七剣
★1 前髪長めの主人公
「今年はここ日本で七剣が開催されるという事で、日本全国盛り上がっております!!」
テレビやSNSでは連日連夜、タレント、アイドル、アナウンサーなどが七剣特集に出演し盛り上がりに花を添えている。
「七剣、七剣って最強の何がいいんだよー。どーせ剣を使うなら日本の伝統であるアニメを観ろアニメを!!」
僕ーーキイダは世界中の老若男女が夢見る最強の称号七剣を目指すうちの1人!!ではなく、ただただ平和に面白おかしく人生を謳歌したい前髪長めな普通の日本人である。
「また世の中が騒がしくなるのか、なるべく自宅で平和に過ごして嵐が過ぎるのを待とう。」
日本中で盛り上がるのには訳がある、日本にも七剣が1人いるからだ。
良楼 梅ーー前回大会で4位入賞、日本初。容姿端麗でモデル活動、タレント業や最近では女優業もこなす日本では知らない人がいない大スターだ。
「剣さえ使わなければとても素敵な女性なのにな。お、夜も更けた!今日もそろそろ行くかな!」
夜はとてもいい。人が少なく、トラブルも少ない。平和に過ごすにはもってこいのベストタイミングとは正に夜なのだ。
「ふー、今日もこの神社からの眺めは素敵で静かで風が気持ちいいな。」
ここは中国魂神社。街を見下ろせる山の上にあり、剣の神が祀ってあるということで七剣関係者にはちょっとしたパワースポットにもなっている。
階段の方から足音が聞こえる。
「こんな時間に誰だ?もし話したりするイベントがあったら面倒だから隠れてよっと。うん?マジかよ、隠れて正解だった汗」
階段から上がってきたのは先ほど画面越しに観ていた、いま日本で最も注目されているであろう人物、良楼梅だった。だが何か様子がおかしい。
「ハァ、ハァ、これが七剣になるという事なのね、、、出てきなさい!」
「あれ?僕のことかな。どうしよう。」
良楼梅の一言に黒い服を纏った何者かが良楼梅を囲むように現れた。
「ああ、良かった!僕じゃないのね。けど、あんな大勢で何事だ?新手のナンパかな。有名人は大変だな。」
黒服のリーダーらしき人物が話し始める。
「悪いが、大会エントリーを辞退してもらおう。抵抗すれば怪我をする事になるかもな。」
「え、なにあのセリフwアニメだと死亡フラグじゃんw」
「大会前には七剣狩りがあるとは聞いていたけどこういう事だったのね。このような事は七剣規約違反になるわ、どういう事かわかってるの。」
「我々もこれが仕事でな、お前が怪我をしたところで我々の存在が明るみに出ることはない。何せ七剣が知らぬ誰かに不覚をとったなど言えるはずもない。」
「それもそうね。ならば闘うしかなさそうね。」
良楼梅は腰にある剣を抜き、構えをとる。
「おー、あれが良楼梅の剣、松竹梅か!本人と同じで剣術に使わなければ綺麗で素敵なんだけどな。」
黒服達は良楼梅に一斉に飛びかかる。
「あの黒服達、かなり強いな。それぞれが大会に出てもおかしくないレベルだ。」
良楼梅もかなり強い。だが1対1なら彼女が圧倒的だが多方面からの攻撃に彼女も攻めることができない。しかも夜で視界も悪い。
1人の攻撃が良楼梅をかすめる。
「くっ、毒ね。」
「流石だな、1mgでクジラなど動けなくする薬なんだがな。もうこの辺でやめておいた方が身のためだぞ。」
「あいつら◯◯旅団かよwけどヤバイな。もう勝ち目はない。」
「まだ闘えるわ。きなさい。」
良楼梅は立っているので精一杯だ。
「お前ら、程々に痛めつけてやれ!!」
「なぜ闘うwあー、もう!僕の平和な日常がー!!」
僕は隠れていた場所から飛び出した。
「ちょっと待ったー!」
やべ、恋愛バラエティの1シーンのようになってしまったw
「なんだ貴様は?黙ってここから消えろ!」
「女性1人に大勢で闘うのはフェアじゃないと思いまして。」
良楼梅は不思議な顔をして僕を見ていた。
「皆さんなにがあるかわかりませんが、ここは平和にいきませんか?」
「貴様はふざけているのか、お前らやれ!」
「あなた、逃げなさい!!」
黒服達は一斉に飛びかかってくる。次の瞬間、黒服達が弾け飛ぶ。それぞれ地面や周りの木などにぶつかり気を失う。
「な、なにが起きた!キサマなにをした!」
黒服のリーダーらしき人物は腰の剣を抜き構えをとる、、、が、僕はすでに後ろに回り込んでいた。
「平和にいきません?」
黒服のリーダーらしき人物は僕の攻撃を受け気を失い、地面に倒れる。安心したのか良楼梅は構えをやめて座り込む。
「大丈夫ですか?これ塗りますね。」
僕は持っていた薬を良楼梅に塗る。
「ありがとう。あなた何者なの?」
「僕はキイダです、神社に散歩しに来てただけですよ。薬が効くまで少しかかるので治るまでここにいるんでゆっくりしててください。」
僕はある理由がありこの神社で毎日剣の自主稽古をしている。だが、言ったらまた変な事に巻き込まれる気がしたから言わなかった。
「あなた、、さっきのはいったい、、、」
「うーん、助けなかったら僕がきっと面白おかしく過ごせなくなると思ったからw」
良楼梅はとても可愛らしい笑顔で笑った。これが僕と良楼梅と七剣との最初の出会い。
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