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泥に咲く花

掲載日:2026/04/09

何十年も

泥に触れてきた

だが知らなかった

その底に

無数のいのちが潜むことを


息子を失ってから

ようやく知った

濁りの奥で

見えぬ呼吸が

脈を打っていることを


老いた私も

やがてはそこに沈み

皺のあいだから

日々をこぼすだろう

それでも眼はまだ見ている

夜のうごめきを

遠い友のように

浅い眠りのように


やがて水を突き破り

ひとつの花がひらく

白い蓮が

静かな空を照らす


泥の底も

私の影も

息子の夢も

すべては

この花を咲かせるために

あったのだろうか


泥に手を入れる

濁った中のいのちが

そのぬくもりが

まだ掌に

微かな熱を残している


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