加速する事態
クリウス・ヴォルガニックの放つ殺気……それは、ファウルの放つ圧力とはまた別次元のものだ。別次元に、重い。
どうやら、オレが秘密を知っているのが余程お気に召さないらしい。そんなに怖い顔しなくてもな……
そしてその視線は、メルデュース・マ・ガランドーラへと向けられるが……彼女は、首を横に振る。
「余が、話すわけなかろう。むしろどうしてこやつが知っておるのか、余でさえ驚いておるわ」
なるほど、ファウルとヴォルガニックの関係を、メルデュース・マ・ガランドーラが話したと思ったわけか。だが、彼女は関与していない。
むしろ、あいつも知っていたのかと……あぁ、もしかしてファウルへの過剰な接触は、それが原因か? 初めから知っていたわけではなさそうだが……
メルデュース・マ・ガランドーラとヴォルガニック家は仲がいいらしい。最大限オブラートに包んだ言い方だが。
そこで、ファウルの……いやヴォルガニックから名を抹消された者のことを聞き、ファウルに会ったことで抹消者がファウルだと知ったってところだろう。
「答えろ! なんでお前が、そのことを知ってる!」
と、声を荒げるのはクリウス……ではなくガラム・ヴォルガニック……後ろから、出てきた。いたのか。
そういや、いつだったかファウルとガラム・ヴォルガニックが二人で話している時があったな。それに、Aクラスの連中がファウルに触ろうとした時、それを止めたことも。
全部、今の現象と関係しているのか? 誤って眼帯に触れて外れてしまったら、暴走してしまうから……
「おい、なに黙ってるんだ!」
「……」
そんな善意で、やっていたとは思えないが……無関係では、ないだろう。
だが、今はそれを追求している時間も余裕もない。無論、クリウス・ヴォルガニックの疑問に答える余裕も。
「んなの、どうでもいいだろ。それより……」
暴れるファウルを、止める……それだけならばまだやりようもあったが、ここにクリウス・ヴォルガニックまで加わってしまった。あいつは、ファウルを排除するつもりだ。
そんなこと、させてなるものか。
「……理由はあとでゆっくりと話してもらうぞ」
クリウス・ヴォルガニックも、今ここで問答を繰り広げるつもりはないらしい。逆にそれは、それだけ事態が切迫しているであろうことを意味している。
まだなにか言いたげなガラム・ヴォルガニックを視線で黙らせている。力の上下関係は、火を見るよりあ明らかだ。
ここで、協力……できれば一番いいだろうが、そうもいかないだろうな。あいつらはファウルを排除するつもりだ、むしろ敵……状況は悪い方に加速している。
ファウルを元に戻すのだけでも厄介だっていうのに、厄介な奴が現れやがった……!




