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研究の末に不老不死になった魔術師兼ネクロマンサーの隠遁生活  作者: 如月


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第5話 村での出来事

「だがもうすぐ日も暮れる、出発は明日の朝にしよう」というアルバートの提案を受け、ロザリオは塔に一泊することになった。


研究室以外の塔の中は自由に見て回っていいとのことなのでロザリオは塔の中を探索してみたが、膨大な魔導書や魔道具の数々、見たこともない不思議なアイテムが無造作に並べられており、本当にアルバートはこの塔で何百年も研究を続けているんだということを実感した。


与えられた部屋に戻り携帯していた干し肉を食べたロザリオは就寝することにした。


翌朝アルバートと勇者ロザリオは魔王城へ向けて出発する。



北の大地から魔王城のある最果ての山脈までは比較的近いとはいえ、徒歩で行けば数日という道のりだ。


アルバートだけならばテレポートの連続使用でかなり早く到着することもできるが、勇者を置いていくわけにもいかない。


仮に先に魔王城に到着して魔王と話をつけたとしても、その後やってきた勇者と戦り合ってしまっては意味がないからだ。


野宿しながら徒歩で真っすぐ北へ進み樹海を抜ける。


すると北の大地の最北端に人類が住む最後の村がある。


そこで一泊し、物資を調達してから最果ての山脈に入る予定だ。


途中樹海ではモンスターと何度も遭遇しながらも撃退しつつ順調に歩を進め、2日後村に到着した。


しかし村に入ってみるも人気が全くない。


夕暮れ近くの時間帯とはいえ、出歩いている人はおろかどの店も閉まっており、民家も雨戸が閉められている。


何が起こっているのかはわからないが見るからに異常事態だ。


「どうしましょうか?」というロザリオに


「私はこの村をスルーしてこのまま魔王城に向かっても構わないが、お前はそうもいかないんじゃないか?」と問いかけるアルバート。


「そうですね、もう携帯していた食料も底をつきそうですし、薬草も補充しておきたい。最果ての山脈に入る前に一度宿に泊まって体調を万全に整えたいというのも本音です。」


「ではもう少しこの村を見回ってみることにしよう。」


そうしてしばらく歩いていくとどこからか大勢の人の声が聞こえる。


どうやらその声は酒場からで、酒場は営業しているようだ。


酒場に入るアルバート達。


だが入った瞬間、中にいたガラの悪い連中に一斉に睨まれる。


「なんだお前ら?旅人か?この村は俺ら盗賊団が占拠してるのよ。とっとと失せな。」


ざっと確認できるだけでも30~40人くらいはいるだろうか。


「…行くぞ、ロザリオ。面倒ごとは御免だ。」


アルバートはすぐさまUターンし出口へ向かう。


「で、ですが…」


ロザリオは納得できない表情だ。


「あ、あのー、この村の村長さんの家はどちらになりますでしょうか?」

唐突に盗賊に質問するロザリオ。


「そんちょ~?このすぐ裏の家だよ。あひゃひゃ」


「行きましょう!」

というとロザリオはアルバートを押しのけ先に店から出た。


後から続くアルバート。


「とりあえず村長さんに話を聞いて、この村の現状を確認するのが先決です。」とロザリオが言うと村長宅へ急いだ。


村長宅に着くとドアを激しく叩き

「すみません!旅の者なんですが!」と叫ぶロザリオ。


しばらくして村長が顔を出す。


そこで村長から詳しい話を聞くことが出来た。


村長の話によると、どうやら盗賊団は2週間ほど前にこの村にやってきて村を占拠したそうだ。


北の大地の辺境にあるこの村は騎士団の警備の管轄範囲外にあり、村の自警団ではなす術がなくあっという間に落とされてしまったらしい。


それから何度か村の若者が騎士団へ救助の要請に行くため村を出たが、途中で盗賊たちにつかまり皆殺されたそうだ。


「そうですか、そんなことが…。わかりました、僕が盗賊団をなんとかしましょう。」


力強く提案するロザリオだが村長は

「いや、下手に奴らを刺激しないでください。このまま大人しくしていれば命まで取る気はないようですし…。もし何かこの村のためにしていただけるというのでしたら、村を出た後騎士団まで行ってこの現状を伝えていただけないでしょうか?」と言う。


「そんな悠長なことをしている時間はないぞ。出る時にかなり厚めにかけなおしたとはいえ、エリスの氷魔法は2週間持てばいい方だろう。なるべく早く帰りたい。」


「わかっています。ここは僕のやり方に任せてください。」


ロザリオはそういうと酒場へ急いだ。


酒場に入ると

「盗賊団の皆さん、即刻この村から出て行っていただきたい。出ていかないというなら少々痛い目にあってもらうことになります。」

と声を上げた。


「がっはっは!やれるものならやってみやがれ!」


盗賊たちに取り囲まれるロザリオ。


アルバートは入り口でお手並み拝見とばかりにその様子を眺めていた。


さすがは勇者というべきか、取り囲んだ盗賊5人をあっさりと素手で気絶させる。


「この野郎!」


それを見て盗賊たちが一斉に立ち上がりとびかかって来る。


1人1人の攻撃を躱しながら的確に急所に拳を入れていくロザリオ。


気付けば全ての盗賊が床にひれ伏していた。


「なかなかやるじゃないかロザリオ。しかしこいつらに止めを刺さなくていいのか?」

というアルバートの言葉に

「彼らは人間です、殺す必要はないでしょう。」とロザリオは答え「しばらくここで待っていてください」と言って酒場を出ていった。


「人間だから殺さない…か」

あまり納得いっていないといった感じのアルバート。


しばらくすると村長を伴って戻ってきたロザリオ。


驚いて目を丸くしている村長に

「ではロープを」と言い、村長宅から大量に持ってきたであろうロープで盗賊たちを縛った。


全員を縛り終えたときには気付けばすっかり辺りも暗くなっていた。


「お礼に今夜はうちに泊っていってくれ」という村長の言葉に甘えることにし、久々にロザリオはベッドでゆっくり休むことが出来るのだった。


翌朝出発前村長に

「本当にありがとうございました。これから人を近くの街まで向かわせ騎士団に引き渡します。あと、これはお礼です。」と言われ、事前に希望を伝えておいた携帯用の食料や薬草などを受け取った。


なんとなくロザリオの行動が腑に落ちないアルバートだったが、何も言わず村を後にするのだった。

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