1-9 ワレワレハウチュウジンダ
暗闇。
何処までも広がっていると錯覚しそうなくらい広い空間の中にポツンと明るい空間がある。
そこに1人の女性が立っていた。
耳は長く、その燃えるように揺らめくベリーショートは真紅、眼は鋭く蒼く冷たく光っている。
人間ではないと断言出来るほどにその姿は幻想的だった。
「ーーフェニーチェ様」
何もない空間から1人の男が現れる。
その姿はフォイエザードに似ていたが別種であることが分かる。
「何事ですか」
凛とした声を、しかし同時に冷たさを感じる声だった。
男は、申し上げます、と断りをいれて報告を述べた。
「ーーフォイエザードがプレステイルと名乗るものに打ち倒されました」
彼女は小さく、そう、と答えただけだった。
男は、失礼しました、と言って再び闇に消えた。
彼の事は正直言って嫌いだった。
下品で粗暴あったし、そして何よりこの崇高な使命も理解してなかった。
……死んで、当然、だ。
そんな事よりも気になることがある。
『プレステイル』では無く、『プレステイルと名乗るもの』である。
どこかその言い回しに引っかかるものがあった。
「ーーいいえ、そんな事よりもエグスキはあやつを討たねばなりません。 早速対策を練らなければ」
彼女は言うが早いか、頭を切り替え深い瞑想に入った。
静寂が闇を覆った。