黒羽の願い
「そんなに見つめられると照れちゃうよ。」
「馬鹿ね。」
黒羽を軽くあしらうと、また一口ワインを飲んだ。人間は暗示だけで病気を治せるもんなのね、、、一歩間違えるとかなり危ない。
「黒羽、貴方の何を企んでいるの?」
ワインを軽く回しながら、横目で黒羽を見つめた。
「驚かないで聞いて欲しい、、、
ガラウちゃん、いや、ガラウ。
君は狙われている。俺に君を守らせてもらえないか?俺と一緒に来て欲しい、、、」
真剣な顔で、黒羽は突飛な事を言った。
「ふふっ、あっはっは。
ちょっと変わったプロポーズのつもり?愛する君を誰にも渡したくないんだってやつ?」
私が命を狙われてる?そんな馬鹿な。父に捨てられてから、ずっと1人で生きてきた。
恨みを買う程誰かと長く深く付き合ったことはない。感謝されても恨まれる覚えなんてないはずだ。
笑って話を本気で受け取ろうとしない姿を、黒羽は苛立った様子で私の肩を強く掴んだ。
「ガラウ!俺の目を見ろ!」
突然の黒羽の剣幕に少し押されてしまった。
黒羽のかおは笑っていても、怒っていても、瞳の奥はいつも泣いている。
どうして、こんなに寂しい目をするの?
ねぇ、貴方も、、、
ガラウの瞳がうつらうつらし始め、黒羽の胸の中に倒れこむように身体を預けた。
「ガラウ、君を守らせてくれ、、、」
眠りに落ちたガラウの寝顔に囁くと、愛おしそうにガラウの華奢な身体を抱きしめた。