ガラウの花
ガラウはカンナの過去に自分を重ねていた。
そう、過去なんて関係ない。私達は今を生きているんだもの。
「ねえ、カンナ。少し付き合ってくれない?」
ガラウはカンナを連れ出して、森の中へ出かけた。
「こんな所に何の用なのだ?」
「まあまあ。見てのお楽しみによ。」
ガラウは立ち止まるとカンナに言った。
「ちょっと、ここで待ってて。」
ガラウに言われた通りカンナは立ち止まった。ガラウはカンナをその場に残し茂みの中に消えた。カンナは周りを見渡した。言われるまま歩いて来たがこの辺りだけ緑が覆い茂っていた。教会の近くは雑草の一つも生えていないのに、ここ一体は緑が覆い茂って、さっきの場所とはまるで別世界だ。
これはガラウが植えたのか、、?
「ごめんね、待たせちゃった。」
戻って来たガラウは黄色い花を抱えていた。黄色い花を見て、カンナは身構えた。それを見てガラウは苦笑いをして、言った。
「やっぱり、ビックリするわよね、、、」
「ガラウ、それってまさか、、、教会の、、、」
カンナは恐る恐る尋ねた。ガラウは怪しげな笑みを浮かべた。
「ふふふ、実は、、、。と言いたい所だけど、これはその花とは違う花よ。よく見て探してみて?」
ガラウに言われた通り、カンナは花をじっくりと見た。
「、、、本当だ。めしべの色が違う。」
「そう。教会が育てている花のめしべは黒いの。でも、私の育てた花のめしべは白いの。」
ガラウの説明にカンナは頷いた。
「これ、ダリアの実験に使えるかなーと思って。カンナにも運ぶの手伝って欲しくて、、、」
「、、今、カンナって、、、」
驚くカンナにガラウは笑った。
「、、ダメだった?」
カンナは首を横に振って言った。
「、、いや、、、そのままでいい、、」