35話 天界へ
エマと騎士隊は冥界から城に戻ると、すぐに天界に行く方法を調べた。
しかし、アーラン国内の知識人や書物で調べるも、天界に行く方法を知るものは誰もいないようだった。
ふと、エマは小さい頃に母親から聞いていたことを思い出していた。
エマの母親は一族代々の伝承で聞いていた話をエマにしたことがあったのだ。
それは、アーラン国の東の登山道を登っていき、頂から強く念じれば天界への道が開かれるというものだった。
エマは城下町に住む自身の両親の元に向かうことにした。
エマの話を聞くと、エマの両親はエマに地図を渡した。
「これを持って行きなさい。私も詳しくは知らないけど、我が一族に伝わる地図よ。」
エマが地図を開くと、地図にはアーラン国の場所と登山道、そして、天界への入り口が記されていた。
「気をつけて。」
エマの母親は、そう言い、エマを送り出した。
エマとリリナス含む騎士隊は、天界に行くため、登山道に向かった。
登山道は険しく、馬を降りて登っていかなければならなかった。
エマはアリスのことを思い、一歩、また一歩と山を登って行った。
そして、エマ達は山頂にたどり着いた。
山頂付近は平地になっていて、頂上には入り口のようにも見える鳥居が立っていた。
エマは強く念じた。天界への道を。
すると、空に虹がかかり、エマの足元に透明な階段のようなものが現れたのである。
「行きましょう。」
エマがそう言い、振り返ると、リリナスや騎士隊のメンバーは戸惑っているようだった。
「エマさんには道が見えるんですか?」
「はい、その門の向こうに天に続く階段が見えます。」
「……。我々には見えないです。」
エマは驚いた。エマの目の前にある階段は、他のものにはそれが見えないようだったのである。
「わかりました。私一人で行ってきます。」
そういうとエマは階段を登っていく。
他のメンバーは、エマがまるで空に向かって飛んでいくように見えていた。