第一話
初めての投稿です。拙い文章ではありますが、良ければお読みください。
週の終わりであり始まり、或る日曜日の夜の出来事だ。
「足が、動かん」
そう呟いて青年、山田くんはその日のうちに動く事を諦めた。そしてその時いた場所、つまり部屋の真ん中の床で眠る事とした。
翌朝、いつも通り日は昇った。
いつもと違う所があるとすれば、一人の人間の足が動かなくなった事だろう。誰の足かって?もちろんのこと、山田くんだ。足を動かすことを諦めその場で寝てしまうような怠け者でも、一晩寝て起きてもなお動かないとなると流石に気になったようで、仕方がなく病院に行こうと決心したらしい。しかしながら、一つの大きな問題が立ち塞がる。
歩けない人間がどのようにして病院まで辿り着こうというのだろうか。
救急車を呼ぼうにも、その時彼には外界との通信手段が無かった。スマホは電池切れ、コンセントは部屋の隅。さらにスマホの充電用プラグは断線していた。加えて言えば固定電話もない。あったところで手に取ることもできまい。さてどうしよう。このまま歩けなければ飢え死にしてしまう。トイレにも行けないので、このまま餓死したならば亡骸はかなり酷い有様で見つかるだろう。彼がいくら怠け者だからといって、現状を放置して起こる悲劇について思考が及ぶと、打開策を考えるより他に無かった。
初めのうちは、足が使えなくともできる移動手段、ホフクゼンシンの使用を検討していた。軍隊で歩兵などが用いる移動手段の一つである。この案はかなり素晴らしいもののように思われた。しかしながら、実際に試してみると案外上手くいかないものだ。まず、思っていた以上に前進しない。ほとんど進まない割にはかなり体力を消費する。それでも彼は懸命に進んだ。とにかく玄関の扉の方へ向かってホフクゼンシンを続けた。
この小説はフィクションです。