これしか
目の前の奴を殺す殺す殺す、、、
今まで私が信じてきたものは一体何だったんだ。
私が生み出されたのも、理不尽に捨てられたのも何の意味も無かった。私は嘘から生まれた、人間を模造しただけのただの化け物。
信じられるものはこの刀だけ。戦いで高鳴る鼓動を感じるときだけ私は生きている。肉を切り裂いて真っ赤な生臭いしぶきが私を染める。
この瞬間が、私を一番ドキドキさせる。真っ赤なドレスを着た私の為だけのパーティー。命が失われる瞬間、瞳に宿っている光が消える。
私は誰の犬になればいい?ずっと恨んでいた父。それも幻だった。
次は誰を殺せばいい?私にはこれしかない。
助けて、優しい私は泣いている。もっと殺せ、意地悪な私が囁く。
「もう、お前の道はこれしかないのだから」
意地悪な私は続けて囁く。
「人間は裏切るけど、刀は裏切らない。」
「違う、私には仲間が、、、」
「、、、本当そうかなあ?」
「やめて!信じるって決めたの。仲間を守る為に、刀を振るうと決めたの。」
「でも、、、こんなお前をあいつらは受け入れてくれるかな?」
その声が頭に響いて、周りの景色が視界に入ってきた。死体の山の中でカンナは夢から覚めた。また、やってしまった。またあの意地悪な声が嘲笑う。
「お前はもう、こっち側なんだよ。」