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僕(わたし)のキモチ  作者: 対子落とし
第1章 ふとしたことで
3/9

1-3 奇妙な出会い

 今は夕方の時間帯が近づいてきたお昼の3時(15:00)ごろ。


 今の季節は学校が始まって新学期という時期で、短縮授業が終わっていつも通りの生活に戻った4月の終わりごろ。とは言っても僕は今年この小学校を卒業する6年生なんだけどね。もうちょっとまじめにやろう。どうにか学校の授業が終わって家に帰る準備をした。


 とその矢先、ちょっとだけ遊んだ。苦しい生活をするよりも、今を楽しく過ごすためには息抜きも必要だよね! とは言っても、いつもズボンだからついつい今の格好スカートを忘れてて、遊んでいるときにこの格好スカートに気付いたのは内緒。内緒にしておきたい……かな……。途中それに気付いて急になんだか恥ずかしくなったので帰ろうと思って帰る用意が終わったので、学校から出て、家に帰るためにしばらく歩いていると……。


「うわっ!?」


 突然何かとぶつかってその場に倒れ込んでしまった。どういう状況かわからないまま足を広げて座り込んでいた。尻餅をついた状態です。あっ、今この格好スカートだからパンツ見えちゃったのかも……。これから気を付けないと。って、そうじゃなくて。もしかしなくても前をよく見てなくて歩いてたから気付かなかったって、よくある話だよね。

 顔を上げると目の前にきれいなお姉さんが立っていた。ぶつかったのが人と分かり、ふぅとため息をつく。固いものじゃなくてよかったぁ。例えば電信柱とか。あれにぶつかったときは痛かった……。って、そうでもなくて!


 そんなことを考えていると僕とお姉さんと目線が合う。瀬里奈ちゃん……。助けて……。


「ご、ごめんなさい!」


 僕はすぐに立ち上がり、頭を下げる。恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になりその場から走って逃げようとする。けど、なぜか身体が動かず、目線を離せられない。


なんだろうこのきれいな人は。まるで天使みたいな人だ。身長は180cmくらいの長身のお姉さんで、髪の毛はさらさらで黒髪の腰上まであるロングストレート、白いワンピースに白のリボンフラットソールサンダル。なんか、こう、すごく似合っている。見とれてしまうくらいに。


「あの、大丈夫ですか? お怪我はありませんか?」


 ふと声が掛けられる。天使のような人だけど、声も天使のようなきれいな声だった。ぶつかったのは僕の方なのに。本来なら僕は怒られても仕方ないことをしている。この前なんか道を歩いて何もしてないのにサラリーマンみたいな人とぶつかって怒られた。『ちゃんと前を向いて顔を上げて歩け!!』って。そういう風に怒られたけど、見た目が女の子っぽいからそこまで怒られなかった。女の子っぽいことは結構気にしてるのにこういうときだけはよかったと思う。

 ……なのに、その逆で心配までしてくれるきれいなお姉さん。本当にごめんなさい。


「だ、大丈夫です! ごめんなさい!」


 ようやくまともに身体が動かせる状態になり、逃げようとするけど……。


「あっ、ちょっと待って」


ふと声がかけられたので僕は立ち止まる。


「な、なんですか?」


 少し怖い。僕って、何か変なことしちゃったかなぁ……。


「痛かったでしょう? おまじないかけてあげるから、ちょっとそこに立ってて?」


「は、はい」


 あー、やっぱり僕って流されやすいタイプの人間なのかも。うーん、なんというか、よくわからない。

 おまじないって言うけど、僕はどんなおまじないをかけられているかどうかまったくわからない。ただわかるのは、なんだか身体がポカポカするというか、そんな感じ。


「はい、おしまいっ」


「え?」


 僕は訳が分からずボーッとしていると、また声をかけられる。


「あなた、女の子に興味があるのね?」


「えっ、あの、服装これは──」


「ふふっ。じゃあこれ、あげるね?」


「これは……?」


 何かのアクセサリーを手渡されました。なんだろう、これ? なんか耳たぶみたいな厚さがある。


「それはね、君の願いを叶えてくれる魔法の勾玉まがたまよ」


「まがたま……?」


「それはね、君と私にしか見えないもの」


「僕と、お姉さんしか?」


「そうよ」


勾玉それ、私のことだと思って大事にしてね?」


「は、はい! あ、ありがとうございました!」


 その場にずっと居るのが恥ずかしいので、慌てて逃げるように家の前にある公園に着くのでした。なんだかすごく悪いことをしたような、モヤモヤした感じだけど、不思議とその気持ちはなくなっていった。

 きれいな人だったなぁ。もしあのお姉さんを見たら瀬里奈ちゃん怒るかも。あとこの勾玉も。そういえば、さっきお姉さんが言ってたけど、僕とあの天使みたいなお姉さんしかこの勾玉は見えないんだった。ということは、瀬里菜ちゃんと真央ちゃんには見えないってことだよね?


 なんだか『僕とあの天使みたいなお姉さんだけの秘密』ってことだけでワクワクしてきた。でもこんなにきれいなものは初めて見るから、瀬里菜ちゃんと真央ちゃんにも見せてあげたいなぁ……。なんて思っていた僕でした。




   ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆




 さっきのことが頭の中で繰り返される。思い出すだけで顔が真っ赤になる。どうしてこういうことに弱いのかなぁ、僕って。

しばらく歩いていると、気付いたら家の玄関まで着いていた。家の近くの公園から道を歩いているだけなのに考えことをしてたらついつい通りすぎちゃう。それだけ周りを見てないって言われると何も言い返せないけど。さっき天使みたいなお姉さんから貰った勾玉まがたまは家の鍵のキーホルダーとして大事にしてます。肌身離さず使うっていいことだよね!


 この時間に家の中に居るのは多分誰も居ないだろうし、家の鍵を探す。僕が家に帰るころには家の中には誰も居ないことが多いので、どんなに急いでいても家の鍵だけは持ち歩くようにしてるんだよね。えらいぞ、僕!

 ……とは言っても、鍵を持ち歩くようになったのは、学校が終わって家に帰るときになって、玄関のドアを開けようとしても鍵がかかって開かなくて、しかもタイミングの悪いことにちょうどそのときは鍵を持って行かずに学校まで行っちゃって、お姉ちゃんかお母さんかお父さんが帰って来るまで家の玄関先までずーっと待ってたことがあったんだよね。

あのときはまだ暖かかったからよかったけど、寒かったら絶対風邪引いてるよ、うん。しかも玄関の前で寂しく1人で居るのはもう嫌だし。

 つまり、こういうことがないように家の鍵を持ち歩くようにしてるんだ。


 ガタッ。


 あ、やっぱり閉まってる。1回はこれやるんだよね。本当に閉まってるかどうか。だって開いてるときだってあるじゃない? 開いてるのに鍵で開けようとしてもまた鍵かかっちゃうし。何回これに引っかかったことか……。って、そうじゃなくて。


 僕の家の鍵は、差し込み口があるんだけど、そこに入れて左に回すと鍵がかかって、右に回すと鍵が開くものなんだよね。鍵を閉めることはあんまりないけど、「覚えておいた方がいいよ」ってお母さんから言われてるんだよね。


 ガチャ。


 差し込み口に鍵を差し込んで、右に回して鍵を開ける。なんかもう、慣れた。1人で家に帰ることが多いし、今だって1人だし。


「ただい……ま――」


 あれ、なんでお姉ちゃんが玄関前で立ってるの? あれ?


「いーーーのーーーりーーーぃー!?」


「ひぃ、ごめんなさい!」


 家に帰り着いた途端、お姉ちゃんに襲われました。襲われたというより、すごい顔してます、お姉ちゃん。多分、というより絶対この服装スカートのせいです。


「お母さんをからかったら時間無くなっちゃって着る服がなくて、そばにあった服を着たらちょうどお姉ちゃんの分で――」


「だからってなんでお姉ちゃんの服着ちゃうかなぁ!?」


「ご、ごめんなさい!!」


 こ、怖い。お姉ちゃん怖い。お姉ちゃん、怒ると本当に怖い。お姉ちゃん、本当にごめん!


 お姉ちゃんは冷静になったのか、僕の今の服装を見直すと、こんなことを言い出した。


「で、でも、祈梨ちゃん、意外と服装スカート似合ってるじゃん」


「え、えぇ!? お姉ちゃんまでそれ言うの!?」


「あれ? 他の人にも言われたの?」


瀬里菜せりなちゃんとか真央まおちゃんとか……」


「瀬里菜ちゃんと真央ちゃん、分かってるじゃない……」


あ、お姉ちゃんまでまた変な方向に行き始めた。なんでこういうことが多いかなぁ僕の周辺まわりって。

なんだか家に帰るだけなのに長くなってしまったなぁ、という感じです。


【追記】

 読み返してみておかしなところがあったので修正しました


【2014/08/16 01:30 追記】

 描写の方法を変えました。そして、3話と4話の内容を統合しました。☆マークから下のは旧4話『1-4 奇妙な家』の内容です。

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