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噂
「どんな望みも叶えてくれるんだってな」
「犯罪だけはお手伝い出来ませんよ?」
「あぁ、分かってるよ。それに、殺したい奴がいるなら俺の道連れにしてやるさ。」
酔っ払いは、後ろに仰け反りながら面倒くさそうに笑った。
「って言っても、もう自分が死んじまうって分かったら、全部どーだってよくなるもんなんだな。殺したい程恨んでた奴なんて、今になってみりゃあ名前も忘れちまってた」
「そぅ」
慰めの言葉をかけるべきだろうか迷っていると、酔っ払いは何か思い付いたような顔をした。
「そうだ、知ってるか?」
「えっ?ごめんなさい、何の事でしょう?」
「教えて欲しいかい?」
意地悪な笑みを浮かべながら、勿体ぶってなかなか話そうとしない。
「意地悪なさらないで教えて下さいませんか?素敵な叔父様?」
痺れを切らし、話の続きを催促した。
「そぅ言われちゃあな。いいよ。話してやるよ。」
酔っ払いは手遊びを辞めて咳払いをした後話し始めた。