147/274
匂い
黒羽の言葉を聞いたカスミは、力なく崩れ落ちた。そして、何かを呟いていた。黒羽はその声に耳を澄ました。
「時間がない、時間がない、時間がない、、、」
「どうしたんだ?」
黒羽の言葉などカスミの耳には届かなかった。カスミは何かに追い詰められていた。黒羽は何故そんなに時間を気にするのか分からなかった。黒羽は先程聞いた会話の事を聞いてみることにした。
「なあ、カスミ。何か探しているのか?」
カスミは黒羽の言葉に反応した。
「何故、、、知っている?」
「さっきここに来る途中小耳にはさんだんだ。」
カスミは黒羽を睨み付けた。そして、言った。
「、、、ガラウを何処に隠している?」
「だから、、俺はガラウに会えなくて、、、」
「嘘をつくんじゃない!!お前から、ガラウの匂いがプンプンな!」
カスミはそう言うと黒羽の腕を掴み自分の方に引き寄せた。そして、黒羽の首筋に顔をうずめた。そして、囁いた。