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THE NAME  作者: リザ・ベルフェゴール
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始まり


私の名前はガウラ。

身体が丈夫で太陽の光さえあれば生きていける。ある程度なら、暑くても寒くても、食うに困らなきゃどこでも生きていける。

誰かの助けなどいらなかった。むしろ、側にいる人を傷つけてしまうから、共存など出来ないのだ。



母さんは私を産んで、命を落とした。

母さんは身体も小さくて病弱だった。

医者に止められても、私を、自分よりも私の命を優先した。

私は母に会った事もなかったが、母が大好きだった。一緒に生きたかった。


だが、父は私を娘だと思わなかった。

いや、思えなかったんだろう。

愛しい女を殺した子供は、自分の娘。

母の時間は止まっているのに、目の前では私が成長していく。

父は母が死んだのは私のせいだと

私に暴力と共に刻み込んだ。

私が母さんを殺したんだと罵った。

痛みに耐えながら何度も何度も

母さんに謝り続けた。


父は10歳になった私を、知らない土地まで連れて行き置き去りにした。

小さくなる父の背中を見ながら、私は母に謝っていた。


「ごめんなさい、母さん、、」


今日初めて出す声はかすれて、夕焼けの空気に呑み込まれた。

捨てられたことの絶望より、日々の暴力に解放された安堵感が身体を満たした。

何もなくていい。この名前にさえあれば生きていける。



母は私に命をくれた。

父は私に呪いをかけた。

皮肉にも、誰とも共存出来ない名前を、、、




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