コーヒー
昨日で大体分かった。会社を私物化し、娘の命を延命させるために大規模な試薬実験を行った。表向きには、恵まれない地域への無料ワクチンの提供。
その裏では娘のバナーを探す人体実験が行われていたなんて、、、
好意をそのまま受け取る人が食い物にされるなんて、、、
人の好意を信じられないなんて悲しいことよね、、、
「黒羽~?」
黒羽を読んでみるが返事がない。
立ち上がると、何かが足元に滑り落ちた。拾い上げてみると、黒羽の上着だった。
黒羽、、、私も少し恩返ししてあげようかな、、?
黒羽を探して部屋を見渡すと、ソファの上で寝息を立てていた。
「起こさないように、静かにしなくちゃ、、、」
ガラウは音を立てないように、コーヒーを淹れ始めた。
香ばしい匂いと、甘い匂いで目が覚めた。
いつの間にか寝てたのか、、、
「あ、黒羽。おはよう」
ガラウが俺に笑いかけた。
「コーヒー淹れたけど、飲む?」
黒羽に背を向けると、背中に温もりを感じた。
「黒羽、、?」
黒羽は小さく呟いた、、、「何でもない」
ガラウは後ろに向き直して黒羽の顔を覗き込んだ。
「私は、ここにいるから。黒羽を置いてどこかに行ったりしないわ。」
ガラウは優しく笑った。
俺が守ってやるなんてかっこいい事言えないな、、、
ガラウには叶わないな、、、しっかりしろよ。
黒羽は笑うと、ガラウに言った。
「ガラウのコーヒー、飲みたいな」