学校
日曜日の夜は気が滅入る。もう次の日は学校なんだって思ってしまうから。
でも何故だか、眠気に負けて起きた月曜日の朝になれば学校への嫌気は減り、今日は学校で何があるんだろうって思ってしまう。教室に行けば結局授業の気怠さに気分は落ちるんだけど。
別に僕は頭も良くないし、授業を受けるのが好きな訳でもない。でも学校に行くのは好きだ。理由ならある。友達に会えるから。
「よう獅子丸、相変わらず前髪なげぇな」
「おはよう黒羽君」
「獅子丸君、この前紹介してくれた本面白かったよ」
廊下を渡り、自分の教室にたどり着くまででも廊下にいる友達が僕に優しく声を掛けて手を振ってくれる。僕はそんな学校が大好きだった。席に座れば前の席の子が噂話を話してくれて、僕はそれに相槌を打つだけしか出来ないけど、それが楽しいと思う。
今日も僕より先に席に座っていた高尾海斗たかおかいと君が僕を振り返って笑顔を浮かべる。彼は本当に噂話が大好きで、どこからか集めた噂話を僕に話してくれる。
「聞いたかよ獅子丸」
「え、何を?」
「この街にな、赤い髪をしたスタイルのいいお姉さんと銀色の髪を持った可愛い女性がこの街に来たんだってよ」
「銀色の髪……赤い髪?」
彼の話に、すぐ白薔薇さんとそのお姉さんの事だと分かった。お姉さんが買ってくれたであろうタマーの光は一応昨晩で読み終わって鞄に入れてきた。勿論会える保証は無かったのだけど、何となく会えるんじゃないかってそう思えたから。……この街に住んでいた人達だったのか。
「ん、なんか知っているのか? もしかして知り合いなのか!? もし良ければ紹介してくれよ!」
「え、あ……知り合いでは無いよ。その、ちょっと見た事あるだけっていうか……そんな感じ」
「あちゃ~、美女と友達になれるチャンスかと思ったけどまぁそんなもんかぁ! そうだよな、すまんすまん。おっとそろそろ先生が来る時間だし一限は漢字テストがあったよな。俺は勉強するからこれで」
「そ、そっか……」
僕は昨晩、彼女達に出会ってしまったせいか胸がざわついて眠れなかったので勉強は済ませてしまった。する事も無いので先生が教室に入ってくるまでの間タマーの光を取り出し、皴や汚れが付かない様に注意しながら開く。
そういえば、この本のヒロインは銀色の髪を揺らして戦うんだった。もし白薔薇さんの言葉が現実になっていたら、白薔薇さんもこのヒロインの様に戦ったのかな?
「はっ!」
って、僕は何で白薔薇さんの事を考えてしまっているんだろう。もう会えない可能性だってあるのに……。でも、思い返しても白薔薇さんは綺麗な人だったな。思い出すだけで胸がざわつくのを自覚した。