大好きだよ
「準備はいいか?」
ミサ開始の鐘の音まであとわずか。カンナの声に三人は頷いた。
ガラウの手をダリアが握る。その手にはじんわり汗が滲んでいた。
ガラウはダリアにこっそり耳打ちをした。
「作戦続行が不可能になったら逃げて。」
ガラウの言葉にダリアはあ泣きそうな声で言った。
「でも、皆を置いて逃げるなんて、、、」
なだめる様に、ガラウはダリアに囁いた。
「ダリアの才能は肉体の成長を犠牲にして得たものよ?これ以上、ダリアの大切な物を奪うなんて許さない、、、」
「ガラウ、、、」
泣きそうなダリアにガラウは微笑んだ。
「絶対、、、捕まっちゃだめよ?」
ガラウの言葉にダリアは黙って頷いた。
その時、冷たい鐘の音が鳴り響いた。
「皆、明日の朝ここで生きて会おう。」
カンナはその言葉を言い残し、一足先に教会へ向かった。その後に続いて黒羽が飛び出していった。
ガラウも黒羽に続いて飛び出そうとした時、ダリアがガラウの腕を掴んだ。
振り向くとダリアが今にも泣きそうな顔でガラウに言った。
「ガラウ、、、」
ダリアが何を考えているかガラウには分かっていた。しかし、それに気付かない振りをして優しく言った。
「どうしたの、、?」
「私、ガラウの事大好きだよ?」
ダリアの目には涙が溜まっていた。
「私も、ダリアが大好きよ。」
ガラウはダリアの額にキスをした。
そして、ダリアの目を見て言った。
「大丈夫、私はダリアの傍にずっといるわ。」
何か言おうとするダリアの返事を聞く前にガラウは飛び出して行った。