149/274
どちらが大切かなんて、、、
黒羽は走った。ひたすら元来た道を。黒羽は誘導されて、いいようにカスミに使われていただけだった。それが悔しくて堪らなかった。カスミはここに迷い込んだ時、俺をかくまってくれた。そんなカスミが俺を利用した?
「俺が、、、信じた俺が馬鹿だったんだ。」
黒羽は目から溢れ出すものを止めようとしなかった。カスミは最初から俺を騙すつもりで近付いたのか?
、、、いや、カスミは操られているだけなのかもしれない。
黒羽の中にはまだ、初めて会った優しいカスミの姿が残っていた。黒羽の脳裏にガラウの笑顔が浮かんだ。カスミも信じたいが、ガラウを犠牲になんて出来ない。
だって、ガラウは俺の大切な、、、
黒羽はガラウの笑顔を守る為に走り続けた。