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売春婦の青春

作者: ミスタートルコ

「あゝ、青春を有している間に、その青春を実現したまえ。

退屈な連中に耳をかしたり、手もつけられないほどの失敗をなんとかしようとしたり、無知の輩や凡庸の徒にきみの生命を与えたりして、きみの黄金の日々を使いはたしてはいけない。

それらは現代の病的な目的、虚偽の理想なのだ。 生きたまえ!

きみのうちにある驚くべき生を生きたまえ! なにものも自分の身から奪われぬようにしたまえ。

いつも新しい感動をさがしていたまえ。 なにものも恐れてはいけない。

新しき快楽主義ーこれこそ現代の求めるものなのだ。」 -ワイルド



巌頭之感


悠々たる哉天壤、

遼々たる哉古今、

五尺の小躯を以て比大をはからむとす、

ホレーショの哲學竟ついに何等のオーソリチィーを價するものぞ、

萬有の真相は唯だ一言にして悉す、曰く「不可解」。

我この恨を懐いて煩悶、終に死を決するに至る。

既に巌頭に立つに及んで、

胸中何等の不安あるなし。

始めて知る、

大なる悲觀は大なる樂觀に一致するを。


ー藤村 操



余の視るところにては、かの青年は美の一字のために、捨つべからざる命を捨てたるものと思う

「趣味の何物たるをも心得ぬ下司下郎の、わがが卑しき心根に比較して他を賤しむに至っては許しがたい」「ただその死を促すの動機に至っては解しがたい。去れども死その物の壮烈をだに体し得ざるものが、如何にして藤村子の所業を嗤い得べき。かれらは壮烈の最後を遂ぐるの情趣を味い得ざるが故に、たとい正当の事情のもとにも、到底壮烈の最後を遂げ得べからざる制限ある点において藤村子よりは人格として劣等であるから、嗤う権利がないものと余は主張する。」 -草枕




よくよく考えると、自分が自殺する理由を血眼になって探すのも馬鹿馬鹿しい気がするし、

ここでは他人の事だけを喋りたいと思う。


ハンナ・アレントによれば、ギリシャ語では「人々の間にある」ということと「生きている」という事が同じ意味を持つ言葉なのだそうだ。

つまり、「人々の間に無い」という事が、「死んでいる」ということを現している。


ところで私の生は、何ものでも無かった。全くの無意味だった。(ロールのようにいけば良いのだが、私には好運が無かった)

多分、家の中で首を吊る以上、私の死も何ものでもないだろう。

出来ればマンディアルグやマルローに出てくる主人公の様な死に様が良かったのだけれど...

死が私にも他人にも属さず、露呈として現れた所で、私の親は、お得意のあの鼻持ちならないエゴイズムで、死など奴等にとっては自分に都合の良い手段に帰してしまうに違いない。


<頼むから葬式は行わないでくれ。遺灰は海にでも蒔いてくれ。亡骸は何処か人目のつかない地中深くに葬り、仏壇も、見舞いも、数回忌も一切行わず、とっとと忘れてくれ。それだけが唯一の望みです>


所で、勝手に自殺の解釈をあの親や精神科医共にされるのも癪なので、自分で自殺の理由をつけておくと、

<筋トレや器械体操、乾布摩擦を行わなかった>というのが、直接的な自殺の要因である。

実際、「生きる意味」などを考え(時に自殺す)るのは、痩せ型で運動不足で本の読みすぎの為に猫背と、相場が決まっている。


私の生に唯一意味が有ったとすれば、それは「人々の間に有る」状態の時だけだった。

そこで以下に、私が生きてきて、当然私以上に意味が有る人物を挙げる事とする。


友人が欲しいと思っていた私にとって、少なくとも彼らは友人だった。

彼らが私の事を友人かどうかと思っているかは知らないが、この私にとってのみ意味の有る共同体...ホームレス、立ちん坊、乞食、ルンペン、麻薬中毒者、精神分裂病者...


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