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仲間がいるから
「本当に悪いのはカンナのお父さんじゃないかもしれない。」
ガラウの言葉にカンナは今まで父に抱いていた感情が変わった。
「お父さん、、」
カンナは呟いた。それをガラウは何も言わなかった。カンナはこみ上げてくる熱い物を止めることが出来なかった。ガラウは気を利かせてカンナを一人にしようと思い、カンナに一言告げて家へと戻った。後ろにすすり泣くカンナの声を聞いた。
誰でも勘違いはある。復讐の為だけに生きてきたカンナは復讐以外の道を見つけることが出来るだろうか。
「おい、ガラウ。」
不意に声のした方を見ると黒羽が手を振っていた。
「どうした?暗い顔して。」
黒羽の言葉にガラウは笑って答えた。
「何でもないわ。考え事してただけ。」
昔の私は一人だった。でも今は違う。私には今仲間がいる。カンナにだって、私達がいる。私達が生きてるのは今だから、、、
腕いっぱいに抱えていた花束が地面に落ちて、微かに音を立てた。
次の瞬間、ガラウは黒羽の近くまで行くと無言で抱き付いた。
「ガラウ、どうした?」
「何でもない!」
ガラウは黒羽の胸に顔をうずめたまま答えた。