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23話 初夜再び

エマは、誤解を解くために、アリスの部屋に向かった。

部屋を何度かノックし、声をかけるも、応答がない。

アリスの付き人からは、怒った顔のアリスが部屋に戻ったと聞いていたので、中にいるはずだった。


「姫様、エマです。さきほど見られた件で、誤解を解きに来ました。入りますよ。」

エマはそう言い、部屋のドアを静かに開ける。

開けて中をみると、アリスはカーテンの側に立っていて、エマを怒ったように見ていた。


「姫様、やっぱりいらしたんですね。さきほどご覧になられていたことなんですが。」

「わかってるよ。」

「え?」

「エマが、他の人と不倫なんてしないこと。」

「……ほっ。それなら良かったです。」

エマは安堵し、笑みを浮かべてアリスを見る。

アリスの表情は変わらず、怒っているような悲しそうな表情をしていた。


「私がつらくて見てられなかったのは、エマとリリナスが友達のように楽しそうにしていたこと。私のときとは違うかった。」

「え?」

「エマは本当に私のことを恋人と思ってる?」

アリスの目には涙が浮かんでいた。


「アリス。」

エマは気づけばそう言い、アリスに駆け寄り、抱きしめた。

「エマ?」

「私は多分一歩が踏め出せないでいた、と思います。」

「……。」

「今踏み出していいですか?」

「ふふ。私はずっと待っていたのよ。」

アリスは目に涙を浮かべたまま、嬉しそうにいった。

エマはアリスのその表情を見て、覚悟を決めた。

エマはアリスを押し倒していた。



ベッドの上に横になるアリスの姿は美しく、エマは心の中の欲望が大きくなることを自覚する。

アリスは照れたように横を向いているが、嫌がっているようには見えなかった。

エマは、アリスに覆いかぶさり口づけをする。

そしてアリスの体を強く抱きしめる。

アリスもエマの体を抱きしめ返し、二人は抱きしめあった。


「エマ?」

アリスはエマが、じっと抱きしめたまま動かないので気になり声をかける。

エマが顔を上げると、照れた表情をしていた。


「アリス、なんだか抱きしめてたら、気持ちよくて。嬉しくて。」

エマはそういうと、アリスの胸元に顔をスリスリしてくる。

「ちょっと、くすぐったい。フフッ。」

アリスはエマの髪が触れるので、心地よいくすぐったさを感じる。

二人はベッドの上でじゃれ合うようにお互いに触れ合った。


しばしの時間の後、二人はベッドに座りあって話をしていた。

「もう、今日のエマ少し野獣みたいなとこあったから、少し怖かったよ。」

「ごめんなさい。つい興奮してしまって……。」

「別にいいんだけど、でももっとして欲しかったかも。」

「え?」

「フン、まあ今日はここまでいいけど。次は期待しているから。」

「は、はい。期待にそえるように頑張ります。」

エマが、そう答えると、アリスは笑い、エマも笑っていた。


「今日は姫さ、じゃなかったアリスと、こんな風に話せて、抱き合えるようになっただけで、私は幸せです。」

「私も幸せ。」

アリスはエマにもたれ掛かり、エマはアリスの腰に手を回し、体を支える。

「エマ、大好き。」

「アリス、私も大好きです。」


夜も更け、その日はエマは自身の部屋に戻ることにした。

エマはアリスの部屋を出ようとした。



バリン、と音がして部屋のガラスが割れた。

エマとアリスは音に驚き振り返ると、そこには魔王がいた。

エマが走り駆け寄るよりも早く、魔王はアリスを捕え、

魔王の波動により、エマは吹き飛ばされる。


「エマ!」

アリスは吹き飛ばされたエマに向かって叫び声をあげる。

エマの手には武器や防具はなく、何の道具もなかった。

エマは、アリスの部屋に向かうだけつもりであり、何も所持していなかったのである。

しかし、それでもエマはアリスを取り返さなければならなかった。

エマは立ち上がり、魔王に向かっていく。


するとエマは魔王の魔力で動きを止めらる。

しかし、そのエマは魔力を弾き返そうともがき、徐々に動かせる範囲を広げていく。


「お前はいったい何故我が魔力をはね返せるのか。」

エマは力づくで魔力を解き、魔王に走り寄ろうとした。

しかし、魔王には近寄れなかった。

魔王はアリスの首筋に、手を当てていた。

それは、エマが不用意に近づくとこの場でアリスの首をはねることを伝えていた。


「アリス姫を離せ。」

「ふん、離して欲しければ、私の質問に答えよ。

お前は、なぜ私の命を取らなかった?」

魔王はエマに聞いた。

エマは、魔王城で魔王を眠らせ、城を爆破し、火をつけたが、

本来であれば無防備な魔王の首をはねて、即座に命を取るべきだった。

しかし、エマはそれをしなかった。

魔王は燃え盛る魔王城の中で目を覚まし、なぜ助かったかわからなかったのだ。


「それはアリス姫に傷がなく無事だったからだ。」

「フン。」

そういうと魔王はアリスを抱え、窓の外に身体を向ける。


「明日まで我が魔王城にて待つ。

そこを過ぎると、この女は我物になると思え。正々堂々来い。」

そういうと魔王は飛び去った。

エマも走り寄ろうとするも、すでに魔王の姿はそこにはなかった。

エマは魔王にとどめを刺さなかったことを後悔した。

しかし、とどめをささなかったからこそ、今エマは生かされていて、1日の猶予が与えられているようにも思えた。

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