表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

新宿の磔刑

作者: 井伊紀文

 新宿のイエスは歩道橋に死す

 身体を浮かせ

 まばゆいフラッシュを浴びながら

 公然の十字架に架けられる

 

 新宿のイエスは歩道橋に死す

 死してなお

 広がる電波の中に浮遊する

 その身体は大衆の欲によって

 一枚の写真として飾られる


 新宿のイエスは歩道橋に死す

 南口には人は多いが

 哀れみを投げる者はいない

 みな興味をもち傍観する

 言論は石となって死体に当てられる


 新宿のイエスは歩道橋に死す

 もし私があの場にいたら

 おそらく私は本能のままに

 カメラを彼に向けるだろう

 私が最も嫌う眼差しで

 磔刑を撮影するだろう

 

 単なる偶然としても

 あの場の人間は否応なく裁かれる

 私や 

 たまたま場に居合せなかった者によって

 新宿のイエスは歩道橋に死す

 身体は傍観者の中で

 重りとしてぶらさがる

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ