表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/39

11話 転落

アリスは、城の外へ見回りに行ったエマを見送った後に、自身の部屋に戻った。

そして部屋の中で、エマの帰りを不安げに待っていた。


「……っ」

ふと、不穏な空気がし、寒気がした。

外の様子が気になったので、アリスは城の門まで行くことにした。

空は薄暗くなっていて、夜になろうとしていた。

アリスは、しばらくの間、城門から外を見ていると、馬に乗った人影が何人か見えた。


それは帰還してきた騎士隊のメンバーだった。

戻ってきたメンバーには傷がなく、衝突がなかったことが見て取れた。

しかし、騎士隊の話に、アリスは不安と怖さを感じた。

それは、敵兵を見つけたため、騎士長のゼルクより、一旦城に戻るよう命令があったという話だった。

そして、肝心のエマはゼルクと一緒にしんがりを務めることになった、ということだった。


次々と騎士隊のメンバーが怪我もなく無事に帰還してくるが、二人は帰ってこなかった。

アリスは城の中に戻りましょうという付き人の声に耳を貸さず、じっと外でエマを待っていた。


すると遠くから、一人帰ってくる姿が見えた。それはゼルクだった。

近くにエマの姿は見えなかった。

アリスは不安になり、歯を軽く食いしばり、手をぎゅっと握りしめた。


ゼルクは落ち込んだ様子でトボトボと城の門を潜った。

「エマはどこに?」

アリスはゼルクに近寄り、開口一番にエマのことを尋ねた。

ゼルクはアリスを見ると、苦悶の表情を浮かべ、申し訳なさそうにして言った。


「騎士隊のメンバーを送り届け、最後に敵兵の状況を確認しようと、エマと二人で偵察に行きました。

すると、数名の敵兵が近くまで潜んでいました。我々は応戦し、戦ったのですが……。」

「エマは?エマはどうなったの?」

アリスは心配そうにゼルクに聞く。


ゼルクは涙ながらに言った。

「エマは敵に撃たれ、崖から転落していきました。」

アリスはそれを聞くと、ふらりとその場に崩れ倒れるしかなかった。


「姫!」

ゼルクはアリスに近寄り、手を差し出す。

しかし、アリスはゼルクの手には触れず、一人立ち上がり、呆然とした表情で城に戻っていった。

アリスのお付きは、アリスがゼルクの手を取らなかったことを驚きながら、アリスの後を追った。

そして、一人残されたゼルクは俯いていて、周りには見えなかったが、眼をカッと開き、憎んでいるかのようにも見える表情をしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ