第2話 アリス
「記憶ないでしょ」とか少女がこっち指さすものだからとても動揺してしまった...図星だ。
「やっぱりね、そうだと思ったよ」
汗が止まらなくなっている俺を見て少女はため息をつく。
「俺はなんで記憶がないんだ?君との事も、今までなにがあったのかもさっぱり記憶がないんだ。」
「さあねぇ、なんでだろ。実は私も気づいたらハヤトと一緒に気を失って倒れてたんだ。でも私は記憶を失っていない。とても謎だよねぇ」
── 2人でしばらく黙り込んだ後ハヤトは口を開いた
「そういえば君って年上に対してもタメ口なんだな」
「 同い年だけどね!!!!!!!! 」
話し始めのときとのギャップについ笑みがこぼれる
「本当に同い年か?見えないなぁ」
「あっそ...悪かったね、子供っぽくて、タメ口で話すようなやつで。あと君じゃなくてアリスって言ってもらえると嬉しいんだけどな」
「素で話している感じがしてとても話しやすいよ!これからもよろしくな、アリス!」
「うん、よろしくね、ハヤト!」
彼女はとても嬉しそうだった。
それからしばらくして、俺達は近くのカフェでこれまでの事を話し合うことにした。
どうでもいいことではあるが、アリスはタピオカミルクティー、俺はウーロン茶を注文した。このカフェはアリスがよく兄と来ていたカフェで、毎回タピオカミルクティーを飲んでいるらしい。
「さっそく本題にはいるんだけど、ハヤトはどこまでの記憶があるの?」
「家でゲームしたり、冒険譚を読みながらゴロゴロしたりする日々を送っていて、ある日冒険譚の中に最強の力を手にすることができると言われている洞窟の話がでてきたのを理由に家を飛び出したってところまでは覚えてるんだけど...」
それを聞いたアリスはとても焦っていた
「え、ちょっとたんま、私の事1ミリも覚えてないじゃん!」
「まぁそうなるね、はは」
「笑い事じゃないよ!この2ヶ月半色んな旅をしてきたのに全部覚えてないだなんて...」
アリスはとても落ち込んでいた。
「仕方ないから、これまでの経緯と今世界はどうなっているのか説明するから耳をかっぽじってよく聞いてね」
少し深呼吸をしてから再び彼女は話し始める。
「6年前、私と兄はお母さんと一緒にこの都市ヴァレリアで仲良く暮らしていたんだけど、ある日私が学校から帰ってくるとそこにはいつもならいるはずの兄とお母さんの姿はなくて、近所の知り合いに聞いても手がかりがなく、結局どれだけ経っても帰ってこないものだから二人を探す旅をすることにしたんだ。私とハヤトが出会ったのは2ヶ月半も前の事で、雪山でアイスドラゴンから追われている私を助けてくれて、そのうえ事情を話したら一緒に家族を探す旅をしてくれることになったんだよね。」
話し疲れたのかタピオカミルクティーを少し飲み、また話し始めた。
「ドラゴンってのは魔王の直属の配下でさ、それでその魔王ってのは2年前突如現れこの世の支配者を名乗りだしたやばいやつだったんだけど、7つの国全ての王様達はそいつを倒すためにたくさんの軍勢を送り出した結果返り討ちにされちゃったんだよね。魔王が国に攻め入ることはないんだけどみんな恐怖しててさ、魔物達も人里から離れたところで生活していたから基本的には人間に危害を加えることはなかったんだけど魔王が現れてからは群れを成して国に攻め込むようになった...とまぁそんな感じなんだけどわかった?」
情報量が多くて気絶しそうになったが、小さくうなずいた。
2人でくつろいでいると、一つの声が辺りに響き渡った。「みんな逃げろぉ!!!オーク!!!オークが来たぞ!!!」
つづく...




