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白薔薇

「あんの魔王、思い出しても腹立たしいわ……」


「そ、そうなんだ……」


 これ以上一緒にいたらめんどくさそうだし離れたいのに、彼女は僕から手を離す様子もないし無理やり引き離すのも申し訳ない。というか、強引に腕を引いたら服が破れてしまいそうだ。


「恩返しとは言っても、僕別に倒してほしい人なんていないよ?」


「そうなの? まぁそうよね……。困ったわ。人に借りを作りっぱなしは性に合わないのよね」


「じゃ、じゃあその……名前を教えてくれればそれでいいよ」


 このタイミングで名前を尋ねるのもおかしいとは思うけれど、それぐらいしか彼女に頼もうと思える事は無い。誰かを倒して欲しいなんて願望も無いし、そんな危険な事無く安全に生きていきたい。

 彼女は僕から手を離すと、右手で口元を隠し、不満そうな顔をする。


「それ、恩返しっていうの? まぁ良いわ。白薔薇ゆかりよ」


「白薔薇さん……ありがとうございます」


「え、本当にそれだけで良いわけ? 折角なんだしこの命令権をもっと有意義に使いなさいよ」


 もう命令されているのがどちらか分からない……。いや、僕はまだしてないんだけど。

 でも一番のお願いを言うのなら、もうこのまま僕を解放して何事も無く普段の生活に戻して欲しいんだけど、流石に言う勇気はない。


「はぁ~」


「ん?」


「いやね、こっちの話にはなるんだけど色々あったのよ」


「そ、そうなの?」


 このままそうですかさようならと言える勇気が僕には無く、彼女の話に耳を傾ける事になった。


「勇者だったって話はしたでしょ? 私、とても腹立たしいけど魔王に負けたのよ。そうしたら魔王の奴、何を思ったか私をこんな姿で復活させたのよね。しかも、よりによってこんな訳の分からない所に飛ばすし」


「そ、そっか?」


「そうそう。街歩いてみても敵一人いやしないし、何か見た事ない金属の塊は走っているし、獣型のモンスターかと思ったら人間と仲良くしているし。一体ここは何なのよ……」


「え、えっと日本だけど……」


 当たり前すぎる答えを言ってしまったと思ったけど、彼女は不思議そうな顔をして僕を見返す。その不思議そうな顔が可愛くて、思わず目を伏せた。すると彼女が口を開く。


「に、にほん? え、ディアマットは?」


「ディ、ディアマットってまず何?」


 下げた頭をすぐに上げる羽目になった。この子が頭で作っている設定が複雑すぎるよ……。しかも嘘ついている様に見えない辺り凄い入り込んじゃっているみたいだし……。


「私が生まれ育った場所の名前よ! え、じゃあ何、私は魔王に倒された後全く知らない場所に飛ばされたって訳!?」


「え、えっとまずは落ち着いて。そのディアマットっていうのはどこにあるの?」


「ペルギアス星オーレン大陸の最北に位置する国よ」


 ……うん、落ち着いて話されても全く分からないや。

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