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研究の末に不老不死になった魔術師兼ネクロマンサーの隠遁生活  作者: 如月


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第4話 勇者の真実

勇者が目を覚ますと隣にはアルバートが立っていた。


「ようやく目を覚ましたか、回復魔法はかけておいたからどこも痛い所はないだろう?」


どうやらアルバートは自分の傷を手当てしてくれて起きるまで待っていてくれたことを勇者は知る。


「あ、あの…すみませんでした」


とっさに謝る勇者。


アルバートが口を開く

「お前のような勇者はこの数百年で何度もこの塔を訪れた。魔王退治を断れば大抵の奴は折れてそのまま去っていくが、たまにお前のように血気盛んな奴は戦いを挑んでくる。勘弁してもらいたいものだ」



この世界には人間のほかにもエルフ、ドワーフ、魔族などが存在しているが、250年ほど前に魔界からやってきた上級魔族の1人が魔王を名乗り、この北の大地よりさらに北方の山の奥地に居城を構えた。


それからというもの、人間界では魔王討伐の為の勇者の加護という物を受けたものが誕生するようになり、その加護を受けた人間は16歳になると魔王討伐の旅に出るというのが習わしになっている。



「ですが、アルバート殿はそれほどの力を持っていながらなぜ魔王討伐に協力してくださらないのですか?そして先ほどのアルバート殿の動きはなんなのですか?あんな魔法は見たこともありませんが?」

勇者は純粋な目で疑問を投げかける。


「いいだろう、答えてやろう」

答えなければ恐らく勇者は納得せず帰ってもくれないだろうと察したアルバートが語り始める。


「まず魔法については私のオリジナルだ。

お前も私のことを知ってここを訪ねてきたのならある程度は知っているだろう。

私は半不老不死の体になり死者蘇生の禁術を研究している。

不老不死の体になるために時間と空間を操る魔術「時空魔術」を研究し極める過程で一瞬で別の空間に移動する「テレポート」の魔術を生み出すことに成功した。

さらに死者の体を再生させるために回復魔術、体を強化させるために付与魔術も限界まで研鑽を積んだ結果、あらゆるダメージの回復や状態異常を回復させる魔法と、極限まで身体能力を強化させる魔法も使えるようになった。

だが結局死者蘇生という本来の目的には何の意味もなかったがな…」


「魔王討伐については単純に興味がないからだ。

私には研究を完成させること以外に生きる目的などない。」


「で、ですが魔王は人類の敵。倒さなくては人々が苦しむことになります。」


「ほう、ではお前はその現場を実際に見たことはあるのか?」


「いえ…ですが、魔王は100年おきに人間界に侵攻し人々に恐怖と絶望を与えると教わりました。歴史書にもそう記述があります。」


「なるほど、ではその歴史書が捏造されたものだとしたら?」


「!?まさか、そんなことが…」


「いいか、よく聞け、私は魔王がこの人間界に現れるずっと以前から生きているが、魔王が人間の国に侵攻したという場面は一度も見たこともないし話も聞いたこともない。あるのはどこかの王国が軍隊を率いて魔王城に攻め込んだという話や、お前たちのような勇者が魔王討伐に向かったという事実だけだ。」


「そんな…何のために…そんな…」


「理由などは知らん、だがそれが真実だ。私の知る限り魔王は人間界に攻め入るつもりも滅ぼす意思があるようにも思えない。何のために魔界から人間界にやってきて城を構えていのかはわからないが、少なくともこちらから何かを仕掛けない限り害がある存在ではないだろう。」


勇者はアルバートの話を聞き終わり、少し黙り込んだ後にこう言った。


「ですが魔王討伐は私の生まれたときからの使命、ここで変えるわけにはいきません。」

勇者はかなり頑固のようだ。


アルバートの回復魔法によりダメージも完全回復していた勇者はすくっと立ち上がりアルバートに軽く頭を下げるとそのまま立ち去ろうとした。


「ちょっと待て!」

アルバートが声をかける。


「このままお前が魔王城へ行って魔王にやられてしまったら再び勇者の加護を持ったものがどこかで誕生し、また十数年後に新しい勇者がやってくるだろう。いい加減このやり取りにも疲れた。魔王に一言言ってやりたいから私も同行しよう。」


「ほ、本当ですか!?」


当初の予定した展開とは全く違う物にはなったが、ともあれアルバートが魔王討伐に同行してくれるという事実に少し安堵する勇者ロザリオだった。

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