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研究の末に不老不死になった魔術師兼ネクロマンサーの隠遁生活  作者: 如月


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第1話 始まりの日

私はアルバート、隣にいるのはエリス。


2人ともルザリア王国所属の国家魔術師だ。


幼馴染で小さい頃からお互いのことは良く知っている。


元々は地方の小さな農村に暮らしていたが、魔術の才能を認められ王都の魔術学院に入学。


そこでも頭角を現し、若干20歳で国家魔術師に推薦された。


今日はその授与式で王宮に来ている。


もちろん王宮は遠目には何度も見たことはあったが、実際中に入ってみるとやはりデカい。


それに細部にまで荘厳な装飾が施されていて見るものを飽きさせない。


さすがは王の居城と言ったところだ。


「アルバート・レイヴンハースト」


名前を呼ばれ王の前へ出て跪く。


「そなたを国家魔術師に任命する」


「はっ」


手を伸ばし王から国家魔術師免許状を受け取り再び元の位置へ戻る。


次はエリスの番だ。


「エリス・リサンダー」


エリスも私同様前に歩み出て跪く。


「そなたを国家魔術師に任命する」


エリスも手を上げ国家魔術師免許状を受け取ったその瞬間だ。


王が突然喉をおさえ苦しみだし、その場に崩れ落ちる。


!!!


辺りは騒然とし、すぐさまエリスの周りを衛兵が取り囲む。


エリスも突然のことで何が起きたのか把握できていない。


私もこの状況がなんなのか整理がつかない。


ただ、エリスが免許状を受け取った瞬間に王が苦しみだしたこの現状を考えると、エリスが何かしたと疑われるには十分な状況だった。


「連れていけ」


大臣はそう発すると、エリスは衛兵たちによって連行されていった。


私はこの状況をなんとかしたかったが、エリスが何もしていないという証拠も出せない。


ただただ黙って見送ることしかできなかった。


そして一夜明けた翌朝、自宅に魔術学院時代の友人が訪ねてきた。


「おい、大変なことになったじゃないか!あのエリスがあんなことをするなんて俺は信じられないよ!」


私ももちろん信じられない、というか間違いなくエリスが犯人ではないと思っている。


やり方は分からないが、何かしらの方法を用いてエリスが免許状を受け取るタイミングを狙って王が倒れるような何かを仕掛けたんだ。


だが犯人に心当たりはないし、それらしい動機がある人間も皆目見当がつかない。


その後友人は「国王は一命は取り留めたが昏睡状態が続いていること」「エリスの裁判が明日行われること」を伝えて帰っていった。


「そうだ、エリスが国王に対して何かするはずなんかない。」


「裁判できっと無実が証明されるさ。」


私はこの時そんな希望を抱いていた。


しかし翌日そんな希望が絶望に変わる。


エリスの処刑が決定されたのだ。


「そんなバカな!何かの間違いだ!」


アルバートは裁判所へ急いだ、嘘であってくれ…


裁判所へ到着したアルバートだったが、守衛に「もう裁判は閉廷したので関係者以外は入れません」と門前払いされてしまう。


諦めとぼとぼと家へ帰るアルバート。


家の前まで来たところで友人が駆けつける。


「エリスが、、処刑されるって…」


「知ってる」


「嘘だろ…そんなこと」


もはや二人ともこれ以上話す言葉も見つからなかった。


そしてその翌日エリスは町の広場で絞首刑になった。


罪状は王の殺害未遂及び国家転覆の罪だそうだ。


私の目の前で首を吊った。


目の前が真っ暗になった。


処刑が執行された後私はふらふらと執行官たちの前に歩み出てこう言った。


「私の手で弔いたいのでエリスの遺体を引き取らせていただけませんか?」


本来であればこれは許される行為ではない。


ただ、私は国家魔術師にまで上り詰めた人間であり、そこに至るまでの数々の功績も上げており、この国の中でもかなりの知名度があった。


執行官は「上に掛け合ってみるから少し待て」と言った。


執行官も恐らく私とエリスの関係性は知っており不憫に思っての取り計らいだったのだろう。


しばらくした後、私の希望通りエリスの遺体は引き取っても良いことになった。


エリスの遺体を引き取った私は荷物をまとめて街を出ることにした。


王は未だ昏睡状態が続いているらしい。

だがそんなことはどうでもいい。


事件の真相を暴きたい。

エリスに濡れ衣を着せた犯人が憎い。


もしかしたら王は偶然のタイミングで何かの病に倒れたのかもしれない。

もしそうなのだとしたら、それをエリスのせいだと決めつけてあっさり処刑した国も憎い。


そういった気持ちもないわけではなかったが、それ以上に私の頭の中にはある一つの信念とも言える一言が頭の中に鳴り響いていた。


「エリスを生き返らせる」


魔法技術の研究が進み、かなり進歩したこの国においても死者を蘇生させる魔法はまだ確立されていない。


だが私ならできる、何年かかっても必ずやり遂げる。


この時の私はそう信じきっていた。

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