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研究の末に不老不死になった魔術師兼ネクロマンサーの隠遁生活  作者: 如月


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第3話 勇者

「バンッ!!」


塔の入り口の扉が激しく開けられる。


「私は勇者ロザリオ!!塔の主はおられるか!!」


入口の方から叫ぶ声が聞こえる。


『やれやれ、そろそろ来る頃だとは思っていたが…』

アルバートは勇者の訪問を予め予測していた。


アルバートは少し面倒くさそうに塔の玄関口へと歩を進める。


アルバートを視認した勇者はこう口を開く。


「あなたがこの塔に住む大魔導士のアルバート殿ですか?」


「大魔導士と名乗った覚えはないが確かに私がアルバートだ」


「僕と共に魔王討伐のパーティーに加わっていただきたい」


「ふう…」


深いため息をついた後アルバートはこう答えた。


「断る」


「なぜですか!!?」


勇者は声を荒らげる。


先ほども話したがアルバートは勇者がやってくることもこの展開になることも予測していた。


それはアルバートに予知能力の類があったからではない。


魔王がこの人間界にやってきてからのここ250年余りの間に数多くの勇者がこの塔を訪れ、同じように魔王討伐のパーティーに誘われるということを繰り返し経験していたからだ。


「私は魔王なんぞに興味はない、研究の邪魔だ帰ってくれ」


そう言い放つとアルバートは振り返り、再び研究室の方に歩いていこうとした。


しかし勇者は

「僕だけの力では到底魔王は倒せないでしょう。どうしてもあなたの協力がいる。どうしてもパーティーに加わってもらえないというなら力ずくでも連れていくしかありません」と言い、アルバートの方に剣を向けた。


「わかったわかった、そんなに闘りたいというならやってやる。だが研究室を破壊されてはたまらん、表に出てもらおうか」


「わかりました」


アルバートと勇者は塔から出ると、塔から少し距離を取った場所で対峙した。


「行きます!」という掛け声とともに勇者が襲い掛かる。


剣を構えた勇者はかなりの速度で踏み込み、左から右へ胴を薙ぎ払いに来る。


さすがは勇者と名乗るだけあっていい動きだ。


しかし寸前のところでアルバートは消え、勇者の後ろから現れる。


少々驚いた表情を見せた勇者だが、そのまま振り向きざまに剣を一回転させる。


だがまたアルバートは消え、少し離れた所から姿を現した。


「ふむ、隙がないな、いい動きだ」


アルバートは少しだけ感心したような表情をしている。


勇者は続けて連続で切りかかり続けるが、ギリギリのところでアルバートは回避されてしまう。


「どうしました?逃げ続けるだけですか?大魔導士なのに魔法は使わないんですか?」と勇者が挑発してくる。


「お前程度にその必要もないだろう」


「そうですか…」

勇者はイラついたような表情を見せる。


「ではこれはどうでしょう?あなたに受けられますかね?」


それと同時に勇者が剣を強く握り力を込め始めると周りから光が剣にどんどん集まり剣が輝き始める。


「これは対魔王用の切り札に編み出したとっておきなんですけどね。ここで使わせてもらいますよ」


「光輝一閃〈ラディアント・ブレイク〉!!!」


勇者が剣を前に突き出すと剣から光り輝く巨大な光線が飛び出し真っすぐアルバートの方に向かってくる。


避けることは簡単だが、この角度だと塔に直撃する可能性がある。


「防壁纏装〈バリア・エンチャント〉」


アルバートが呪文を唱えると左手が青く輝きだす。


そして勇者が放った光線が直撃するというその瞬間、左手で光線を上空高くにはじき返した。


「バ、バカな…」


驚愕して立ち尽くす勇者。


それと同時に勇者の後ろから現れるアルバート。


「烈火付与〈ブレイズ・エンチャント〉」


今度はアルバートの右手が赤く光り輝き、そのまま勇者の顔面を殴りつけた。


ガガガガガガガガガガッ!!!


勇者は吹っ飛ばされ森の木々がなぎ倒されていく。


最後はかなり丈夫そうな大木に体を打ち付けられてようやく勇者の体は止まったがすでに意識を無くしているようだった。

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