナイツは永遠のアイドルとして語り継がれ、アルコバレーノ、月光花と共に世界のアイドル百全集にも載るほどの偉大な記録を残すのであった。


彼女たちの死後は…SBY48劇場だけでなく、渋谷区の墓地に手厚く全員同じお墓に葬られている。


こうして人類は、新たな歴史を作るために日々進化していくのであった。


おしまい!

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